第19回 あいち造形デザイン専門学校 様 | Fontworks

第19回 あいち造形デザイン専門学校 様

Interview

あいち造形デザイン専門学校 学生作品

あいち造形デザイン専門学校は、名古屋市にある長い歴史を持つデザインの専門学校です。「常に社会に対しての最終教育機関に値する使命と責任を自覚し、『周囲から愛される人』『信頼される人』『尊敬される人』としての素質と、気風を培うため、健全中正な社会観、人生観を保持する人間教育を実施する」という建学精神の観点から、地域や企業、社会とコラボレーションする産学連携プロジェクトや、コンペティションを重視した授業を取り入れています。

その授業では、依頼者との打ち合わせから、企画、提案、制作までプロの仕事の流れを経験でき、実践する力を身につけることができます。

さらに、その中でも優れた広告デザインやディスプレイ作品は、実際に広告媒体やショールームなどに採用されるため、学生たちの喜びや自信になり、その後の大きな飛躍へとつながります。

今回は、デザイナーとして社会に出る前の学生に対して、才能の開花をサポートしている教諭の海老さん、矢田さんにデザインにおけるフォントの役割を語っていただきました。

LETS導入の理由

教諭 海老 修臣 氏

数年前に新しくPCの機種を入れ替える機会に、フォントをなんとかしなければ…という思いがあり、LETSを導入しました。それまでは市販の安価なパッケージのフォントを購入して使用していましたが、書体のクオリティが低く、満足できるものではありませんでした。そこで、基本的な書体である[ゴシック体]と[明朝体]がキレイなことを条件に、フォントを探すことにしました。

学生にとっても書体の選択肢が多い方が良いだろうと考え、いくつかのフォントライセンス製品を検討した結果、書体のクオリティとコストパフォーマンスでフォントワークスのLETSを選びました。その後も、毎年必要な台数を増やしています。

学生にとっての書体選びとデザイン

教諭 矢田 崇純 氏

授業の1つに、まず紙上でデザインを起こし、最終的にデジタルで作り込むプロセスを教えるカリキュラムがあります。デザインの勉強を始めたばかりの頃は、手書きの時点ではいろんな書体を描いているのですが、実際にデジタルに起こす作業に取りかかると、MS明朝やMSゴシックなどを使いだすんですね。200書体近くあるLETSの書体をインストールしているのに、ちょっと不思議に思います。(笑)

さらに数ヶ月経つと、ちょっと変わったキャッチ系の書体を使いたがるんです。例えば、[レゲエ]などのインパクトのある書体を使ってきます。なかには長文にまで、キャッチ系の書体を使う学生もいます。

書体に対する意識が高まりはじめるのは、半年くらい経ってからでしょうか。徐々に読ませやすい書体や、組んでいてデザイン自体が引き締まるようなイメージの書体など、様々なコンセプトを考えるようになり、最終的には基本的な書体である[ゴシック体]や[明朝体]にたどり着くんです。おもしろいことに、ほとんどの学生にこの法則が当てはまります。どの書体が作品のイメージに合うのか、何度も試行錯誤したりしているうちに、いい書体というのは学生も分かってくるようです。仕上がった作品の傾向を見ると、キレイでスマートな書体を選んで使っています。特に目立って人気があるのは[ロダン]だと思います。(海老さん)

授業で教えるフォントの役割

デザインを勉強していく中で、フォント選びや文字の組み方が、どれだけビジュアルに関係し、大切かということが必ず分かってきます。ビジュアルについては、放っておいても学生自らがどんどん吸収していって、上達していくのがはっきり見て取れます。その反面、文字の扱いは教えないとうまくならないようです。書体の特徴をつかんで、適したところに配置してあげる、そういった文字の扱い方や組み方などを学生に教えることが大切だと思っています。

例えば、私の一番のお気に入りは[ロダンNTLG]なんです。この書体は、天地がピッタリ揃っているため、カチッとしていてフィット感がある点がいいと思います。そして何よりも、自分の書く字に似ているんです。はね方や筆の運び方がすごく似ている点が好きな理由です。私はこの書体を使う際に、少しだけ組み方を工夫して使っています。[ロダンNTLG]は、小さい「つ」が比較的大きく作られているので、その文字だけ少しポイントを下げています。こうすることで可読性が上がるからです。

このような小さなことでも数多くアドバイスすることで、彼らの頭の中でグラフィックと書体の持つイメージが一体となり、さらに訴求力のある作品に仕上がってきます。そのため「ビジュアルを生かすも殺すも文字次第!!!」ということを強く教えています。

そのためか、ある日の授業で某有名アニメのタイトルイメージを[マティス]で真似たものを作り、学生に見せたときには「あっ、エヴァ(新世紀エヴァンゲリオン/(c)GAINAX)だ!」と反応を示すことがありました。学生も書体とレイアウトの組み合わせが醸し出す雰囲気やイメージを感じとっているのだと思います。LETSには書体数が豊富にあるので、制作物の雰囲気やイメージに合わせて書体を選んだり、文字の組み方を考えたり、いろいろな組み合わせで感じとったイメージを表現できると思います。それは、学生にとってもかなり有意義なことではないでしょうか。(矢田さん)

フォントワークスへのご意見・ご要望

書体のリリース数やクオリティについては満足しています。特に[ロダン]などは、純粋にデザインがキレイだと感じています。今後も新書体を出されると思うのですが、デザイン学校だからこそ、個性重視の書体よりは基本的な書体を重視していきたいと考えています。

要望を挙げるとしたら、書体のインストール方法についてです。LETS契約台数が多いので、毎年全ての新書体を全てのPCにインストールする作業は大変ですね。もっと簡単にインストールできるようになれば助かります。
<編集後記>
あいち造形デザイン専門学校では、人材の育成カリキュラムとして産学連携授業を実践されているとのことでした。企業や団体からの依頼で制作された作品のうち、実際に採用された学生さんのものを、エントランスギャラリーで拝見しました。色づかいや書体の選び方など、新鮮味あふれる作品もたくさんあり、完成度の高さにも驚かされました。一方で、まだまだ使われていない書体が多くあるのではないかとも感じました。全ての書体には明確なデザインコンセプトがありますので、フォントメーカーとして今後もフォントの情報を含めデザインワークの勉強に役立つような、より良いサービスと情報を提供して参ります。
お忙しい中、取材にご協力いただきましてありがとうございました。今後もどうぞよろしくお願いします。(牟田)

企業情報

社名 あいち造形デザイン専門学校
所在地 愛知県名古屋市千種区今池4-10-7
TEL 052-732-1631
FAX 052-732-7325
URL http://www.design.ac.jp/

「LETS」プログラムへのご入会や製品のご購入については、お取引のある販売店様へお問い合わせ・ご注文くださいますようお願いいたします。

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