写真撮影にスマートフォンを用いるのが主流の昨今、なかにはレトロでやわらかい雰囲気を表現するためにあえてフィルムカメラを選択する方も。フィルムカメラならではの表現力に魅せられ、購入を検討する方もいるでしょう。
この記事では、フィルムカメラの選び方やおすすめ商品を紹介。基本的な使い方も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
フィルムカメラの基本と魅力
フィルムカメラとは、デジタルカメラが普及する前に主流だったカメラのこと。デジタルカメラとの主な違いは、画像を記録する方法にあります。
デジタルカメラは電気信号で画像を保存する一方で、フィルムカメラはフィルムに塗られた薬品の化学反応を利用して画像を記録する仕組み。化学反応を利用したフィルムカメラならではの記録方法が、写真をレトロでやわらかな雰囲気に仕上げてくれます。
現像時につぶつぶとした薬剤「粒状性」があらわれるのもフィルムカメラの特徴のひとつ。デジタルカメラでは実現できない粒状性のつぶつぶ感を、写真の表現に活かす方も多いようです。
なお、現在フィルムカメラを製造するメーカーは少ないため、購入するならフリマアプリやリサイクルショップなどで探すのが基本。アナログ感を求めて、数十年前のフィルムカメラを購入するのも珍しいことではありません。
フィルムカメラで撮影をするにはフィルムが必要
フィルムカメラで撮影をする際は、別途購入したフィルムを装填(そうてん)する必要があります。つまり、フィルムをカメラにセットすることです。
装填の方法はカメラによって異なりますが、ほとんどが背面の蓋を開け、フィルムをセットして蓋を閉じる、というシンプルな流れです。
フィルムカメラに使われている主なフィルムは、「35mmフィルム」と「120フィルム」の2種類。下記のように、それぞれ写真の大きさと撮影可能枚数が違います。
フィルムの種類 | 写真の大きさ | 撮影可能枚数 |
---|---|---|
35mmフィルム | 小さめ | 24〜36枚 |
120フィルム | 大きめ | 8〜16枚 |
カメラの種類によって対応フィルムは異なりますが、一般的なカメラの多くは35mmフィルム対応。ただし、サイズの大きいカメラは120フィルムを使用する場合もあるため、事前によく確認しておきましょう。
このほか、フィルムの色の違いもフィルムカメラを使ううえで重要なポイント。フィルムの色は「カラーネガフィルム」、「白黒フィルム」、「カラーポジフィルム」の3種類が主流で、それぞれ下記のような特徴を持っています。
フィルムの色 | 特徴 |
---|---|
カラーネガフィルム | ・カラーの写真を撮影できるフィルム ・フィルムに色が反転した状態で記録され、プリントした際に本来の色が表現される |
白黒フィルム | ・白黒の写真を撮影できるフィルム |
カラーポジフィルム | ・カラーの写真を撮影できるフィルム ・カラーネガフィルムと違い、色が反転しない状態で記録される |
フィルムカメラ初心者なら、お店でかんたんに現像できるカラーネガフィルムを選ぶのがおすすめ。価格も安く、1,000〜2,000円程度でカメラ屋さんから購入できます。
フィルムカメラの選び方
ここからは、フィルムカメラの選び方を詳しく紹介。商品選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
フィルムカメラの種類で選ぶ
フィルムカメラと一言でいっても、その種類は多種多様。特徴も種類ごとに異なるため、自分が好きな見た目、カメラへのこだわりに合わせて選びましょう。
以下では、フィルムカメラの主な種類を紹介します。
一眼レフカメラ
一眼レフカメラは、撮影内容や被写体に合わせてレンズ交換ができる定番のカメラ。レンズには「単焦点レンズ」「広角レンズ」「望遠レンズ」「マクロレンズ」「魚眼レンズ」など数多くの種類があり、レンズごとに写真の雰囲気も変わってきます。
例えば、焦点距離が決まっている単焦点レンズでは、画像のボケを活かした撮影が可能。
また、広い範囲を1枚の写真に収めたいなら、広角レンズや超広角レンズが便利です。一眼レフカメラを購入するなら、レンズの種類や特徴も事前に調べておくのが◎。
コンパクトカメラ
コンパクトカメラは、その名のとおりコンパクトなサイズ感のカメラです。具体的なサイズは商品によって異なり、なかには手のひらに収まるほど小さいカメラも。重量も軽く、気軽に外へ持ち運べます。
また、シンプルな構成で写真撮影時に複雑な操作を必要としないため、カメラ初心者の方には特におすすめ。価格は控えめに設定されている機種が多く、購入予算に余裕がない場合でも豊富な選択肢から選べます。
レンジファインダーカメラ
レンジファインダーカメラは、内部に距離計が組み込まれているタイプのフィルムカメラ。撮影対象との距離に合わせてカメラを調整し、ピントを合わせる仕組みになっています。
ピントの合わせ方はやや複雑なものの、慣れれば一眼レフよりもかんたんに撮影が可能。シャッター音が静かで被写体にカメラを意識させずに撮影できることから、ありのままの姿を記録するスナップ写真を撮るカメラマンによく利用されています。
インスタントカメラ
インスタントカメラとは、撮影した写真がその場で自動的に現像されるフィルムカメラのこと。機種としては、「チェキ」や「ポラロイドカメラ」などが代表的です。
かんたん操作で手軽に写真撮影ができることから、カメラ初心者には特に人気。近年はスマホとの連携機能を備えたインスタントカメラも登場し、SNSにおしゃれな写真をかんたんに投稿できるカメラとして幅広い層に使われています。
ピントの合わせ方で選ぶ

