【読書感想】伝え方が9割 ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

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【読書感想】伝え方が9割 ☆☆☆☆

伝え方が9割

伝え方が9割


僕が読んだのは、こちらのKindle版。
2013年4月14日朝の時点では、1120円でした。
僕の購入時には560円で、紙の単行本(1470円)よりもだいぶ安くなっていました。

伝え方が9割 【「伝え方が9割 2」試読版付き】

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内容紹介
なぜ伝え方で結果が変わるのでしょう?


たとえば、好きな人がいるとします。
でもその人は、あなたのことに少しも興味がないとき、
何と言ってデートに誘いますか?


「デートしてください」


こう言ってみました。あなたのピュアな気持ちそのままですね。
これだと断られる確率が高いですよね。
ですが、コトバ次第で結果を変えることかができます。


「驚くほど旨いパスタの店が
あるのだけど、行かない?」


こう言ってみました。相手は行っていいかも、と思う確率がぐんと上がるコトバです。
どちらにしても、実は「デートしませんか?」という同じ内容なのです。
同じ内容なのに、伝え方で結果が変わってしまう。
これは驚くべきことと思うかもしれません。
ですが、あなたは今までの人生で、「伝え方で変わるのでは?」と、
うすうす気づいているのではないでしょうか。


伝え方にはシンプルな技術があります。


この本は、著者が膨大な時間とトライ&エラーで導き出した方法論を整理しました。
料理のレシピのように、誰でもコトバをつくれるよう体系化してあります。
誰でも自分の日常から、試行錯誤の上で伝え方の技術を身につけることもできますが、
それだと辿り着くまでに十数年かかってしまいます。効率がよくありません。
この本は、著者のように回り道をしなくても魅力的なコトバを最短でつくれるよう構成してあります。


僕はこういう「ノウハウ本」って、あまり信用していないのですが、この本は面白く読めました。
けっこう参考にもなると思うしね。


たぶん、こういう「ちょっとした言い回しで、相手をその気にさせるテクニック」って、人の心を操るみたいで、なんだかイヤだな、と思う人もいるんじゃないでしょうか。
僕も、読みながらそんな気持ちに少しなりました。


でも、よくよく読んでみると、ここに書いてあるのは、「相手を騙せ」っていうわけではなくて、「相手のことをよく見て、考えて言葉をかければ、わかってもらいやすいですよ」ってだけのことなんですよ。
そして、やっぱり大事なのは、言葉の使い方だけではなくて、日頃の自分の接し方なのです。
だって、伝え方を工夫しても、いくら美味しいパスタが食べられるからといって、嫌いな人と二人っきりで、ごはん食べには行ってくれないはず。
少なくとも「悪くは思っていない」くらいの状況で、はじめて「伝え方」は生きてくるのです。
「デートしない?」って言われたら、「うーん、ちょっとゴメン……」でも、「美味しいパスタの店があるんだけど」ならOKしてくれるような関係というのは、少なくとも「多少は見込みがある」はずです。
そもそも、「デートしようよ!」ってストレートに言われて、「うん」って即座に頷いてくれる人って、あんまりいませんよね。
そのへんは、誘われるほうだって、「たしなみ」みたいなものがあるのだろうし。
安請け合いしてしまっても良いのだろうか?と身構えてしまうこともあるかもしれません。


タイトルは『伝え方が9割』ですが、本当の内容は『伝え方が、最後の1割』くらいだと思います。
でも、その「1割」を間違うと、「九仞の功を一気に欠く」ことになりかねない。
「勝ちゲームを、そのまま勝ちゲームとして終わらせる」クローザーの存在というのは、とても大切なんですよね。
クローザーがしっかりしていると、そこにつなげるまでのピッチャーも、安心して自分の役割に専念できる。


世の中にあふれている「ちょっと引っ掛かる表現」も、著者のような言葉のプロフェッショナルによって、計算されたうえで使われているのだなあ、と感心しました。

 最近、コンビニのトイレで書かれているお願いのコトバが変わってきました。以前は、


「トイレをキレイに使ってください」
 と書かれていました。でもこちらだと、コンビニ経営者の自分のメリットでしかありません。キレイに使ってくれる人もいれば、使わない人もいたのだと思います。それが最近ではこう変えています。


「トイレをキレイに使っていただき、ありがとうございます」


 感謝が入ると、人はお願いを拒否しにくいのです。最近ではほとんどのコンビニがこのコトバに変わりました。実際に効果があるのでしょう。

 最近、たしかにトイレでよく見ますよね、この「ありがとうございます」。
「まだ使う前に、そんなこと言われても……」と思うのですが、たしかに、先回りして「ありがとうございます」と言われてしまうと、ちょっとプレッシャーがかかるような気がするのです。
 「命令」には反発したくなるけれど、「感謝」とか「信頼」は裏切りにくい。
 もちろん、「そんな作戦には引っ掛からないぞ」っていう人もいるのでしょうけど、少なくとも僕はそうです。
 たしかに、「実際に効果がある」のだろうなあ。


あと、こんなのもすごく参考になりました。

 子どもを持つすべてのお父さんお母さんに耳寄りな方法です。「勉強しなさい」と言っても、子どもは勉強しないですよね。子どもは素直です。やりたくないことは、やらない。それで頭を悩ませているご両親も多いことでしょう。それなら、やりたいと思わせるよう伝えればいいのです。子どもが勉強をしてしまう、魔法のコトバがあります。


「いっしょに勉強しよう」


です。

 なぜこのコトバで「魔法」がかかるのかは、実際にこの本を読んでみていただきたいのですが、これはまさに僕がいまちょっと悩んでいることだったので、今度試してみようと思っています。
 もちろん、これはコトバだけではなくて、親もそれなりに「実行」しなければならないのですけど。


 正直、1470円だと、「ちょっと割高かな」と感じるのですが、Kindle版の(僕が買ったときの)560円なら、「ああ、これは読みやすいし、けっこう参考になる」という本だと思います。
 「技術じゃない、心だ」という人もいるかもしれませんが、本当に「心」があるのなら、相手に伝わりやすくするための技術を学ぶ手間を惜しむのは、もったいない。
 まあ、1470円でも、領収書1枚経費にしてくれれば、十分以上に「元がとれる」のですけどね。
「美味しいパスタ」目当てで行った食事が、人生を変える、そんなこともありえるわけですし。

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