学会大会2020:分科会・全体会詳細
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2020年度学会大会は、ビデオ会議システム「zoomミーティング」を活用し、オンラインで開催します。
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【分科会1】9:30〜12:00
災害支援でうまれた「つながり」の継続と課題 ― 平成28年熊本地震から令和2年7月豪雨へ
≪登壇者≫
・樋口務(くまもと災害ボランティア団体ネットワーク 代表)
・三城賢士(Bridge Kumamoto 理事)
・成尾雅貴(くまもとSDGs推進財団 代表)
・菅野拓(京都経済短期大学専任講師)
・江崎太郎(YNF 代表)
・向井洋子(熊本学園大学准教授)
≪概要≫
阪神淡路大震災以降、ボランティアが被災者支援をおこなう機運が高まっている。東日本大震災後、幅広いニーズに対応するボランティアのネットワーク化が課題となり、2013年に災害対策基本法が改正され、「行政がボランティアとの連携に努める」旨が明記された。この流れの中で、中間支援組織としての認定NPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)が組織された。
JVOAD設立とほとんど時期を同じくして平成28年熊本地震が発生したため、熊本地震は中間支援組織が本格的に稼働した災害といえる。それから3年10か月後、新型コロナウィルスによる社会不安が広がるなか、令和2年7月豪雨が発生し、熊本県では、死者65名、全壊家屋545軒、半壊家屋25軒、床上浸水5,525軒、床下浸水1,987軒、一部損壊85軒の被害を受けた(2020年7月15日現在)。
わずか4年の間に2つの大きな災害に見舞われた熊本県において、1つめの災害でできたボランティアの「つながり」は、2つ目の災害でそのように生かされたのであろうか。
本企画は、この問に応えるべく、3つの団体の実践を紹介する。そのうえで災害ボランティア団体が抱える問題点を明らかにし、支援者間のつながりや被災者とのネットワークの実態から、支援継続に必要なことを議論する。
【分科会2】13:00〜15:30
災害復興における災害ボランティアの質の向上(プロボノ/技術系ボランティア、コロナ禍を踏まえて)
≪登壇者≫
・岩波初美(千葉県県議会議員、NPO元気になろう福島)
・高田昭彦(復興ボランティアタスクフォース 代表/富士ゼロックス勤務)
・井出順二(一般社団法人ロハス南阿蘇たすけあい 代表理事長)
・勝又三成(一般社団法人震災復興支援協会つながり 代表理事)
・高木一彦(ふっつ災害支援ネットワーク 代表)
・星孝芳(千葉ボラサポート 代表)
・水野哲也(行政書士)
≪概要≫
災害復興において、災害ボランティアの果たす役割が注目されている。社会福祉協議会(等)が設置したいわゆる「災害ボランティアセンター」では、いかなる人であれ初心者の「一般ボランティア」としてマッチングされるとされ、社会への認知も進んできた。しかし、重機ボランティア、ブルーシート張り、など経験を要する「プロボノ」「技術系ボランティア」などと呼ばれる災害ボランティアもあるが、マッチング手法、保険の適用条件などの細則が定まっていないとも言われ毎度毎度いつもの混乱が見られる。
一方、自衛隊を含む行政支援では、派遣要請手順や、被災者への食糧費基準、みなし仮設住宅の基準等定まって居るが、ボランティアによる支援基準は定まって居ない。このため、被災者支援への平等性、普遍性に欠けてしまい、行政の補完たり得て居ない。おりしも、コロナ禍でのボランティア可否も課題として挙がった。災害多発もあり、社協への金銭援助も話題となっている。プロボノは従事者数は少ないものの、「質」において、被災者支援において重要である。しかし、実従事者としてのプロボノへの金銭支援、宿舎等の貸与、臨時任用などの身分保障はほとんど全く無い。災害復興を支えるセクターとしての発言権すら与えられていないが、本企画において、課題の見える化を行う。
【分科会3】9:30〜12:00
新たな災害研究のあり方を探る ―新興感染症流行下における若手研究者の活動を通して―
≪登壇者≫
・小林秀行(明治大学)
・川副早央里(東洋大学)
・中沢峻(宮城大学)
・内山琴絵(信州大学)
・山﨑真帆(一橋大学大学院)
・安本真也(東京大学大学院)
・辻岳史(国立環境研究所)
・横山智樹(東京都立大学大学院)
・重松貴子(東京大学大学院)
・野坂真(早稲田大学/専修大学)
・松原久(東北大学)
≪概要≫
本企画は、災害研究に取り組む大学院生・若手研究者らによるものであり、このようないわゆる若手世代が、withコロナと呼ばれたこの期間に模索してきた研究・調査・教育について、その経験・知見を共有することを通して、災害研究の新たなあり方を検討するものとなる。COVID-19の世界的流行が始まって以降、すでに半年が経過している。この社会的な危機においても、災害が一般的にそうであるように、やはり弱者にその影響が集中する状況が垣間見えている。このうち、大学院生や若手研究者といった人々は、家族形成・キャリア形成の時期にあり、そもそも環境変化の影響をきわめて受けやすいなかで、さらにCOVID-19への対応をも迫られてきている。
