プロフィール
保険会社で経験を積み、提案の幅を広げるため保険だけでなく証券も扱う保険代理店に転職。豊富な金融業界経験を活かし、保険を手厚くするより資産形成を促すことをモットーに、株式会社400Fが運営する「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして活動している。
NISAの成長投資枠は年間240万円の非課税枠が設けられ、投資信託のほか株式にも投資が可能です。本記事では、そんなNISAの成長投資枠を有効に活用する方法や、商品選びのポイント、おすすめ銘柄を紹介します。ぜひ参考にしてください。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 金谷理恵)
2024年から始まったNISAでは、つみたて投資枠・成長投資枠の併用が可能です。これまでのNISAよりも年間投資枠が拡大し、非課税保有期間も無期限化され、より活用の幅が広がりました。
NISAの成長投資枠で買える商品は、投資信託・ETF・REIT・上場株式などです。投資信託・ETF・REITのうち、NISA成長投資枠の対象商品は2023年11月時点で2,001本あり、具体的な銘柄名は投資信託協会のサイトにて確認できます。
一般社団法人投資信託協会|NISA成長投資枠の対象商品(外部サイト)
※リストは毎月更新。成長投資枠対象商品は今後も追加されていく予定。
NISAのつみたて投資枠で買える銘柄は、「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」に限られるので、成長投資枠のほうがつみたて投資枠よりも銘柄の選択肢の幅は広いです。ただし、なかにはNISAの成長投資枠では買えない商品もあります。成長投資枠の除外商品は以下のとおりです。
<NISA成長投資枠の除外商品>
・整理銘柄(上場廃止が決まっている銘柄)
・監理銘柄(上場廃止の可能性がある銘柄)
・信託期間20年未満の投資信託
・毎月分配型の投資信託
・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託
出典:金融庁|新しいNISA(外部サイト)
例えば、ハイリスク・ハイリターンなレバレッジ型投資信託は安定的な資産形成に不向きのため、NISAの成長投資枠では購入できない見込みです。
NISAの成長投資枠の活用法は、大きく分けて次の3つが考えられます。
活用法1. つみたて投資枠を拡大する感覚で投資信託を購入する
活用法2. インカムゲイン(分配金・配当)を非課税で受け取る
活用法3. キャピタルゲイン(売却益)を非課税で受け取る
活用法別に、商品選びのポイントとおすすめ銘柄を紹介します。
NISAのつみたて投資枠で買える投資信託はすべて、成長投資枠でも購入が可能です。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円ですが、そこに成長投資枠の年間投資枠240万円を加えると、年間最大360万円の投資信託をNISAで購入できます。
資産運用の手間を最小限にしたい方、長期目線で安定的な運用をしたい方は、つみたて投資枠を拡大する感覚で、成長投資枠でも投資信託を購入するとよいでしょう。
投資信託を選ぶ際は、交付目論見書(※)で投資先や運用方針を確認し、ご自身の投資方針に合う商品を選んでください。また、できるだけ手数料コストの低い銘柄を選ぶと、運用利回りが手数料を下回るリスクを抑えられるので、長期運用による複利効果のメリットを得やすいです。
(※)交付目論見書とは、投資信託の投資判断に必要な重要事項が説明されている書類で、購入する前に必ず投資家に配布されます。
参考:eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(Yahoo!ファイナンス)
参考:eMAXIS Slim先進国株式インデックス(Yahoo!ファイナンス)
参考:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)(Yahoo!ファイナンス)
監修者コメント:「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は運用にかかるコストも低く、先進国・新興国を含め投資先社数は約2,900社の銘柄です。上場している世界中の株式会社の時価総額上位85%をカバーし、世界経済のパワーバランスそのままに投資ができます。NISAによる非課税枠の拡充により、長期間の投資が可能になったため、オール・カントリーのように長く安心してお付き合いできるファンドを選ぶことが大切です。
インカムゲインとは、資産の保有中に得られる利益のことです。NISAで購入した金融商品は、インカムゲインも非課税になります。そのため成長投資枠で分配金の出るETFや配当の出る個別株を買えば、税金を引かれることなく分配金や配当の受け取りが可能です。
ただし、商品を購入時よりも安い価格で売ってしまうと損失になるため、分配金や配当の出る銘柄ならなんでもよいというわけではありません。インカムゲイン目的であっても、中長期で見て値上がりの見込める銘柄に投資することが大切です。
また短期間での売買を繰り返すより、できるだけ継続保有したほうが、成長投資枠の限られた投資枠(240万円/年)を有効活用できるでしょう。例えば、値動きが安定している大型株や財務周りが健全な企業の株、増配傾向にある銘柄は、中長期にわたり落ち着いて保有できるのでおすすめです。
参考:時価総額上位ランキング/配当利回りランキング(Yahoo!ファイナンス)
金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
分配金が出るタイプの投資信託は、定期的に利益確定をしているようなものです。投資に回している資金を取り崩したいけれど、なかなか利益確定のタイミングが難しいと感じる方は、インカムゲインを狙った銘柄選びを考えてみてはいかがでしょうか。
キャピタルゲインとは、保有している資産を売却した際に得られる差益のことです。例えばNISAの成長投資枠で40万円分の株を購入し、50万円に値上がりしたところで売却すると、10万円の売却益を非課税で受け取れます。(手数料は考慮せず)
キャピタルゲイン目的の投資は、インカムゲイン目的の投資よりも大きな利益を得られる可能性があるのが魅力です。ただし、逆に値下がりによって大きな損失を被るリスクもあります。キャピタルゲインを目的とする際は、リスク許容できる範囲内の金額を投じるよう心がけましょう。
キャピタルゲインを得るには「安く買って高く売る」ことが必要です。企業の事業内容や業績を必ず確認し、株価の動きや指標も分析しながら、値上がりの見込める銘柄に投資しましょう。また適切なタイミングで売買するために、市場の流れを掴むことも大切です。
NISAでは、つみたて投資枠で長期目線の安定運用をしつつ、成長投資枠では商品選択の幅広さを活かして柔軟性のある運用を行うのがおすすめです。
この記事で紹介した活用法から1つを選ぶのもよいですし、複数の活用法を組み合わせるのもよいでしょう。ぜひ自分なりの成長投資枠の活用法を考えてみてください。
金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
資産形成は資産全体のバランスをとることが大切ですが、おすすめの投資戦略はご自身の資産形成の層を「コア」と「サテライト」に分けて銘柄を選ぶことです。「コア」はNISAのつみたて投資枠を活用し、王道の世界株式のインデックスファンドなどでできるだけ長くコツコツ積立投資をします。世界経済の成長の果実を享受できる、資産形成の手堅い層を長期目線で仕込むのが目的です。「サテライト」では、成長投資枠を使って少しリスクを取りながら今後成長が見込める国・地域、業種・セクターなど、将来が楽しみだと思える銘柄を取り入れると良いでしょう。価格変動リスクと上手に付き合うために、キャッシュと投資に回すバランスには十分注意して、自分らしく楽しい資産形成を目指してください。
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NISAについては以下の記事でも解説しています。あわせてチェックしてみましょう。
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本記事に掲載されている情報は2023年12月15日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。