ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて (コミックス単行本)
- 作者: 西原理恵子,高須克弥
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/04/26
- メディア: 単行本
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内容紹介
誰も高須克弥院長を止められない!!熟年バカップル恋愛を赤裸々に描いた「ダーリンは71歳」のスピンオフ本です。「尿漏れ」「ツイ廃老人」「やわらかメンマ」などなど、描かれたい放題だった高須院長が、思いっきり反論に転じたロングインタビュー本なんです。彼女・西原理恵子さんの描き下ろしマンガも多数収録。感涙名作シリーズとなった「りえくまちゃんとぼく」の新作も!!
うーむ、世の中には、とんでもない人がいるなあ!
と思いつつ読みました。
けっこう大きめの字で、分量が多いわけではなく、マンガも少なめ。
西原理恵子さんとのことは、西原さんのマンガに「エンターテインメント」として書き尽くされている感はあるのですが、男性側からみると、西原さんは西原さんで、けっこうめんどくさい人ではあるのですね。
交際宣言から7年。
ケンカなんて、しょっちゅうしている。
「ケンカができるっていうのは、仲がいい証拠」みたいに言われることもあるけど、なんで怒ってるのかわからんという不安も、あるわけです。あとから聞いて、なるほど、そういう心の機微というのが世の中にはあるんだなあと思う。
僕、絶対、謝らないからね。謝ったら、負けだもん。
サイバラも、怒って、すぐに帰っちゃう。
「もういい」って、すぐ言うんですよ。口癖なの、サイバラの。
ぷいっと怒って出て行ったけど、どうせバーで飲んでるんだろうと思ったら、全然戻ってこない。機嫌をとろうと思って、携帯をいくら鳴らしても出ないし、留守電にもならない。よっぽど、腹が立ったんだろうね。「帰る」のひと言もなしに、帰っちゃったこともある。あんまりだと思ったけど、案外、それでうまくいってるのかもしれない。
僕とサイバラは、まるで違うんだから、あわないときはあわなくって、当たり前。
どっちにも、言い分がある。どっちも、正義なんです。
大人だなあ、というのと、こういうことができるのも、手が離せない育児なしの交際だからなんじゃないかな、というのと。
そういう意味では、ある程度の年齢になってからの「恋愛のための恋愛」というのも、悪くないものなのかもしれませんね。
正直、あまりにも破格すぎて、何か僕の人生の参考になる、というわけではないんですよね。
でも、まったく参考にできないような「とんでもない人」の話というのは、それはそれで面白い。ほんと、「面白い」としか言いようがないのです。
この本のなかで印象的だったのは、高須先生のこの言葉でした。
言っておくが、僕は、ロバをバカになんかしていない。
ロバには、ロバの才能があるのだ。 それなのに「みんな、平等」といい「君たちは、無限の可能性を秘めている」と言う。
そんなのは、嘘だ。才能や可能性というものは、本来、非常に限定的で、特化されたものだ。見込みがないことを、いくら努力して、何になる。
世の先生たちや、親御さんたちにも、言いたい。
「夢は大きく、羽ばたきなさい」と言う前に、その子がどんな才能を秘めているのか。見つけ出してやるのが、身近にいる大人たちの役割じゃないのか。
どんなに才能があったって、それが花開くには、やるべき時にやるべきことをやらないといけない。やる時期があるんです。少年の時にしか咲かない花もあれば、ジジイになって、初めて円熟する才能もある。
いろんな才能がある。ただ、「これをやりたい」と言ってるだけのヤツは、ただの願望のことも多い。経験のある人なら「いや、コイツは、こんなことをやっていてもダメだ」って見抜いて、もっと本領発揮できる道があることを示唆してやれるんじゃないか、
才能って、人が見つけてくれることもあるんですよ
平等を唱える人間ほど、ロバがロバであることをバカにしてる。
「みんな、平等だ」、「おんなじだ」と言うけど、おんなじじゃない。そんなことは、見た目だけでもわかる。ロバは、ロバなの。それの何が悪い。
ロバにはロバの才能があるんだから、立派なロバになればいい。
僕は、自分自身が親として子どもに接する前であれば、この文章に嫌悪感を抱いたと思うのです。
でも、実際に自分の子どもと接していると、「子どもっていうのは(というか、人間っていうのは)、興味があること、やりたいことだけを好きなようにやっていたら、本当に自分がなりたいものを見つけたり、それになるための能力を身につけることは難しいのではないか」とも感じています。
僕だって、子どもの頃、本当にやりたいことだけをやっていたら、たぶん、家に引きこもってテレビゲームと読書に明け暮れていたはずです。
どんな絵本を読んであげるか、とか、何を褒めて、何を怒るか、というだけでも、人間は方向付けられてしまうものですし。
その一方で、あまりにも道筋を狭くしてしまいたくないな、とも考えています。
サイバラには「ツイ廃老人」とバカにされるけど、ツイッターは、思ってもいなかった人たちと出会えるから、やめられない。
自慢じゃないけど、僕は、誰もブロックしたことがないんですよ。
来る者、拒まず。ノーブロックの男なんです。
お望みとあらば、誰でもお相手しますよ。
ポケモンと同じで、玉石混淆、いろんな種類を集めるから面白いんだと思ってる。
中には、やけに挑発的な人もいて、なんで、いちいち、そんなヤツを相手にするんだと、うちの秘書にもよく𠮟られるんだけど、みんなにとって悪いヤツが、僕にとっても悪い人とは限らない。
正直、高須先生、そんな人たちを、いちいち相手にしなくても……と思っていたのですが、こうして「ノーブロック宣言」されると、かえって清々しいものではありますね。これもまた、ひとつの「戦略」なのかな。
『あしたのジョー』の「ノーガード戦法」を思い出しました。
まあ、誰が読むんだこれ、と言いつつ、僕が読んでいる、そういう本です。
fujipon.hatenadiary.com
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- 作者: 西原理恵子,高須克弥
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