令和5年度フードテックビジネスコンテスト開催レポート | フードテックビジネスコンテスト | フードテック官民協議会 FOODTECH

フードテック官民協議会/令和年度

“食”の社会課題を解決!12のアイデアが集結!

令和5年度 フードテックビジネスコンテスト開催レポート

テクノロジーで食にイノベーションを!――2024年2月3日、「未来を創る!フードテックビジネスプランコンテスト」本選大会が来場型会場(東京ミッドタウン八重洲カンファレンス)とオンラインで開催されました。フードテック官民協議会が主催、令和4年度から始めたフードテックビジネスコンテストで第二回目となる今回は、一次および二次審査を通過した12組が出場しました。

フードテックとは?活性化の意義

フードテックは“Food”と“Technology”を組み合わせた言葉で、最新のテクノロジーを活用して食に関する課題解決や食の新たな可能性を生み出す技術・サービスのことを指します。持続可能な食料供給や、美味しく、文化的で健康的な食生活を通じた高いQOL(Quality of Life)を実現する次世代のフードシステムを構築する上で欠かせないキーテクノロジーです。

日本でもフードテックによるスタートアップの動きが活発化する中、農林水産省が2020年10月に食・農林水産業の発展や食料安全保障の強化に資するフードテック等の新興技術について、協調領域の課題解決や新市場開拓を促進するため、民間企業、研究機関、行政から成る「フードテック官民協議会」を創設し、官民連携の取り組みを推進。この一環で、令和4年度から「未来を創る!フードテックビジネスコンテスト」を実施しています。

いよいよ本選スタート!

本選では12組の登壇者を5名人の審査員の他、多くの協賛企業関係者や観覧者が会場、そしてオンラインで見守りました。 初めに主催者を代表して小林大樹・農林水産省大臣官房 新事業・食品産業部長が挨拶に立ち「世界的にもフードテックビジネスは拡大している。90件を越える応募の中から選抜されたファイナリストの皆さんのアイディアを楽しみにしています。この場を新たなネットワーク構築とチャレンジに繋げて欲しい」と期待を寄せました。

持ち時間は各5分でのプレゼンテーション

募集プランは、既にビジネスとして具体的な事業検討が行われている取組や展開中の事業であっても更なる成長や発展が見込まれるプランを「ビジネス部門」と、これからフードテックビジネスの取組を進めていく「アイデア部門」の2つが設けられています。それぞれの登壇者は、社会課題と解決のためのプラン、新規性や革新性、事業実現性などについて熱い想いを込めプレゼンを行いました。

登壇者とビジネスプランの概要

アイデア部門(登壇順、敬称略)

  • Edu MEAL:食事と連動した動画配信による食育サービス
    金沢 恵子(神戸情報大学院大学)

    子どもたちの日々の食事に関する動画を提供、食を理解し楽しむ力を高めるための食育サービス。実体験と連動した動画教材で子どもたちの好奇心や探究心を引き出す。日々の食事と連動した動画はAIを活用して制作し「動画版・食の百科事典」を実現する。

  • 多様化する消費者の嗜好に合った農産物を提案するAgriColor
    齋藤 典之(合同会社ノーエン)

    育ってきた環境=天気に大きく左右される農産物の味を気象データの色で表現し、多様化する消費者の嗜好に答えるサービス「AgriColor」。生産者は商品の付加価値を高めることができ、フードバリューチェーンに関わる全ての人たちがハッピーな仕組みを構築する。

  • 「棚田ポニックス」(循環型施設園芸) 低投資、高収益、脱炭素型食料供給システムの実現
    遠崎 英史(株式会社プラントフォーム)

    アクアポニックス導入で中山間地の休耕田を有効活用し、IoTで高齢化社会の労働力不足を補う新たな農業形態を提供、持続可能な食糧生産システムを実現。さらに有機肥料水耕栽培により自然環境保護を促進、エネルギー消費を抑制し環境問題とエネルギー問題にも対応する。

  • 3Dフードプリンターとロボット・AIによる新サービスモデル
    本多 隆史(ミツイワ株式会社事業推進部)

    現在の3Dフードプリンターでは対応できない「煮る」「焼く」等の2次加工、「配膳」等の次工程を、協働ロボで対応しフードサービス業での新しいビジネスモデルを構築。造形の安定化や、AIで個々の健康状態に合わせた調整を行い、次世代の調理器として完成させる。

  • もったいない文化×センサー技術×AIによる食品ロス問題解決
    南 俊輔・岩橋 努・飯島 康・野本 歩・住永 雅典(グロービス経営大学院)

    食品ロス問題解決のため一般消費者の意識を底上げするソリューション(センサー付ディスポーザー)を提供。食品ロスの約半分は一般家庭で発生しているため各家庭でのロス量定量可視化により、もったいない意識を呼び起こし、行動変容のきっかけをつくり問題解決を図る。

