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- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/02/17
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- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
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内容紹介
激動の平成時代・日本を世界との関わりで読み解く池上講義。池上彰が見た時代の転換点ーー
2019年5月1日から新しい元号を用いることが決まり、激動の平成時代が、約30年で終わりを迎えることになった。
バブルの頂点から始まった平成時代は、その後、バブルの崩壊、失われた20年を迎えることになる。くしくも平成のスタートは、東西冷戦終結とも重なり、新たな対立構造、グローバル社会とも歩みを同じくする。
日本の大きな分岐点になった激動の平成時代を、世界との関わりから読み解く。全ページ・2色展開で、写真や図表、イラスト図解などを多用する池上「平成」講義の登場だ。
昭和天皇が崩御された日の朝、高校の寮で、誰かが「天皇が死んだ!」と叫んで、そのことを知ったのを今でも覚えています。
「昭和」が60年以上も続き、「平成」に新しい元号が決まった際、今上天皇の御年齢もあり、「『平成』は、そんなに長くは続かないかもしれないな」と思っていたんですよね。
いま、平成30年。平成31年4月30日で今上天皇は退位され、翌5月1日から、新しい天皇、新しい元号の時代がはじまります。
とはいえ、あと1年以上もあるわけで、こういう「平成」を振り返る、というような本や特番がこれから増えていくのだろうな、と思いながら読みました。
「昭和生まれ」の僕は、職場で「平成生まれ」の学生たちと接して、「平成生まれ」の同僚と一緒に働くようになりました。
僕が仕事をはじめたときには、まだ明治生まれの患者さんが少なからずおられたのですが、いつのまにか、見かけなくなったよなあ。
明治が終わってからの年数を考えれば、いくら人間が長生きするようになったとはいえ、当たり前のことなのですけど。
1月8日からはじまった「平成元年」は、西暦でいうと、1989年にあたります。
1989年は、世界の歴史においても、大きな転換の年だったのです。
1980年代に入ると、ソ連の支配下にあった東ヨーロッパ諸国の中から民主化運動の波が起き、1989年11月、ついにベルリンの壁が崩壊。同じく1989年、ソ連のミハイル・ゴルバチョフとアメリカのジョージ・H・ブッシュ(父)が、冷戦の終結を宣言しました。1991年12月、ついにソ連が崩壊します。連邦をつくっていた15ヵ国がバラバラになり、ソ連を引き継いだのがロシア連邦です。
西側諸国は「資本主義の勝利」だと思いました。アメリカの政治学者フランシス・フクヤマは1989年の論文『歴史の終わり』の中で、資本主義の勝利を宣言しています。
確かに東西冷戦の40年間で、資本主義国はどんどん豊かになり、社会主義国は経済が発展しませんでした。最後のころは西側諸国の銀行から融資を受け手も返済のメドが立たず、完全に破綻していました。
でも、社会主義国・ソ連の崩壊は、西側諸国をいい気にさせてしまいました。西側諸国は、自分たちの国が、ソ連の仲間になったら困ると思えばこそ、政府は福祉を充実させ、労働者を大切にしてきました。
しかし、社会主義国が失敗し、もう敵がいなくなったと思えばやりたい放題です。東側と西側の壁がなくなったことで、企業はグローバルに出ていく。東側諸国の安い労働力を使って、稼ぎたいだけ稼ぐ。こうして時刻の中間層が消滅し、格差が広がっていきます。社会主義国の崩壊は、資本主義の暴走を生んだのです。
「社会主義国」という「敵」がいなくなったことによって、資本主義に歯止めが効かなくなってしまったというのは皮肉な話ではありますよね。
社会主義国家の困窮を知り、「あっちの国に生まれなくてよかった」と僕も胸をなでおろしたのですが、資本主義側の労働者としては、「自分たちが社会主義の国で生活したくはないけれど、社会主義国が存在してくれていたほうが、資本家たちへの牽制になっていた」という面もあるのです。
「敵」がいなくなると、内側から腐敗や暴走が起こる、というのは、歴史上、ずっと繰り返されてきたことでもあります。
湾岸戦争、イラク戦争が起こったのも平成の時代でした。
平成の30年間には、阪神淡路大震災、東日本大震災という、2つの大きな自然災害が発生し、多くの犠牲者が出ました。
