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- 作者: 小林よしのり,田原総一朗
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小林よしのり×田原総一朗による、日本人が知っておきたい天皇論の本
23万部突破のベストセラー『天皇論』の著者小林よしのりと
ジャーナリスト田原総一朗が、
いまこそ日本人が知るべき天皇論を語る!
小林よしのりさんと田原総一朗さんという、「曲者」どうしの対談本、しかも内容は「天皇論」ということで、僕としては、「言いくるめられないようにしなくては」と、ちょっと身構えながら読んだのです。
あらためて話を聞いてみると、田原さんは「時代の観察者」ですし、小林よしのりさんはやっぱりすごく勉強している人だなあ、と感じました。
1970年代のはじめに生まれた僕にとっては知らない、というか、にわかには信じられないような「その時代時代の人たちにとっての天皇家」のことが語られています。
皇后・美智子さまが民間人としてはじめて皇太子妃となられたときのこと、僕は自分の親の世代(ちょうどいま70〜80歳くらい)からは、「美智子さまは本当に美しくて、気品があって、国民はみんな祝福し、そのご成婚をみるためにテレビを買った」と聞きました。
ところが、田原さんは、当時のことを、こんなふうに語っておられます。
田原総一郎:天皇家が民間人と結婚したのは初めてのことでした。皇太子妃は皇族か伯爵以上の華族から選ばれるのが、これまでの慣わしだった。だから美智子さんがお妃になることに、旧宮家や皇室関係者は大反対しました。「とんでもない」と。「天皇の皇統、天皇の歴史を破壊することになるじゃないか」と、美智子さんは大バッシングを受けるんです。
しかも美智子さんは、聖心女子大学の出身、つまりカトリック系の大学出身者です。だから、「もしかしたら、美智子さんは洗礼を受けているんじゃないか」と疑われた。それでこれもまた「とんでもない」ということになった。
一時は昭和天皇も誤解して注意をしたり、旧宮家からも「美智子さん批判」が高まったんです。中でも香淳皇后、つまり昭和天皇の奥さんと美智子さんの関係がとても悪かった。そしてこれを発端に、いろんないわれなき「美智子さんバッシング」が巻き起こり、美智子さんは病気になってしまった。
(中略)
田原:当時はいろんな雑誌が、美智子さんバッシングをやっていましたね。
小林よしのり:そのことをすべて、美智子妃は知っておられます。たとえば皇后になられた後でも、美智子さまは家の中で、わがまま放題でクリーニング代がものすごい額になったとか、そういう記事もありました。でもそんなのは全部ウソなんです。
「ご成婚フィーバー」は噓ではないのでしょうけど、リアルタイムでは、必ずしも歓迎ムードだけではなかったようなのです。
雅子さまバッシングと同じようなことが、今や「万人に愛され、敬われているようにみえる美智子皇后」にも起こっていたのです。
人間というのは、結局、同じことを繰り返してしまう生き物なのだな、と。
小林さんは、天皇陛下が、家族というものを知らず、それを持たないままで死ねない、と言うくらいに家族を渇望していて、その願いに美智子さまが感動し、夫婦で浩宮さま(現皇太子殿下)を育てることにした、というエピソードも紹介しています。
天皇家には、天皇になるための「帝王学」というものがあるし、庶民と同じというわけにはいかない。
そして、そういう教育を受けていない人間が、いきなり皇族としてふるまうのは無理なのだ、とふたりは仰っています。
あらためて言われてみればそりゃそうですよね。
しかしながら、いきなり皇族として振る舞える人をつくることは極めて困難にもかかわらず、現在の皇室典範では、「天皇になれるのは男子のみ」となっています。
現状を鑑みると、近い将来、皇族の男性は、悠仁さまだけになってしまうでしょう。
そうなると、今の制度では皇位継承者がいなくなってしまう可能性が十分あるのです。
側室を置ける時代ではないし、子どもができるかどうか、というのは、自分で決められることではない(つくらない、という選択のほうは可能だとしても)。
