蒸し暑い日に最高!火を使わずに作れてさっぱりおいしい「韓国風なすの冷たいスープ」
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
人気の夏野菜といえば、必ず名前が挙がるのが「なす」。
炒めたり、揚げたり、蒸したりといろいろな調理法でおいしい一品になりますよね。
今日は、韓国のなす料理についてお話します!
なすがメインの韓国料理
先日、韓国で活躍中の実業家であり、料理研究家のペク・ジョンウォンさんのYoutubeを見たのですが、その内容によると韓国では思ったよりなす料理が多くないとのこと。
数としては限定されるかもしれませんが、韓国の飲食店ではパンチャン(おかず)としてテーブルにのることが多いなす料理。どのようなものがあるでしょう?
カジナムル(なすのナムル)
韓国語の「カジ」は日本語で「なす」のこと。
韓国で一番食べられているなす料理は、やはりナムルでしょう。
なすのナムルの作り方には大きく分けて2種類あり、蒸してから味付けする方法と、炒めてから味付けする方法があります。蒸しナムルも炒めナムルも油を使いますが、蒸しナムルの方が圧倒的に油の使用量が少ないので後味がさっぱりとしています。
味付けは、しょうゆ、みそ、コチュジャンなどありますが、個人的におすすめなのは、薄口しょうゆ、えごまの粉、そしてえごま油の組み合わせ。えごまのなんとも言えない香ばしい風味が鼻をくすぐります。また、健康面でうれしいのはオメガ3の宝庫だということ。オメガ3は、コレステロールや血圧を下げる効果が期待できます。
カジジョン(なすのチヂミ)
なすを輪切りや斜め切りにし、塩で下味をつけてから小麦粉をまぶし卵液にくぐらせて油で焼きます。
以前、チヂミの記事やジョンの記事でもご紹介しましたが、日本で「チヂミ」と呼ばれているものは、韓国では「ジョン」や「プッチムゲ」といい、小麦粉を薄くはたいて卵液にくぐらせ、両面を油で焼いたものは「ジョン」です。
シンプルなカジジョンにひと手間加え、なすの中心に穴をあけてひき肉だねをつめて衣をつけて焼くと、韓定食屋さんで出るようなワンランク上のジョンに変身!おもてなしにも使える一品です。
カジキムチ(なすのキムチ)
統一新羅時代と高麗時代のキムチは、大根、夕顔、たけのこ、そしてなすがメインが主な材料でした。当時はまだ唐辛子が朝鮮半島に伝来していなかったので、山椒やしょうがで辛味を出していたそうです。
現在多くの方に親しまれているカジキムチは、食べやすい大きさに切ったなすを塩漬けにしてから、キムチヤンニョムで和えたものです。また、オイソバギ(きゅうりのはさみキムチ)のように、なすに切り込みを入れて塩漬けしたあと、切り込みにキムチヤンニョムを詰めることもあります。できあがりはとてもみずみずしく、サラダ感覚で楽しめます。
カジチャンアチ(なすの漬け物)
チャンアチとは、しょうゆ、みそ、コチュジャンなどを使った、キムチとは違う漬け物です。
一般的なカジチャンアチは、一日ほど干して少し水分を飛ばしたなすを食べやすい大きさに切ったところへ、調味料をあわせて加熱した漬け汁を流し入れて、その余熱で火を通すというもの。そのまま半日ほど置いておけば食べられます。完成まで時間はややかかりますが、面倒な工程はありませんし、数日間冷蔵庫に保存しておけるので、常備菜にぴったりです。
カジソン(なすの「ソン」)
ソンとは「膳」という漢字が当てられるということを、きゅうりがテーマの記事の中で書きました。
「ソン」は本来は蒸したおかずのことを指す場合が多いのですが、蒸し料理ではない「オイソン(宮中式きゅうり炒め)」同様に、カジソンの作り方も時代とともに変化しました。
このカジソンは、切り込みを入れて一口サイズに切ったなすを塩水に浸け、水分を取り除いてから油でさっと炒め、切り込みの所に干ししいたけと牛肉、黄身の錦糸卵、白身の錦糸卵を詰めて器に盛り付けて、たれを添えています。
ちょっと変わった韓国のなす料理
ちょっと変わった使い方をするなす料理もご紹介しましょう。
カジチャプチェ(なすチャプチェ)
春雨を使わず、なすを細切りにしたものを春雨に見立て、色々な野菜や肉とともに炒め合わせます。
以前チャプチェの記事でもご紹介しましたが、そもそも春雨入りのチャプチェの歴史がじつは100年程度とまだ浅いので、それ以前に一般的だった、さまざまな野菜や肉を合わせた古典的なチャプチェの形に近いかなと思います。
カジタンス(なすのあんかけ)
韓国人が中華の専門店でジャージャー麺やちゃんぽんを大勢で頼む時に、必ずセットで注文するのが「タンスユク(酢豚)」ですが、豚の代わりにしっかりと揚げたなすを使っているのが「カジタンス」です。皮の色が見た目にも鮮やかですし、野菜をたっぷりと食べることができ、しかも油を使っているのでお腹も十分に満たされますよ。
カジネングッ(なすの冷たいスープ)
日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、韓国でよく食べられているなす料理が「カジネングッ(なすの冷たいスープ)」です。酸味と甘味の絶妙なバランスで涼を感じられますし、今回は入れていませんがそうめんを入れると立派な一食になります!
今回はこの「カジネングッ」のレシピをご紹介しようと思います。
「カジネングッ(なすの冷たいスープ)」のレシピ
調理時間
15分
分量
2人分
材料
・なす(大)…1本
・赤パプリカ…適宜
・小ねぎ(小口切り)…適量
・塩水(水200ml+塩小さじ1/2)
・水…400ml
・塩…適量
・白ごま…小さじ1/2
・氷…適宜
(A)
・薄口しょうゆ…小さじ2
・ナンプラー…小さじ1
・酢…大さじ1
・砂糖…大さじ1/2
・ごま油…小さじ1/4
作り方
1. 赤パプリカは長さ5cmのせん切りにする。なすは縦半分に切ってから5mm幅に切り、長さを二等分にする。
2. ボウルに塩と水を入れて塩水を作り、切ったなすを入れて3分ほど浸けたらザルにあげる。
3. なすに水気がついたまま耐熱皿に並べ、軽くラップをかけて600Wの電子レンジで3分ほど加熱する。
4. 取り出してラップをはずし、キッチンペーパーで軽く水気を取り除いたらうちわなどであおいで人肌程度まで冷ます。
5. ボウルに冷ましたなすとパプリカを入れてAで味付けをし、10分ほど置いてから水を加える。塩で味を調え、器に盛りつける。白ごまと小ねぎをのせ、氷をうかべる。
ナンプラーがない場合は、薄口しょうゆを増やしてください。
韓国では砂糖の代わりに、梅エキスを使うことが多いです。梅のフルーティーな香りが、スープの味を引き立てます。
最後にお知らせです!
9月4日に、誠文堂新光社から新刊が出ます。タイトルは『クンムルなしでは始まらない!本場仕込みの韓国家庭のスープと万能おかず』です。
タイトルにある「クンムル」とは「汁もの」のこと。
韓国では汁ものなしで食事が成り立たないという食文化を踏まえて、61種類の韓国スープと20種類のおかずのレシピを一冊に詰め込みました。
レシピの合間にあるコラムも、ファクトチェックをしながらしっかり書きました。韓国料理を愛している方に、お手に取っていただきたい本です。
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!