あらすじ: ユニークな浴場を作り上げ、一気に名声を得た古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)は、剣闘士の傷を癒やすための浴場建設の命を受け頭を悩ませていたところ、またもや現代の日本へタイムスリップ。そこで風呂雑誌の記者になっていた真実(上戸彩)と再会を果たすも、やがてローマ帝国を二分する争いに翻弄(ほんろう)されることになり……。
2014年16本目の劇場での鑑賞作品。
小雨模様の平日で、夕食どきの通常料金の時間帯だったこともあり、観客は僕も含めて4人でした。
『アナと雪の女王』は、同じくらいの上映開始時間でも、けっこうお客さんがいたみたい。
この『テルマエ・ロマエ2』、『1』が先日テレビ放映されていたんですよね。
それを観ながら、「これ、続編をどうやって作るのだろう?」と。
『スパイダーマン』みたいに、前の映画を「なかったこと」にして、物語の最初からリメイクする、というわけではなく、主要キャストは続投。
前作の最後に、「各登場人物のその後」が簡単に語られています。
『1』は、「ハドリアヌス帝とルシウス、そしてテルマエ、真実を繋ぐ大きな物語」と「小ネタ」が程よくミックスされていて、「気軽に楽しめて、『映画らしさ』もそれなりに堪能できる良質の娯楽作品」だったのですが、うまくまとめてしまっただけに『2』を作るのは、大変そうでした。
ハドリアヌス帝が急に死ぬわけにはいかないし、ケイオニウスは、疫病で死ぬことになっているはず。
ローマが急に滅亡するわけもない。
そんな中、帳尻を合わせて書かれたものであることが、ヒシヒシと伝わってきます。
結局のところ、「歴史に沿った大きな物語」の続編をもうひとつ作るというよりは、2時間の映画になるまで、ひたすら小さな笑えるネタを組み合わせていった、という印象なのです。
ルシウスというキャラクターへの、現代日本側の「驚き」みたいなものはもう極力カット、現代日本からローマに戻るシーンもカット、真実はあんな永遠の別れのような感じで『1』が終わったのに、『2』では、「帰ってきたルシウス」を、ごく当たり前のものとして受け入れています。
もちろん、これは「そういう人情の機微」を描くための作品じゃないのだけれど。
しかしながら、壮大なコロッセオとグラディエイターたちも、日本の相撲取りたちも、なんかすごい伏線というか、これがクライマックスに繋がってくるんだろうな、と思いきや、意外と地味な役回りで、もったいないなあ……と。
映画『グラディエイター』が大好きな僕としては、「今回のクライマックスは、ルシウスが大観衆のなか、あの化け物じみたヤツと対決するに違いない」と思っていたんですけどね。
なんだか、「サーベルを持ち歩いているのに、使用するときは、柄の部分で殴るだけの、タイガー・ジェット・シン」みたいなもどかしさ。
「前作と同じような、日本のマネをして風呂をつくる話ばっかり!」
なのですが、考えてみたら、ルシウスができることって、「お風呂をつくること」しかないわけで。
それが、『テルマエ・ロマエ』。
ストーリー面での物足りなさ、前作の繰り返し感はあるのですが、ちりばめられた小ネタはけっこう笑えます。
個人的には、阿部寛さんのお尻に驚きました。
これは立派なケツだなあ、と。
上戸彩さんは、そんなに露出は多くないのですが、水面から出ている鎖骨がなんだかとっても色っぽい。
このふたりの関係は、淡いだけに、なんだかとてもせつなくて。
最後、ルシウスが真実に感謝の気持ちを伝えるシーン、観ていて、ちょっと涙が出てしまいました。
ああ、阿部寛さん、不器用な男がハマりすぎてる……
そして、上戸さんの「素直なかわいさ」みたいなものも、伝わってきて、すごく良かった。
この『2』は、この主役2人の魅力に、☆ひとつ追加です。
とにかく「2時間気楽に観られてそれなりに面白い、万人向けの娯楽映画」として、よくできている映画でした。
前作が予想外の大ヒットをみせ、難しい状況のなか「前作と同じようなことをやって、観客をそれなりに満足させる」というのは、けっこう難しかったと思うんですよ。
それを、よくこのレベルまで引き上げてきたものです。
ちゃんとお金と手間がかかっている、家族で観られる娯楽映画って、ありそうで、なかなかありません。
『テルマエ・ロマエ』シリーズはそのなかのひとつなのです。
まあでもほんと、やっぱり、ルシウスは阿部寛さんじゃないとね!
さすがに『3』は無いとは思うけど……