パパ教員(id:justsize)氏のブログ記事、超同意ですよー。
blog.edunote.jp
しかしですね。ブクマを見て、言いたいことがあるんです……。
郵貯の「アイデア貯金箱」コンクールへの応募が面倒な件 - パパ教員の戯れ言日記b.hatena.ne.jpゆうちょ、かんぽ、郵便局の本業が今どんな有様かを見れば、彼らの人を人とも思わない姿勢が一貫したものだと納得できるだろう。
2019/08/31 12:08
違うんだ! クソなのは郵貯だけじゃないんだ!
毎年夏休み前になると、
「子どもたちの夏休みの課題として取り組ませてください」
みたいな発想で、学校に募集要項を送ってくる団体が山ほどあるんです。(あと冬休み前も)*1
学校で文書を保管するのに使ってるファイルは基本的にフラットファイルですけど、「コンクール要項」だけはキングジムの分厚いやつ。
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で、応募がめんどくさいコンクールが多い。
ちょっと、「教員の多忙感」ってやつの原因の一端をお話ししたい。
字をていねいに書こう!(職員が) JA共済書道コンクール
正式名称は
「JA共済小・中学生書道・交通安全ポスターコンクール」
で、交通安全ポスターコンクールも一緒にやっています。
トップページはここ。
JA共済小・中学生書道・交通安全ポスターコンクール
まず注意事項のページ。
学年は「一年」と書くのだけが正しい。
「一年三組」とか「鱶沢小一年」とか「一年生」とか書いたらその時点で審査対象外。
学校に持ってきた時点で間違ってたらもうどうしようもないので、夏休み前に注意しておかねばならない。
……これくらい大したことない、と思ってますね?
でも、世間には書道コンクールはいっぱいあります。
そしてこのへんはコンクールごとにそれぞれ規定が違って、
「鱶沢小一年と書け」
「鱶沢小学校一年と略さず書かねばならぬ」
「いや、学年を書いてはならぬ」
とか色々。
「Papars,Please」か。
そしてこのコンクールのめんどくさいところは名札。 この名札を切り取ってのり付けして出品しなきゃならないの。一点一点全部。
氏名も学年も作品に書いてあるだろ!
いやまあ、子どもの字は下手だから読めないかも、ってことなのかも知れませんが、だったら逆に作品への学年の書き方とかを厳格にする意味がわからない。
JA宮城はpdfで様式を配ってますけど、pdfが編集できる学校はたぶん少数派なので、ほとんど全部手書き。
「先生へ」って書いてあるとおり、子どもや保護者が記入することは想定されてなくて、全部学校での作業。
そしてこれで終わりではない。 出品目録……つまり、出品する作品全てのリストを作らなければならないのです。pdf。
しかし実のところこのコンクールの一番謎なところは運営の方法です。
さっきのサイトで「応募方法」をクリックするとこんなページに飛ばされます。「応募の方法は都道府県によって異なります」……?
都道府県をクリックすると以下のような感じ。
募集要項・名札・出品目録がダウンロードできる千葉。
共済連へのリンクと「お近くのJA」検索へのリンクがある福島。
電話番号しかない東京。
そしてもう終了している愛知。
そう……「全国コンクール」と銘打っているにもかかわらず、運営方法が地域ごとにバラバラなのです。
子どもたちが書いてきた作品を全て送付してよかったり、校内で審査して学年2点に絞れとか、目録のエクセル版が用意してあるとか(目録の様式も県によって違う)。
しかし「作品に『一年生』って書いたら失格」というのは一致している。
まあ、どうせ地元のJAに送るんだからバラバラでも困らないんですけど、例えば東京のコンクールの締め切りとか、ネット上で知る方法がない。
要項がダウンロードできる場合でも、「締め切りは地域のJAによって異なります」とか書いてあって、つまり都道府県内でもバラバラ。
じゃあどうするのかっていうと、「県本部より学校へご案内します」って書いてあるとおり、紙ベースで分厚い文書が郵送されてきて、そこに締め切りが載っているのです。
……でもね、地域差があるのかも知れないですけど、JAからの文書ってすげえ送られてくるの遅いんですよね……。
ちなみによく事情がわからないんですけど、北海道の要項とか見ると「埼玉県のJA共済コンクール事務局に直接送れ」って書いてありますね。
埼玉県のJAは「個人および書道教室等からの出品は受付けておりません」って言ってるのに、北海道の人は個人で埼玉に送っていいのか……? 謎。
まあとにかく、注意事項をマンガにしたり凝ったサイトを作ったりする前に、まず運営方法を統一して、必要な情報や書類をサイト上で得られるようにして欲しい。
今年までの我慢だ(たぶん)! オリンピックポスターコンクール
「東京2020オリンピック・パラリンピックに向けたポスター募集企画 」。
サイトは以下。
tokyo2020.org
東京2020組織委員会では、今年度も全国の小・中学校、特別支援学校、海外の日本人学校等に在籍する児童・生徒を対象にオリンピック・パラリンピックをテーマとしたポスター募集企画を開催いたします。
また、ポスター制作をした方には、全員に御礼状と参加賞を贈呈いたします。
「今年も」ってことは毎年やってるんですよ。知ってました?