ビジネス部門(登壇順、敬称略)

  • 47都道府県 究極フルーツの食ブランド 「ひとくちチョコレート」
    荻曽 友貴(株式会社HITOKUCHI)

    食感を極めた果肉まるごと「不知火」(熊本産)、和製グレープフルーツ「河内晩柑」(愛媛産)、幻の黒いちじくビオレソリエス(佐賀唐津産)など国産の旬で希少な幻のフルーツだけで作るフルーツチョコレートを「JAPANブランド」として販売、日本ファンを増やす。

  • プラットフォーム微生物「DSE」によりあらゆる環境で植物の生育を実現する
    風岡 俊希(株式会社エンドファイト)

    多種多様な植物の根に共生し、植物のストレス耐性(耐暑性、耐寒性、病害耐性、干害耐性等)向上や有機体窒素・リン酸吸収促進、花芽形成促進、土壌のCO2排出量削減ができる微生物(DSE)を用いた培土・苗を販売。ライセンス事業も行い、技術の加速度的な実用化及び普及を推進する。

  • キノコ革命~コーヒーから始まる循環型キノコ栽培~
    倉橋 大希(RE:ARTH)

    私たちの生活や未来をもう一度見つめなおし「より良い明日を切り開く」ために「もったいないを少しでも減らす」ことを目的に取り組む、廃棄率99.8%のコーヒーカスを使ったキノコ栽培「キノコ革命」。この活動を全国のきのこ生産者に広め、循環型社会の形成に貢献する。

  • 3D 解析技術と農業特化型LLM を用いたデジタルツイン農業
    佐々木 佑介(株式会社きゅうりトマトなすび)

    データ取得と解析、3D解析技術によって圃場の詳細な生育状態の把握や収穫予測等を行い、取得したデータと過去の情報や膨大な文献を基にした独自のLLM技術を活用し実用的なフィードバックを提供。現実とバーチャルの融合により農業の効率化と最適化を実現する。

  • 未利用食品を新たな食品へと生まれ変わらせる“粉末技術”
    中村 慎之祐(株式会社グリーンエース)

    日本で年間200万トンの野菜、食品工場では120万トンの食品廃棄を解決すべく、色や香り、栄養成分を保持したまま野菜を粉末化する技術を開発。野菜粉末での食品開発と販売および食品加工残渣を活用した新たな商品作りを企業との共創事業でフードロス削減に挑む。

  • 魚病早期診断システム「UMIDaS」
    平林 馨(株式会社ストラウト)

    効率的なタンパク質供給源である水産養殖が世界で注目される中、現代の養殖業は気候変動による水温上昇や、魚病発生増加の課題に直面している。魚病をAI/IoTで早期検出する技術開発により「発生後対処」から「予防」に意識を変え、養殖生産能力の改善を目指す。

  • ハウスの可視化を加速するSustagram Farm
    山口 孝司(AGRIST株式会社)

    農業自動化パッケージ「Sustagram Farm」に生産(収量予測)と販売(需要予測)データを統合したAI農業プラットフォーム「AGRIST AI」を搭載、サプライチェーン全体を連携し収益最大化と脱炭素推進を支援。効率的な経営判断を可能にし、持続可能な農業を促進する。

第二回フードテックビジネスプランコンテスト
表彰者が決定!

それぞれのプレゼンテーション後は審査員による質疑応答が設けられ、アイデアを深掘りする視点や助言もありました。その後、別室での審査を経て下記の通り各賞が発表されました。

審査員の一般社団法人AgVenture Lab代表理事理事長・荻野浩輝さんが「登壇した全員がフードテックにとどまらず、その先のサステナビリティをテーマにしていることに感銘を受けた。本当に素晴らしい発表でした」「国民皆の意識を変えていくには時間がかかるが、皆さんがこうした視点のビジネスアイディアを持っていることは頼もしい」と講評。「まだまだ、日本ではこの分野の取り組みが少ない。今後、更に多くの方が起業や挑戦をするためにも、登壇者の皆さんにも先駆者として協力していただきたい」と激励されました。

登壇者、審査員、サポーター、参加者の皆さんでの交流会

本選大会終了後は、昨年も大変好評だった交流会へと移り、登壇者と審査員、サポーターであるベンチャーキャピタルや協賛企業の方々による個別アドバイス・マッチングが行われ、熱気の冷めやまぬまま閉会となりました。

最後に

本選大会は1次審査、2次審査を通過された方々に登壇頂きましたが、本選大会に登壇された方々から、審査過程もアイデアへのブラッシュアップの機会になった、当日は審査員やサポーターの方々との交流で新たなビジネスチャンスやヒントを得られたという声を寄せられました。なお、登壇者の方々にはそれぞれのビジネス内容により提供内容は異なりますが、実証に向けた情報提供や施設等の提供等も予定されていますので、今後もこのネットワークをご活用いただけるものと思います。

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