フィルムカメラは、「マニュアルフォーカス」または「オートフォーカス」のいずれかの方法でピントを合わせて撮影します。
マニュアルフォーカスはピントを手動で合わせる方法。自由な構図でピントを合わせられるため、自分にとって理想的な表現の写真を撮影しやすいです。ただし、カメラ初心者の場合、ピント合わせに慣れるまで時間がかかることも。
一方で、オートフォーカスはカメラが自動的にピントを合わせてくれます。動物や車など、動いている被写体を撮影するときには特に便利。撮影に失敗しにくいため、初心者ならオートフォーカスでピントを合わせられるフィルムカメラを選ぶのが良いでしょう。
露出方式で選ぶ
「露出」とは、撮影をする際にレンズに取り込まれる光の量のことです。
一般的なフィルムカメラでは、完全手動の「マニュアル露出」、露出が自動で決まる「AE」のいずれかの方法で光の量を調整する仕組み。このうち、マニュアル露出はインスタントカメラ以外のほとんどのカメラで利用可能です。
AEには「絞り優先AE」「シャッター優先AE」「プログラムAE」の3種類があり、被写体に応じて使い分けるのが基本。それぞれの特徴は下記のとおりです。
AEの種類 | 特徴 |
---|---|
絞り優先AE | ・設定した絞りの値に応じてシャッター速度が自動で決まる露出方式 ・背景がボケた写真、全体にピントを合わせた写真の撮影に最適 |
シャッター優先AE | ・設定したシャッター速度に応じて絞りの値が自動で決まる露出方式 ・動きのある被写体を撮影するとき、躍動感のある表現をしたい場合に最適 |
プログラムAE | ・絞りの値とシャッター速度が自動で決まる露出方式 ・すべて自動で決めてくれるため、露出の調整に失敗しにくい |
カメラ初心者なら、かんたんに露出を調整できるAEを搭載した商品を選ぶのがおすすめ。撮影に慣れてきたら、マニュアル露出を使った撮影にも挑戦してみると良いでしょう。
フィルムカメラを探すなら「楽天ラクマ」がおすすめ
現在フィルムカメラを製造するメーカーはほぼないため、基本的には中古品から探すことになります。しかし、購入先によっては中古品のラインナップが少なく、お気に入りのカメラがなかなか見つからないことも。
フィルムカメラを効率良く探したいなら、「楽天ラクマ」の利用がおすすめです。「楽天ラクマ」は、フィルムカメラをはじめとしたさまざまな商品が出品されているフリマアプリ。出品者数が多いため、その分お気に入りの商品に出会える可能性も高まります。
場合によっては、未使用のフィルムやカメラケースなどがセットになったフィルムカメラも出品されており、これらは特にお得です。
また、商品の購入時に楽天ポイントを利用できるところもメリットのひとつ。お得にフィルムカメラを購入したい方、たくさんの選択肢から自分好みのフィルムカメラを選びたい方は、「楽天ラクマ」の利用をぜひ検討してください。
おすすめのフィルムカメラ13選
ここからは、初心者におすすめのフィルムカメラを13機種紹介。使いやすいカメラをピックアップしたので、気になる商品があればぜひ購入してください。

