おお、デーモン閣下のユニフォームの背番号は「666」!
谷原章介さんのカープ愛がすごすぎて、インタビューが早送りされてる!
今日決まれば言うことなし、だったのでしょうけど、カープはマツダスタジアムで3連勝して、やれるだけのことはやったわけで、これはもう仕方が無い。
そもそもマジック減るのが早すぎ! マジックが出たときには、9月15日以降くらいに決まると思っていたのに。
去年、黒田の復帰もあり、優勝を期待されながら、4位に終わったカープは、今年なぜ「覚醒」したのか?
前田健太投手がドジャースに行ってしまい、野球評論家は軒並みBクラス、それも下のほうの順位予想だったのに、なぜ、カープは今年こんなに強くなったのか?
それを関係者に取材して解き明かす、という番組だったのですが、25分間だとちょっと短すぎるな、という内容ではありました。
石井啄朗打撃コーチの指導についての話。
「ボールに書かれた文字を瞬時に読み取る練習で、最後までボールから目を離さない力を養う」「3週間のキャンプのあいだ、毎日1000本の素振りで限界まで追い込む」
新井貴浩選手はインタビューのなかで、「とにかくつなげていくことと、1点を取りにいく。それが内野ゴロでもいいし、併殺崩れでもいいし、とにかくそういうシチュエーションになったら、1点をみんなで取っていく」という話をしていました。
でも、これまでカープを追いかけてきた僕にとっては、この石井コーチの練習は、そんなに斬新なものとも思えませんでした。
毎年、このくらいのことは、やっていたのではなかろうか。
にもかかわらず、今年は結果が出た。
どちらかというと、鈴木誠也の覚醒のタイミングと、菊池・丸の調子が良い年が、ちょうど今年に重なってくれた、ような感じがするんですよね。
新井さんは、正直よくわからない。よっぽど広島の水が合っているのかな、としか言いようがありません。ただ、去年くらいの成績だと、阪神にいたら出番は無かったかもしれませんから、この「出戻り」はこの上なく成功だった、と言えるでしょう。ほんと、黒田と新井が戻ってきて優勝なんて、なんて出来すぎたドラマなんだ!
それにしても、あの8月7日、巨人戦での9回裏2アウトからの菊池の同点ホームラン、そして、交流戦で苦しんでいたなか、一気にセリーグの混戦から抜け出すきっかけになった、鈴木誠也の「神ってる」3試合連続の勝利を決めるホームラン。新井の2000本安打に黒田の200勝。今年のカープは、記憶に残る場面を25年分凝縮したような戦いぶりです。
投手陣では、「インコース攻め」を積極的に行なうようになったことが紹介されていました。
野球ファンの掲示板をみていると、みんな「なんでインコースを攻めないんだ!」って言うんですけど、実際はなかなか難しいみたいなんですよね、インコースに投げるのって。長打や死球のリスクもありますし。
カープの今年のチーム別内角投球割合は、リーグNo.1の32%なのだとか(9月7日現在)。
リリーフ陣も、昨年が12勝20敗だったのが、今年は28勝17敗と大きく勝ち越し。
逆転が多い、ということもあるのでしょうが、去年の終盤は、頼りになるのは中崎で、消去法でヒースがまあなんとか、あとはもう、投げてみないとわからないけど、だいたい打たれる、という状況だったのですから、わずか1年で、隔世の感があります。
開幕時、顔ぶれはあまり去年と変わらないというか、昨年のオフ、リリーフが弱点だとわかっているのに、なんでもっと補強しないんだ?と僕は思っていました。
今年は、中崎にジャクソン、ヘーゲンズ(この人の存在が大きい)、今村、一岡、復帰してきた大瀬良、藪田と「敗戦処理がいないじゃないか!」という充実っぷりです。前半戦は、先発のルーキー岡田が好投してもリリーフがぶち壊す、みたいな試合ばかりで、毎日うんざりしていたのに。
黒田による若手の指導や「生きたお手本」としての影響の大きさも紹介されています。
黒田さんが、怪我をした大瀬良投手に「状態は大丈夫か 今の時間をしっかり使い レベルアップして戻ってきてくれ」とメールをした、なんていう話は感涙ものでした。
「良いピッチングをしたら、絶対に声をかけてくれる」そうですよ、あの黒田さんが!
