新型コロナウイルスの感染予防のため、ステイホーム生活が2か月くらい続いていたわけなのですが、その間、新たにYouTubeをはじめた人もたくさんいました。僕自身は自分で動画配信をやることはなかったのですが、こういうときに、新しいことを始めてみようと思う人が、たぶん、通常運転の世の中でも頭角を現すのだろうな、と感じていたのです。
僕はけっこう「ぐったり」していて、ゲーム配信とかの動画を人生でいちばん長時間観ていました。せっかくだから、まとまった文章でも書けばよかったのに!……って、ブログ、とくにこのブログが最近長くなりすぎているのも事実なのですが。
このステイホーム生活で観たいろんな動画のなかで、観たときにはそうでもなかったけれど、じわじわと僕に効いている言葉があるんですよ。
それは、人気パチスロライターの木村魚拓さんがはじめた『きむちゃんねる』の「おとな電話相談室」という動画の中に出てきました。
「『やりたいことをやればいい』と多くの人が言うけれど、自分には、その『やりたいこと』が見つからない。どうすればいいですか?」
という問いに、木村魚拓さんは、こう答えていたのです(うろ覚えで、「おとな電話相談室」のどの回だったかも忘れたので、僕の記憶で書いています)。
「もちろん、やりたいことがあれば、それをやるのが一番良いと思う。でも、みんな「やりたいこと」が常にあるわけじゃないのもわかる。だから、『やりたいことが見つからないときには、まず、お金を稼ぎなさい』と俺は言うようにしている。もちろん、悪いことじゃない方法で、だけど」
すごく特別なことを言っているわけじゃないと思うし、リアルタイムで聞いたときには「ああ、魚拓さん、なんか良いこと言ってるな」と聞き流してしまったのだけれど、世の中が平常運転に移行していくにあたって、なぜか僕はこの言葉を何度も思い出しているのです。
僕自身、コロナ禍のなかで、いろんなトラブルや怖さを感じることもあって、もう何もやりたくないなあ、全部投げ出してしまいたいなあ、と思うことはあるのです(というか、今でもそういう発作に襲われることはあります)。
でも、そういうときだからこそ、「やりたいこと」を頭で考えようとするよりも、「とりあえず、身体や頭を動かして、お金を稼ぐ」ことが、未来につながることもある。
僕の経験上、「やりがい」よりも「お金」のほうが、仕事でのパフォーマンスや自分の機嫌を安定させることが多いですし。
もちろん、「これをやるためなら、どんなに貧乏してもいい」と覚悟できるくらい「やりたいこと」があれば、そちらを優先するべきなのだろうけど、そういうのを持っている人ばかりじゃない。
コラムニストの小田嶋隆さんが、『小田嶋隆のコラム道』という本のなかで、「書くためのアイディア」について、こう書かれています。
アイディアの場合は、もっと極端だ。
ネタは、出し続けることで生まれる。
ウソだと思うかもしれないが、これは本当だ。
三ヵ月何も書かずにいると、さぞや書くことがたまっているはずだ、と、そう思う人もあるだろうが、そんなことはない。
三ヵ月間、何も書かずにいたら、おそらくアタマが空っぽになって、再起動が困難になる。つまり、たくさんアイディアを出すと、アイディアの在庫が減ると思うのは素人で、実のところ、ひとつのアイディアを思いついてそれを原稿の形にする過程の中で、むしろ新しいアイディアの三つや四つは出てくるものなのだ。
ネタは、何もせずに寝転がっているときに、天啓のようにひらめくものではない。歩いているときに唐突に訪れるものでもない。多くの場合、書くためのアイディアは、書いている最中に生まれてくる。というよりも、実態としては、アイディアAを書き起こしているときに、派生的にアイディアA’が枝分かれしてくる。だから、原稿を書けば書くほど、持ちネタは増えるものなのである。
「自分がやりたいことの発見」や「仕事へのモチベーション」にも、これと同じような面があって、ずっとひとりで考えたり悩んだりするよりも、それが「お金のため」であっても、なんらかの仕事をしたり、活動をしたりしているうちに、そこで生じた疑問や問題点、あるいは感動や充実感が、「やりたいこと」を見つけるきっかけになりやすいような気がします。
お金がないと、気持ちの余裕もなくなってしまいますしね。
「やりたいことが見つからないときには、まず、お金を稼ぎなさい」
なぜ、この言葉がこんなに印象に残っているのか、僕自身も釈然としないのですが、そんな気分も含めて、ここに記録しておきたいと思います。
www.youtube.com
※このシリーズの何回目かに出てくるのですが、すみません、第何回か忘れてしまいました。誰か覚えている人は教えてください(自力で確認しきれませんでした……)