FUJIFILM “チェキ” INSTAX mini
かわいらしい見た目が魅力的なFUJIFILM(富士フイルム)「チェキ」。操作はとてもかんたん。フィルムを入れるだけですぐに写真を楽しめます。
本体が自動で適正な明るさを判断し、明るさ調整ダイヤルのランプが点灯。このランプに合わせてダイヤルを回せば、ちょうどいい明るさがかんたんに設定できるのです。
また、ダイヤルを「ハイキーモード」の位置にするだけで、アーティスティックなハイコントラストな写真が撮れるので、気軽にいろんな表現が楽しめます。

FUJIFILM 写ルンです
30年以上も長きにわたり多くのユーザーから支持されているフィルムカメラ。操作はシャッターボタンを押すだけのシンプルさ。この直感的な操作性が高い支持を集めている大きな要因といえます。
フィルムの装填など面倒な準備も一切不要で、気軽にシャッターチャンスを逃さずに済みます。
レトロな外観が若者を中心に人気です。休日のデートや旅行先での思い出作りに持ち歩きたくなること間違いなし。

Canon Autoboy
Canon(キヤノン) Autoboyは、アルミボディで高級感のあるデザインが特徴です。
レンズ性能は非球面レンズを採用することで、鮮明な描写力を実現。3倍ズームと広範囲のオートフォーカスで構図を自在にコントロールできます。
また、夜景モードなどの多彩な機能が揃っているのも魅力。記念の思い出作りに欠かせない日付入り機能もあり、大切なシーンを愛おしく後世に残せる名機といえるでしょう。

OLYMPUS PEN EE-2
1959年に登場したレトロな外観のOLYMPUS(オリンパス)のフィルムカメラです。カメラの性能も抜群。プログラムAEを搭載しており、シャッターボタンを押すだけで、絞りとシャッター速度が最適に調整され、味わい深い写真が楽しめます。
セミオートの操作性で初心者でもいい写真が撮りやすいうえ、ベテランの方でもテイストに合わせた微調整が可能。
永遠に残しておきたい1コマを美しく残すなら、このカメラがおすすめです。

Nikon FM
機械式で動作するNikon(ニコン)の一眼レフカメラです。撮影の設定を手動で行うマニュアルカメラとなっており、露出やピントはすべて自分好みに調整が可能。
複数の写真を1枚に重ねる多重露光による撮影を行いやすく、工夫次第では幻想的な写真を仕上げることができます。

KONICA C35 EF
ストロボ内蔵で暗所撮影に強い1台です。夜間や室内利用が多いユーザーにおすすめしたいKONICA(コニカ)のカメラです。
プログラムAEを搭載することで、露出の設定に不慣れな方でもかんたんに操作できます。フィルムを装填してシャッターボタンを押すだけで写真が楽しめる手軽さが好評。
また。遠近の切り替えが自在で、構図の幅が広がります。

PENTAX ESPIO140
多機能で優れた使い勝手が魅力のPENTAX(ペンタックス) ESPIO140。複数用意された露出方式、セルフタイマー機能、カメラから離れた場所で撮影可能なリモコンなど、便利な機能が数多く搭載されています。
内蔵ズームレンズにより遠近の構図変更もラクラク。空間表現の自由度が高いフィルムカメラです。

LEICA M6
老舗のカメラメーカー LEICA(ライカ)が1998年に発表したレンジファインダーカメラ。内蔵の露出計によって適正露出が測定可能。難しい操作をしなくても自然な明るさの写真が楽しめるのが最大の魅力。
ライカらしい落ち着いた高級感あるデザインも好評。所有すること自体がステータスと言える逸品です。
機能面での信頼性とブランド価値の高さから、中古市場でも高い人気を誇っている名機です。

Polaroid Sun660
Polaroid(ポラロイド)カメラの代名詞といえば、このモデル。
ガチャリとフタを開ければ、撮影可能なシンプル操作が魅力的。内蔵フラッシュで手軽にシャッターチャンスをつかめます。「サンカメラ」の愛称通り、明るい太陽のように写真を彩るアイテム。
ドキドキしながらカメラからプリントアウトされる瞬間がたまらない。イベントやパーティー会場で活躍すること間違いなしでしょう。