仮に生まれたとしても、性別はコントロールできません。
小林さんは、女性の皇位継承を可能にすることと、女性宮家の創設を長年訴えてきました。
もう、そんなに時間的な余裕もないんですよね。
天皇という存在が、これからの日本に必要であると考えるのであれば。
小林:わしは天皇制に反対している人たちは、基本的に天皇とは奴隷のようなものだと考えているんじゃないかと思うんです。基本的人権が天皇にはまったくありません。最後の奴隷制として残っているのが天皇制じゃないかというくらいに考えているのでしょう。
田原:天皇には職業の選択や選挙権、発言権もない。基本的人権といわれる権利も認められていませんね。
小林:天皇は不自由な身分に置かれてしまっている。その天皇にわれわれ国民が精神的に依拠しているのはよくないと思う。こんな奴隷ともいえる存在がある国家は、本当の民主主義国家ではないともいえる気がしますね。わしはその感覚がわかるわけです。天皇をはじめ皇室の方々は、ほんとうに気の毒だと思っているんです。
だから天皇や皇族を気の毒だと感じる、優しさからくる天皇制反対論者には、わしはそんなに反感を持たないんです。一番、腹が立つのは「天皇制は絶対に存続」と言っておきながら、天皇や皇族の人たちをロボットのように扱って、奴隷にしておくのがいいと主張している保守派と呼ばれる人たちです。あの人たちはただただ天皇をお飾りにして「今よりもっと奴隷になれ」と主張しているんです。
田原:昭和天皇は「あの戦争の責任は自分にある」と、マッカーサーにそう言った。それを引き継いで、今の天皇も懸命に償いたいと思っている。ところが保守派にしてみれば「あの戦争は正しい戦争」だった。だから天皇が太平洋戦争のことで謝罪し、償いに行くというのは「とんでもない話」だと思っている。保守派の人たちは東京裁判も間違っていると思っています。
昭和天皇が崩御され、今上天皇が即位されたのは、僕が高校生のときでした。
太平洋戦争と戦後の日本に立ち続けた昭和天皇という存在の大きさと比べると、正直、あんまり存在感ないなあ、と思ったんですよ、最初は。
子どもの頃は、日本という民主国家に「天皇」という、いろんな制約を科せられている存在が必要なのかどうか、疑問でもありましたし。
みんな平等で、本人は「人間宣言」もしているのに、これは「差別」なんじゃないか、とも考えていたのです。
もう、天皇制は必要ないのでは……と30年前は思いましたし、当時は、今よりずっと「天皇制廃止論者」の声が大きかった記憶があります。
ところが、平成に入ってからの今上天皇と美智子皇后のさまざまな献身的ともいえる活動は、天皇家への好感度を昭和天皇の時代よりも上げているように思われます。
今上天皇は、自ら被災地を訪れ、慰霊の旅などで平和へのメッセージの発信を、ずっと続けておられます。
生前退位、というのも、「高齢で体力に不安があっては、務まらない存在であり、後継者にもその活動を引き継いでほしい」という気持ちがあるからなのでしょう。
にもかかわらず、このままでは天皇制廃止論云々以前に、天皇家は自然消滅してしまいかねなくなっているのです。
小林:わしは眞子さまがご結婚されるお相手を見ました。一般人が皇室に入ることを気色悪いという人がいますけど、彼であれば気色が悪いと言う人は誰もいないと思いますね。小室圭氏は国民に好感度抜群です。眞子さまが女性宮家をつくって小室圭氏に皇室に入ってほしいと思う人は、少なからずいると思います。あの男性を見たら「なんかいいじゃん」「すげー爽やか」で、気色悪いとか全然思わない。竹田恒泰が皇室に入ってきたら「気色悪い」と言うだろうけど、小室氏は爽やかだ。
僕もそう思います。竹田さんについての言及も含めて。
本当に天皇制が必要なものであれば、悠仁さまひとりに責任を負わせようとするのではなく、なるべく早く動いていくべきなのでしょう。
僕個人としては、女性天皇にも女性宮家にも賛成だけれど、それ以上のことはもう、自然にまかせるしかないのだろうな、と思ってもいるのですけど。
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