アリス・イン・ワンダーランド ☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

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アリス・イン・ワンダーランド ☆☆☆☆

『アリス・イン・ワンダーランド』オフィシャルサイト(注:音が出ます!)

退屈な男からの求婚に戸惑う19歳のアリスはウサギを追って、あの不思議な地下世界に13年ぶりに降り立つ。そこは独裁的な赤の女王に支配され、暗黒時代の様相を呈していた。地下の住人たちに救世主と信じられているアリスは、危険な冒険を繰り広げることに……。

2010年7本目の劇場鑑賞作品。
3D版を観ました。
5月10日、ゴールデンウイーク明けのレイトショーだから、さすがに閑散としているのではないかと思いきや、70人くらい入っていてけっこう盛況。やはり、3D版のほうが人気みたいです。

この『アリス・イン・ワンダーランド』、3D映像は確かにすごいといえばすごくて、「同じような3D映像を、つくば万博で3時間くらい行列して観た時代のことを思えば、これが家の近くの映画館で観られるなんて信じられないよなあ……」と感慨深かったのですけど、その一方で、『アバター』のほうが映像的にはインパクトあったな、という気がしました。
いや、どっちが優れているというよりは、『アバター』のほうを先に観てしまったので、どうしても二番煎じのように感じてしまうんだよなあ。
スーパーファミコンの初期のゲームに、やたらと拡大・縮小・回転が使われていたのと同じように、現段階での「3Dらしい演出」って、どうしても似てしまうのでしょうし。

ストーリーは古典的な「自分探し」で、アクションもそんなにドキドキするようなものじゃないし、宣伝では壮大なスケールに見える合戦シーンもチープ。ジョニー・デップの出番も少ない。

僕はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』をちゃんと読んだ記憶がなくて(忙しそうなウサギとトランプの服を着た人が出てくる話、というくらいのイメージしかありません)、全くと言っていいほど思い入れもありませんでしたので、キャラクターもよくわからず。
ですから、「原作」を知っていれば楽しめた場面を見落としている可能性が高いと思います。
ただ、「原作に思い入れが無い人間」にとって、魅力的だと感じたキャラクターはいませんでした。
アン・ハサウェイ仕事ないの?と言いたくなるような、うさんくさい微笑みを常に浮かべている「白の女王」って、「いつこいつが裏切るんだろう……」って感じだったし。
あえていえば、「赤の女王」の率直さは、けっこう印象的だったかも。

ほとんどすべての面で、「ちょっと残念」なこの『アリス・イン・ワンダーランド』なのですが、僕はこの映画が、僕たちが住んでいる「現実」とは違う、「アリスの世界」を描こうとしているところに好感を持ちましたし、これはこれでけっこう楽しいな、とも思ったんですよね。
ひとつひとつのパーツは「いまひとつ」でも、全体としての「世界」は、けっこうよくできている。
この映画を観ることによって、2時間くらい「日常を忘れることができる」のも事実。

あんまり期待しすぎず、教条的な部分にはこだわらずに観れば、それなりに楽しめるのではないでしょうか。
しかし、ティム・バートンジョニー・デップの最大のヒット作がこの映画というのも、それはそれで残念な気もしますね。

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