KODAK ULTRA F9
絞りやピント調整が不要で、170gの軽量ボディを持つKODAK(コダック)のULTRA F9は持ち運びに便利。そして、シンプルかつ洗練されたデザインも魅力です。
単4電池1本駆動で、ハンドストラップ付きで撮影しやすいアングルを自由に選択可能で気軽に写真を楽しみたい方にピッタリの1台です。

KYOCERA P.mini AF
かんたんにピントを合わせられるオートフォーカス搭載のKYOCERA(京セラ)コンパクトカメラです。
レンズには32mmの単焦点レンズが使われており、ボケを活かした写真を手軽に撮影可能。複雑な設定は必要なく、シャッターを押すだけで撮影ができます。

YASHICA FX-3 SUPER 2000
クラシカルな見た目が魅力のYASHICA(ヤシカ)の一眼レフカメラです。シャッターは機械式になっているため、電池を入れずに動作可能。
最新のカメラと違ってAEなどの便利な機能は搭載されていませんが、その分スキルアップを図りやすいため、脱初心者を目指している方におすすめです。

HOLGA 120FN
HOLGA(ホルガ)120FNは、安価な素材で作られたフィルムトイカメラ。レンズにはプラスチックを採用しており、通常のフィルムカメラにはない独特のボケ感を得られます。
安定した撮影は難しいですが、その不安定さが思わぬベストショットを生み出すことも。一部の愛好家から根強い人気を集めるカメラです。
フィルムカメラの基本的な使い方
購入後スムーズに撮影するためにも、初めてフィルムカメラに触れるなら事前に基本的な使い方を押さえておくのが◎。一般的なフィルムカメラは下記の手順に沿って使います。
- フィルムを入れる
- ピントを合わせる
- 露出を調整して撮影する
① フィルムを入れる
まずは写真の画像を記録するためのフィルムをカメラにセット。フィルムカメラにフィルムをセットする手順は下記のとおりです。
- カメラの裏蓋を外す
- フィルムを入れる
- 巻き戻しノブを下げてフィルムを固定する
- フィルムを引き出し、フィルム設置場所の反対方向にある巻き上げ軸に差し込む
- 裏蓋を閉じる
- フィルムカウンターが0になるまで、数回程度空シャッターを切る
裏蓋の外し方はカメラによってさまざま。一般的には、「レバーを引く」「開閉ロックをスライドする」「開閉ノブを回す」などの方法で外します。
②ピントを合わせる
フィルムをセットしたらファインダーを覗き、ピントが合っているかどうかを確認。
ピントが合っていない場合は、レンズの周囲にあるリングを回して調整します。左に回すと近くに、右に回すと遠くにピントが合う仕組み。ピントがなかなか合わない場合は、被写体から距離を置くと合いやすくなります。
なお、オートフォーカスのカメラなら自動でピントを合わせてくれるため、手動での設定は不要。ただし、理想の写真を追求する際、手動でピントを設定したくなる可能性もあるので、基本的なピントの合わせ方は覚えておきましょう。
③露出を調整して撮影する
最後にフィルムカメラの露出を調整して撮影をします。
マニュアル露出のフィルムカメラでは、絞りとシャッター速度のダイヤルを回して調整するのが一般的。絞りのダイヤルはレンズ周辺、シャッター速度のダイヤルはカメラ本体の上部に搭載されているケースが多いです。
露出の調整具合は、露出計を参考にするのが◎。露出計とはファインダー内に表示される露出の度合いを示したもので、露出が多い場合は「+」、少ない場合は「―」など、記号を表示することで露出が適正かどうかを教えてくれます。
フィルムの現像方法
フィルムカメラで記録した画像を写真として形に残すためには、フィルムを現像する必要があります。
現像とは、専用の機械と特殊な薬剤を使い、フィルムに記録された画像を人の目に見えるようにする処理のこと。現像したフィルムをプリントすることで、カメラで記録した画像が写真となります。
現像やプリントは写真の専門店に依頼するのが基本。フィルムカメラが主流だった時代は店頭に足を運んで依頼する方法が一般的でしたが、最近ではネット注文で現像やプリントを依頼できるケースも増えています。
すぐ現像できない場合は、フィルムが傷まないように高温や湿気を避けて保管。良い保管場所がないなら、購入時にフィルムが入っていたフィルムケースに入れておくのが無難です。
まとめ
レトロな雰囲気であたたかみのある写真を撮影できるのは、フィルムカメラならではの魅力。ノスタルジックな写真が好きなら、ぜひこの機会にフィルムカメラに触れてみましょう。
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