カラー版 イースター島を行く―モアイの謎と未踏の聖地 (中公新書)
- 作者: 野村 哲也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/06/25
- メディア: 新書
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内容(「BOOK」データベースより)
南太平洋に浮かぶ孤島イースター島。そこには千体ものモアイ像が眠っている。かつては緑溢れる豊かな島だったが、「モアイ倒し戦争」や西洋人の来航によって、一万人以上いた島民は約百人にまで激減、文明は失われてしまった。しかし、いまではモアイが再建され、文化復興の動きもめざましい。本書は島内に立つすべてのモアイ像を紹介し、文明滅亡の謎に迫る。さらに島民にも知られていない、隠された聖地へ読者を誘う。
南太平洋の小さな島、イースター島。島の人口は、約5700人。
イースター島といえば、誰しも思い浮かべるのは、かの有名なモアイ像だろう。虚空を見つめ、海を背にして立ち並ぶ、謎めいた三頭身の石像彫刻。ミステリアスでいなかたら、どこかユーモラスでもあるこの石像群は、10世紀から17世紀にかけて、各部族の守り神や墓標として作られたものとされている。
モアイの語源には諸説あるが、島民たちに聞けば、誰しも「生きている顔」のことだという。
この島は、あの「モアイ像」で知られています。
僕も、ぜひ一度現地で「モアイ」を観てみたい、と思っているのですが、まあ、そう簡単に行ける場所でもなく。
とはいえ、お金と時間はかかりますが、旅行会社のツアーで普通に行ける島、でもあります。
この新書は、世界を旅していた際に、この小さな島に魅せられ、通い続けている著者が、普通に観光できる、イースター島の「表の顔」と、ごく少数の島民しか知らないような「隠れた聖地」を紹介したものです。
著者は写真家だけあって、使われている写真も素晴らしく、読んでいるだけでも、イースター島に行ってみたような気分が味わえますし。
これを読んでいると、僕がイメージしていた「モアイ」と、実際のものとはかなり違うのだ、ということがわかります。
僕は「同じような顔の像が、島のなかにたくさん存在しているのだろう」と思っていたのですが、モアイというのは、個体や製作時期によって、それぞれ違いがあるのです。
中には「1982年に大阪にやってきたモアイ」もいるのだとか。
さらに、モアイのなかでも、もっとも美しいとされたものは、イギリス人に持ち去られ、現在は大英博物館で展示されているのです。
そんな大きなもの、よく持ち帰ったな、というのと、それ、返さなくていいのかよ、というのと。
まあ、観光する立場からすれば、大英博物館のほうが、交通の便も良いし、ひとつくらい別の場所にあっても良いんじゃない?とも思わなくはないですが、それにしても、ねえ。
ちなみに、この島では、400年くらい前に「モアイ倒し戦争」というのが起こったそうです。
島が最も繁栄し、モアイ制作が最盛期を迎えた1600年前後、島の人口はわずか数十年で約2倍から4倍に膨らんだ。農地に恵まれないイースター島は、深刻な食料不足に見舞われ、島民は12の部族に分かれて資源の争奪戦を激化。守り神であるモアイを互いに引き倒し、マナの力を削ぐため、その眼を粉々に砕いた。この一連の争いをモアイ倒し戦争=フリ・モアイと呼び、その後150年ほどで島内のすべてのモアイが倒されてしまった。現在の島には、放置されたものや作りかけのものまで含めると1000体のモアイが確認されているが、再建されたモアイはそのうちのわずか45体に過ぎない。
「モアイ倒し戦争」なんて、語感だけだと、運動会の「棒倒し」みたいな印象を受けるのですが、これは島全体が舞台となった大きな戦争だったのです。
この倒されたモアイを再建するのに、日本の企業が協力したことも、紹介されています。
そして、モアイには「胴体」があるんですね。
ノルウェーの探検家トール・ヘイエルダールが、約60年前に発掘したモアイがある。今は埋め戻されているが、頭部の約2倍の大きさの胴体が地中に埋まっている。
この本のなかには、その発掘時に撮影された写真も載せられています。
また、「正座をしているモアイ」なんていうのもいるんですね。
もし、イースター島を訪れることがあれば、「あっ、モアイだ!」だけで終わりにするのではなくて、ひとつひとつのモアイの「個性」にも注目してみたいものです。
イースター島といえば、どうしてもモアイの話が中心になってしまうのですが、この本では、モアイ以外の島の文化やお祭りの話、皆既日食のときのイースター島での撮影の話など、「モアイだけじゃない、魅力的な島」のあれこれが紹介されています。
オバヘ・ビーチというピンクの砂浜のビーチもあるんですね。
なかなか、ツアー旅行で訪問できる場所ではなさそうですし、いちげんさんには敷居が高そうな場所も多いのですが、美しい写真にも惹きつけられます。
興味を持たれたら、書店で手にとって、めくってみてください。
きっと、手もとに置いておきたくなります。
一度は行ってみたい、イースター島。
考えてみると、僕が「モアイ」に興味を持ったのは、KONAMIの『グラディウス』だったのです。
なんのかんの言っても、テレビゲーム直撃世代なんだよな、と再確認。