修理に約12億円!「国宝」日光東照宮・陽明門がボロボロのワケ
「平成の大修理」が3年前に終わったばかりなのに
「見てください。酷いと思いませんか。白い塗装部分が黒っぽくなっているのはカビですよ。柱の塗装も剥がれかけて破片が落ちている。これはもう管理以前の問題。なぜこんなことになったのか……」
国宝である日光東照宮の陽明門を指差しながら、そう嘆くのは日光市議の三好國章氏である。陽明門は「平成の大修理」と呼ばれた大規模な修復工事を3年前に終えたばかり。およそ12億円の費用が投じられ、約4年の歳月を要した。
だが、本誌記者が陽明門を見上げてみると、たしかにあちこちが剥がれており、とくに唐獅子の彫刻(2枚目写真)は見るも無惨な姿だった。一級建築士で建築エコノミストの森山高至氏が指摘する。
「伝統的な塗料は扱いが難しい。6年かかる予定の修理が4年で終わったことが関係しているのかもしれません。急いだ結果として剥がれてしまった。カビについては湿気対策の不足が考えられます」
前出の三好氏はこう憤る。
「大修理のために地元の住民は協賛金を出しているんですよ。こんな状況では観光客の方に見てもらえません。日光が湿気が多いところだというのは事前にわかっていたことです。もっと工夫ができなかったのでしょうか」
日光東照宮の総務担当者は「剥離やカビは寛永年間の技術で修復したので仕方ない部分があります。今後も手作業でメンテナンスを続けていきます」と語った。
荘厳な陽明門はやはり美しい姿で参拝客を迎えてほしい――。
『FRIDAY』2020年10月2日号より
- 撮影:濱崎慎治