例によって……
作品に貼る名札と……(なおこれは「裏面左下」に貼らなければならない) 目録を作る。
ちなみに、この名札と目録は、五輪のサイトからはダウンロードできない模様。
どうせ作業するのは学校だからね! サイトからダウンロードできる必要はありませんね? 学校には紙ベースで送ってあるし!(手書き前提)
(岐阜県教委がpdfでアップロードしてた)
しかしこのコンクールの何がアレかってこれですよ。「各学校から組織委員会に送付いただく作品(代表作品)は、各学校で、1枚程度とします」
たった……たった一枚のために、目録書いて梱包して郵送せねばならないのか……。
justsize氏は
「校内審査ではコンクールの意味がないのでは」
と言ってましたが、たった1点しか選べないのではその弊害が大きい。
昨年度の入賞作品を見ると……その……いわゆる「教師が見ていい作品だと思う作品」とは、入賞作品の傾向がだいぶ違う気がします。
つまりオリンピック組織委員会の審査基準と、学校の校内審査基準に齟齬がある。
この状況で「学校で1点だけ選んで下さい」となると、教師が落とした作品の中に、組織委員会にとっての「傑作」がある可能性が高くなってしまうのでは。
まあ……校内審査を要求するコンクールって、実はとても多いんですけどね……。
ともあれ、
「全員に記念品をあげるよ!」
って書いてあるけど、実際に校外に出品して審査されてるのは1人だけ、というのはどうにも子どもを騙してる感があります。
……しかしこれ、
「本校では応募総数が2451点だったので50点出品します。あと記念品を2451個ください」
って言ったらいけるんだろうか。
余談ながら、ポスターもアレなんですけど、オリンピックのマスコット、小学生による投票で決まったの知ってます?
いかにして「投票」したのかというと、これまた学校が窓口でですね……。
クラスごとに「どれがいいですか?」って聞いて、「各クラス1票」で投票するという謎システム。
すごい死票が多そう。
で、それを組織委員会に報告するという……。
なぜそれを学校がやらねばならないのか。
なんか、「オリンピック教育」とかで、開催や投票に先立って五輪についての授業をやって欲しいらしく、それ専用の指導案まで作ってあるんだけどね……。
tokyo2020.org
学校がそんなにヒマだと思ってるのか君たち……。
あと、メダルの原料にする金・銀を集めるための「不要スマホ回収箱」が市内全部の学校に送られてきたりですね……(もちろん1個も回収されなかった)
オリンピック組織委員会、学校をタダ働きさせる前提で事業を進める一方で、無駄なところにカネを使うよな……。
貯金箱コンクール
justsize氏が批判して大臣にも捕捉されたゆうちょ銀行の貯金箱ですけど、あれ、以前よりマシになったんですよ。
以前はPCやスマホからの応募ができなくて、必ず現物を梱包して郵便局に持っていく必要があったんです。
(その前は校内審査がなくて全部郵便局に送っていたという話ですが、その頃のことは知りません)
justsize氏の学校はネット環境的に厳しい、という話ですけど。
あと、以前あのコンクールで一番めんどくさかったのは「エントリーシート」ってやつで、出品作品の優れた点、工夫されている点を200字くらいの文章で専用の用紙に書いて同封しなければならなかったんですが、要項を見る限りそれは今年は必要なくなった……のかな……?(昨年はあった)
ちなみに出品できるのは学年1点だけですが、「30名が作ってきました!」って報告すると30名分の記念品をくれます。
(代表者には記念品に加えてノートか何かをくれる)
実は、色々な応募方法を工夫しているだけマシな部類とも言える気がします。まだ。
そのほか
あと、青少年読書感想文全国コンクールもクソコンクールだなあ……。
出品票がめんどくさい(読んだ本が何ページあるかとか、読んだのは第何版で初版発行が何年とか本のサイズは縦が何cmかとか書かなきゃならない)のに加えて、「全国」と言いつつ地域審査は各学校の教員が集まって審査員をやるから、出品以外に審査にも教員の労力が必要という……。
というか、しつこいようですけど、コンクールごとに微妙に仕様が違うのほんと嫌。
絵画だと
「画用紙のサイズはA2です」
「四つ切り画用紙です」
「このコンクール専用の用紙があるのでそれを使って」
「ポスターだからスローガン等を入れて」
「スローガンはこっちで入れるから文字は書かないで」
(交通安全ポスターだと、
「ドライバーはシートベルトを締めていなければならない」
