ドキュメンタリー映画「三沢川いきものがたり」の制作裏話をお伝えします。 [講演・上映会]
特定非営利活動法人「東京雑学大学」2021年4月講義のご案内
身近な川にも”いのち”がいっぱい。
――映画づくりを通して伝えたい「生物多様性」――
日時/2021年4月22日(木)午後2時より2時間程度
会場/東京都西東京市・柳沢公民館
西武新宿線 西武柳沢駅南口より1分
料金/聴講料無料(手元資料費として100円)
東京多摩地域、稲城市の市街地のほぼ中央を流れる一級河川三沢川。それは里山よりもっと身近な街中の川。この映画は人と生活圏を共にする生き物たちの記録です。
魚や小鳥、そして生態系の上位に位置するカラスやオオタカ。四季の移ろいの中に思いもかけない姿を見せる三沢川の生き物たち。それはそのまま多摩の生活環境の素晴らしさを示すバロメーターです。
★お申し込みは必要ありません。マスクをお忘れなく。
お問合せ先/TEL.042-465-3741 浅田、TEL.0422-52-0908 菅原
東京雑学大学HP →http://t-zd.life.coocan.jp
【解説】「三沢川いきものがたり」は”生物多様性への気づき”の映画。
ドキュメンタリー映画「三沢川いきものがたり」制作のきっかけは、多摩地域・稲城市内を流れる三沢川でたまたま遭遇したヘビとカラスのバトルでした。三沢川は生活環境の中で「里山」以上に身近な「街中」を流れている川です。人の生活圏である市街地で生態系の比較的上位に位置するヘビが生息しているなら、それ以下の生き物たちもたくさん生活しているのではないか。そうした生き物たちを記録することは、そのまま多摩の生活環境の豊かさを示すものではないか、と感じたのです。
この「三沢川いきものがたり」には、昆虫も入れて50種以上の生き物が登場します。
撮影は2010年4月から2016年5月末まで。三沢川の一定区間往復約5キロを毎日歩き続けました。完成は2018年8月でした。
この映画では、この種のドキュメンタリーで当然語られるべき生き物の解説を意図的に外しています。際立った主張も結論もありません。「こんなものを見たよ」「こんなことをしていたよ」と、見たままを提示しているだけです。そこが通常の生物ドキュメンタリーと違うところなのですが、つまり、「詳しく知りたかったら自分で調べてね」ということなのです。自分の目で観察してみる。ネットで詳しく調べる。図書館で専門書を探す…。それらの行動はすべて”気づき”から始まり、それが関心を高め、やがて「今年は〇〇をあまり見ないね」「鳥の種類が少ないようだね」…「どうしてだろう」、というように問題意識の深耕を促すように作用すると考えるからです。
その生活圏の住民にとって、街中を流れる河川の存在がどれほど大きいか、どれだけ尊いかに考えが及んだ時、気付きは思考をもたらし、「川を汚さない」「生き物を見守る」「緑地を維持する」という行動となって、地域の生活環境の守りと育成に向かうと思うのです。
と、ここまでは「生物多様性」というキーワードを元に、身の回りの自然環境に一段と深く関心を寄せることの促しでした。この作品の本当の目的は実はその先にあります。
「生物多様性」を紐解くと、「動植物から細菌まで世界に175万種。地球上には3000万種。ところが1975年以降、毎年4万種が絶滅」とあります。
生態系の頂点に君臨するのは人間です。温暖化をはじめとする地球規模の危機がこのまま続けば、人類も存亡の危機に立たされるのです。そのために今何をすべきか。私たちが今すぐにできることは何か。この映画はそうしたグローバルな問題に対する気付きと行動を起こすきっかけづくりとしての意味ももつものでありたい。そう念願するものです。
2020~2021年は新型コロナの影響で、予定されていた当作品の上映会がすべて中止になりました。コロナ鎮静後のこれからは、いろいろな地域や場所で大勢のみなさんに観て頂きたいと願っております。