一方で、COVID-19の終息後も、オンラインの活用などは不可逆的な変化となることが予想され、このような対応経験は今後の災害研究・教育のあり方を考えるうえでの貴重な知見となると考えられる。その経験・知見を共有することから、withコロナ、そしてポスト・コロナの災害研究・教育を模索してみたい。なお、念のために付言をするとすれば、本企画は決して、大学院生・若手研究者の苦境と、その改善を訴えるような運動的な性格のものではない。むしろ、その実態を参加者と共有し、適応策を共考していくためのものである。
【分科会4】13:00〜15:30
デジタル時代の災害語り部とは 地域化と国際化に向けた取組みと課題
What is the role of Disaster storyteller “”KATARIBE”” in the Digital Era? Challenges and Strategies on Localization and Internationalization
≪登壇者≫
・池本啓二(北淡震災記念公園 野島断層保存館部長)
・山内松吾(元宮城県志津川高等学校校長)
・阿部憲子(南三陸ホテル観洋 女将・語り部バス主宰)
・Rosemary Du Plessis (カンタベリー大学 兼任准教授)
・北後明彦(神戸大学都市安全研究センター 教授)
・山地久美子(大阪府立大学 客員研究員)
≪概要≫
阪神・淡路大震災から25年、東日本大震災・カンタベリー地震(ニュージーランド)から10年経ち、災害体験者の世代交代が進んでいる。
この10年間にデジタル化は飛躍的に進み、災害を伝える方法は大きく進歩し映像、写真、書籍や芸術等多様な方法での発信が一般化した。2020年に始まった新型コロナ社会では移動が制限されるとともにデジタルコミュニケーションが加速された。一方で、被災地の災害語り部らは被災地の現場で伝える「対面」に重きを置いてきた。今、災害語り部には防災教育や国際化への応対など役割が多様化してきている。今、デジタル化が浸透していく中で人と人の対面とオンラインによる災害の伝承はどのように進化できるのか、日本とニュージーランドでの災害語り継ぎの取組みと課題を検討する。
The Great Hanshin Awaji Earthquake in 1995, the Great Eastern Japan Earthquake and the Canterbury Earthquake (New Zealand) in 2011 generated stories from survivors which have been told and recorded in a variety of different ways. In Japan disaster storytellers“KATARIBE” in disaster-hit areas have engaged in face-to-face communication and played an important role in passing on stories about disasters and their impact.
In the last decade, digitization has dramatically changed the way of stories about major disasters are recorded and shared with others. Disaster story-telling movies, photographs, books, arts have been produced and websites set up that record disaster experiences.
In this COVID-19 era the use of international digital communication like ZOOM has accelerated. Nowadays, the roles of disaster storytellers are becoming more diverse, and include education on disaster prevention and responding to the needs of international approaches. As the digital society deepens what will be the role of “KATARIBE? This session will examine the differences and connections between face-to-face “KATARIBE” disaster storytelling and digital online storytelling about disasters in the context of the constraints on face-to-face connection including a COVID-19 context.
【全体会】15:50~17:00
≪登壇者≫
分科会1:向井洋子(熊本学園大学准教授)
分科会2:高田昭彦(復興ボランティアタスクフォース 代表/富士ゼロックス勤務)
分科会3:小林秀行(明治大学)
分科会4:山地久美子(大阪府立大学 客員研究員)
司会:澤田雅浩(兵庫県立大学/日本災害復興学会企画委員会委員長)