「信号機の色は正しい順番でなければならない」
とか規定があるけど、これは仕方ないかな……)
読書感想文だと、
「一行目は題名、二行目に学校名・学年・氏名を書いてください」
「一行目は題名、二行目に学年と氏名。学校名は書かないで」
「一行目から本文。題名は欄外、学年と氏名は出品票だけに書いて」(全国青少年がこれ)
「作品と出品票は重ねて右上をクリップ止めして提出」
「作品と出品票は3枚複写して、左上をホチキスで閉じて3部とも提出」
唯一共通しているのは、
「「「応募規定を守らない作品は、審査対象といたしません!」」」
アルストツカに栄光あれー。
まだマシなやつ。
うらみつらみを書いてきましたが、いいコンクールもあります。
例えば、「WE LOVE トンボ」絵画コンクール。
トンボの絵を描くやつ。
応募規定
なんでトンボかというとトンボ鉛筆が主催だから。(あと朝日新聞)
これは学校などの団体で応募してもいいけど、個人で直接応募してもいい。
つまり、学校が目録を書いたり発送作業をしたりしなくていい。
そして全員に記念品(上位入賞者の作品写真を印刷した下敷きだと思う。たぶん)をくれる。
……ただ、作品を返却しないのに、出品者の住所と電話番号書かせるのちょっと怖い。
まあ、受賞した時に連絡先がわからないと困るんだろうけど……。
公的機関だと、内閣府・防災推進協議会主催の「防災ポスターコンクール」。
www.bousai.go.jp
これも、学校で応募してもいいけど、個人で直接応募してもいい。
もうね、コンクールをやるのは勝手だけど、学校を窓口にしようとするな、と強く言いたいです。
学校はお前らの出先機関じゃないんだぞ。
働き方改革!
……と、色々書いてきましたが。
郵貯の「アイデア貯金箱」コンクールへの応募が面倒な件 - パパ教員の戯れ言日記b.hatena.ne.jpこれ、まともなコンクールを「先生たちのオススメ」として生徒に紹介したらあかんのかな。素朴な疑問。
2019/08/31 10:58
うん、やってます。
夏休み前に何十個も送られてくるコンクールに全部出品してたら出品担当者が死んでしまうので、何らかの形で精選が必要です。
本校では
「学校として参加して欲しいコンクール」
をリスト化して、夏休み前に子どもたちに配っています。
(だから、要項を送ってくるのが遅い団体は超困る。
名前の書き方とか画用紙のサイズとかコンクールによって色々だから、そのリストに書かなきゃならないんだよ…)
……で、ここまで書いてきてアレなんですが、JA共済とかオリンピックとかゆうちょ銀行みたいなクソコンクールは、本校では「参加して欲しいリスト」から外しました。
もちろん担当者の独断ではなく、管理職と相談し、職員会議で提案した上でですが。
それでも10個くらい残ってるけど(図工だけで)。
「参加してないのかよ!」
って言われそうですけど、世の中、本校みたいに教育委員会が寛容で校長も業務改善に熱心な学校ばかりではありません。
「五輪ポスターコンクールは必ず出品しろ」って言われてる地域とか絶対あると思います。
そういう学校で苦しんでいる先生は必ずいるので、その負担を減らしてあげて欲しい。
また、逆に、
「おたくのコンクールの募集チラシは配布せず捨てました」
っていうのは、運営団体にとっても残念なことだろうと思います。
捨てられたくなければ運営方法を変えていただきたいと思います。
個人参加が可能なら、とりあえずもらったチラシは配布するしポスターも掲示しますから。
で、そんな本校でとりまとめをやってるコンクールって何? って話ですけど。
・地元の警察署が主催する交通安全ポスターコンクール
・地元の商工会が主催する風景画コンクール
・地元の福祉事務所が主催する福祉ポスターコンクール
……みたいな。
地元の団体が主催しているものに参加する、という方針なので、「オススメコンクール」を具体的に挙げるのは難しいです。
全国コンクールに参加するのが無意味だとは言わないんですけど(個人参加が可能なやつはチラシを配布して「やりたい人はやってね」って言ってる)。
しかし、地域のコンクールなら、とりあえず参加すると商工まつりの会場で飾ってもらえて、地域の人に見てもらえたりするので。
商工まつりに行くと、両親と祖父母と一緒に展示作品を見に来て、「あったー!」とか言って自分の作品の前でピースして記念写真、みたいな姿を目にします。
そう考えると、あえて大きなコンクールに出すより、地元のコンクールで見てもらった方が、子どもにとっても満足感が大きいかも知れない、と思っています。