黒田徒手は、つねに言っているのです。
「調子の良いときも悪いときも、ゲームをつくるピッチングをするのが、自分の仕事」と。
0に抑える、自分のピッチングで勝つ、というのではなく、「試合を壊さない」。
あの黒田さんでさえ、そうなのだから、自分たちも「完璧に抑えよう」なんて考えなくてもいいんだ、と若いピッチャーたちも思えたのではないでしょうか。
そうか、カープの若手投手陣が、黒田に「一緒にやりたい」って引き留めてくれたのか……
その結果が、優勝につながったのだから、黒田さんにとっても、本当によかったなあ、と思うのです。
20億円を捨てて4億円でカープに戻ってきた男の物語が、こんなハッピーエンドになるなんて、まるでマンガじゃないですか。いや、マンガだってこんなベタな話描けないよ。いや、まだ引退しなくていいんですよ黒田さん。ベンチに座っていてくれるだけでもいい。本人は「まだシーズンの大きな試合が残っているんだから、自分の去就なんて考えていない」だろうけど。
僕はこの放送をみながら、「ふたり」のことを考えていたのです。
ひとりは、昨年、緒方監督と確執があって退団したと言われている新井宏昌打撃コーチ。
もうひとりは、前田健太投手。
石井啄朗コーチの指導は素晴らしいのかもしれないけれど、野球選手というのは、ひとりのコーチがキャンプから指導しただけで、急に打てるようになる、というものではないんですよね。
優秀な打撃コーチとして知られていた新井さんの退団に、僕は失望していたのです。
後任は、コーチとしての実績は新井さんに遠く及ばない石井啄朗さんがチーフ打撃コーチで、あとの一軍の打撃コーチも昨年引退したばかりの東出コーチと現役時代「二軍の帝王」として名を馳せた迎コーチ。
何この人事……やる気あるの?と思っていました。
こうして結果をみると、石井さんがものすごく優れたコーチだったのか、その人のコーチとしての能力よりも、「首脳陣が仲良く一致団結してやっている」ほうが選手にとってはプラスなのか、「木を植える人と、果実を収穫する人は、必ずしも同じとは限らない」ということなのか、と考えずにはいられません。
昨年は打てなかったけれど、それまで丸をはじめとするカープの打撃陣を指導し、開化させてきたのは、新井コーチでしたし。
それでも、世間の評価というのは「結果が出たときに、そこにいた人」のものになるのです。
カープの「どうせ地方球団だし、勝てなくてもしょうがない」という負け犬根性に立ち向かって、空気を変えたのは、マエケンでした。
目立ちたがりだなあ、なんて思うこともありましたが、そういうマエケンがいなければ、いまの全国区のカープは無かった。
その一方で、今年、黒田さんと若手のコミュニケーションが活発になったのは「若手のリーダー」であったマエケンの不在の影響が大きかったような気がします。
黒田だって、マエケンに対しては、エースに対する遠慮があったし、マエケンがかわいがっていた選手たちには声をかけづらかったのではなかろうか。
それは、マエケンが器量の小さい人間だった、ということではなくて、「船頭多くして、船、丘にのぼる」という意味です。
緒方監督についても、いろいろと語りたいことはあるのですが、それはもう、優勝が決まったあとにとっておきます。というかすでにこのエントリが長い。ちょっと感想だけ書くつもりだったのに。
中継に出てきたカープファン、みんな楽しそうだったなあ。
今日優勝できなくて残念、と思いつつも、「もう少しこの高揚感を楽しめる」という喜びもあり。
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