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のどかな地方都市舞坂町で旅行会社に勤める北原(江口洋介)は、ある日、突然舞坂町ととなり町の森見町が戦争を始めたことを知る。だがその後も表立った変化は見られず、彼も相変わらずの日々を過ごしていた。そんなとき、舞坂町役場対森見町戦争推進室の香西(原田知世)という女性から辞令交付式の件で電話がかかってくる。 (シネマトゥデイ)
映画を観終えての感想。
「うーん、あんまり予算がなかったんだなあ……」
いやまあ、原作の小説が、「目に見えないけれど、身近なところで起こっている戦争」と「そういう戦争に対する『一般市民』の接し方」というものをテーマにしているので、どう考えても映像的には地味な映画にしかならないだろうな、とは予想していたんですけど。
たぶん、原作を読んだことがない人には、「SFロマンティック・コメディ」だと思われてしまうのではないかという気もするんですよね。原作で感じた、「無機質な恐怖」みたいなものは、映像化されることによって、かなり薄められてしまっていますし。
小説の感想のときにも書いたのですが、この映画を2時間観続けることができるかどうかというのは、ひとえに「香西さん」というキャラクターを受け入れられるかにかかっています。
この映画では、主人公・北原を江口洋介、無表情・無感情の職務に忠実な町役場の職員・香西さんを原田知世が演じているのですが、僕にとってのこの映画の最大の見どころは、「おお、原田知世が出てる!」という点でした。
いや正直、この映画、年齢のわりには(というのは失礼ですね)相変わらず可愛らしい「原田さんの役場の制服姿に萌え!」という以外に、あんまり印象に残るところがないんです……無表情、無感情のキャラクターというのは、けっこう原田さんに合っているような気もしますし。
ただ、やはりこれは商業映画の宿命とでも言うべきか、ラストはちょっとわかりやすくなって(というか、観客にそれなりのカタルシスを与えるようになって)いますし、登場人物たちも、けっこう「派手に」なっています。
しかし、映像化されたものを観てみると、『となり町戦争』というのは、目に見えるような場面を増やせば増やすほど、小説で描かれていた「怖さ」の本質が失われていくようにも思われました。
この映画の原田知世さんは、本当に僕にとっては「ツボ」ではあったし、昔からのファンにとっては、とりあえず、「原田知世さんの年のとりかた」と観られるだけで満足」だったんですけどね。
- 作者: 三崎亜記
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