阪神淡路大震災が発生したのと同じ1995年には、オウム真理教による地下鉄サリン事件も起こりました。
1994年の「松本サリン事件」について、池上さんはこう仰っています。
この事件は、世界で最初の一般市民に向けた化学兵器による無差別テロでした。
サリンは第2次世界大戦中、ナチス・ドイツが開発したとされていますが。その毒性は青酸カリの10〜20倍といいます。
日本はテロがなくて平和だね……と言っている人もいますが、とんでもない。
近年、欧州やアメリカで、人ごみにトラックで突っ込んで人を轢き殺すというトラックテロが多発しています。この手法が知られるようになったのは、2008年6月、秋葉原の「秋葉原通り魔事件」です。「こんなテロのやり方があるのか」とテロリストに知らしめてしまったかもしれません。
飛行機をハイジャックする方法を世界に知らしめたのは、日本の赤軍派が日航機を乗っ取り、機長に北朝鮮行きを要求した「よど号ハイジャック事件」(1970年3月)です。自爆テロのような、自分を犠牲にして大きな被害を与える手法としては、イスラエルのテルアビブ国際空港で無差別銃撃を行った日本赤軍の「テルアビブ空港乱射事件」(1972年5月)もあります。
時限爆弾を使ったテロもあります。東京のビジネス街、丸の内の昼下がり、三菱重工業本社前で起きた、「三菱重工爆破事件」(1974年8月)です。死者8人、重軽傷者380人を出した白昼の無差別テロ。時限爆弾をしかけて人を殺したのです。三菱重工業は日本の防衛産業の中核ですから、反戦を訴える過激派に狙われたのですね。
どこの国の話? と思うかもしれませんが、どれも日本のこと。実は日本は、「テロ先進国」なのです。
夜でもひとりで歩いてコンビニに行ける日本という国は、世界のなかでは安全な国ではあると思うのです。少なくとも日常においては。
ところが、いろんな手法のテロを生み出してきた国でもあるんですね。
そして、松本サリン事件で、警察やメディアから「犯人ではないか」と疑われ、孤独な戦いを強いられた河野義行さんのことを考えると、平成の時代になったからといって、冤罪がなくなったわけではないし、メディアリテラシーが劇的に向上したわけでもない、ということも覚えておくべきなのでしょう。
昔はひどかったけど、今は大丈夫。
そうであってほしいけれど、きっと、その「昔」の人たちも、同じ様に考えていたのではなかろうか。
平成の日本の経済といえば、バブル経済とその崩壊、そして、以後の長期低迷が思い浮かびます。
僕などは、まだ大学時代にバブルの残滓のようなものを経験していて、クリスマスをシティホテルで過ごす付き合いたてのカップル、なんていうのを耳にし、そのクリスマスにかかるという費用をきいて驚愕した記憶があるのですが、平成生まれの後輩たちは、「物心ついたときから、日本経済はずっと『低迷している』と言われつづけていて、これが普通なのだと考えている」のです。
よくバブルの頃のイメージは? と聞くと、「六本木で豪遊し、夜タクシーを拾おうと1万円札で停めた」という答えが返ってきますが、1万円では停まってくれないという実感もありました。1万円以内の距離だと思われてしまうからです。私は先輩から「白い紙を振れ」と言われました。白い紙なら、取引先に渡すタクシー券だと思って停まってくれる。1万円以上の支払いの可能性があるとタクシー運転手が考えてくれるというわけです。いかに異常だったか、いかに浮かれていたかがわかるでしょう。いまでは信じられないバブル時代でした。
思い返してみると、地方都市で学生をしていた僕にとっては、バブルの記憶って、前述したクリスマスの話くらいのものだったんですよね。
この話を読んで思うのは、そこまでしてタクシーをつかまえなくてはいけない時代より、今みたいに、タクシーの運転手が、近くても嫌な顔を見せないようにしている時代のほうが、僕にとっては生きやすいのではないか、ということなのです。
平成というのは、良いこともそうでないこともあったけれど、少なくとも戦場に強制的に送られて死んだ日本人はいなかったわけで、それだけでも、そんなに悪い時代ではなかったような気がします。
後世、「平成」は「大きな災害に見舞われたものの、総じていえば、日本史上まれにみる、平穏な時代だった」と語られるのかもしれません。
「歴史」に対して功罪半ばであり、だからこそ記憶に残る存在であった昭和天皇に比べると、今上天皇、そして美智子さまは、博愛の人であり、身を粉にして国民の痛みに寄り添ってくださった、と僕は感じています。
すぐ終わるのではないか、と思っていた「平成」なのですが、いま40代の僕は、「平成の時代を主に生きた人」になるのでしょうね。
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