CEATECを語る(Vol.05):CEATEC出展の魅力と可能性 | ceatec experience
対談・インタビュー
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CEATECを語る(Vol.05):CEATEC出展の魅力と可能性

2023年2月17日(金曜日)
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CEATEC 2023の開催が決定、本年は2月7日より出展募集が始まっています。それに先立ち、1月31日に開催概要説明会が実施され、過去にCEATECに出展された企業ならびに有識者によるパネルディスカッションが行われました。CEATECの魅力や出展する理由などがそれぞれの立場から語られたパネルディスカッションを誌上でお届けします。

ゲスト:笠井 健 氏(北良株式会社 代表取締役社長)
ゲスト:田路 圭輔 氏(株式会社エアロネクスト 代表取締役CEO)
ゲスト:藤井 達人 氏(日本マイクロソフト株式会社 金融サービス事業本部 業務執行役員)
ゲスト:後藤 和男 氏(日本電気株式会社)
ゲスト:酒井 尚志 氏(三菱電機株式会社)
ゲスト:関口 和一 氏(株式会社MM総研 代表取締役所長)
聞き手:鹿野 清(CEATECエグゼクティブプロデューサー)

パネルディスカッションの映像はこちら↓
https://youtu.be/Odmz1FZgeaI

鹿野 清(CEATECエグゼクティブプロデューサー)

鹿野 本日は多様な立場の皆さんにお集まりいただきありがとうございます。お一人ずつ自己紹介をお願いいたします。

笠井(北良) 我々はエネルギーの会社なのですが、特に取り組んでいるのは「防災」です。東日本大震災を契機にして、医療的なケアが必要な患者さんに対して、どんな状況においても電気や水などを供給するという観点から開発をスタートしました。これを広く世の中に知っていただく、また実装していくというフェーズにおいて、我々としてはCEATECを足がかりにして、皆さんの意見を集め、さらに世の中に実装していこうということで、CEATEC 2022に初出展しました。

笠井 健 氏(北良株式会社 代表取締役社長)

田路(エアロネクスト) 私たちは2017年創業のスタートアップでドローンの重心制御技術を展開している会社です。その技術の社会実装に向けて、大企業との連携を目指していた時期が2018年でした。その時にCEATECに初めて出展、CEATEC AWARDの経済産業大臣賞をいただいて、そこから本当に会社自体のステージが大きく変わりました。その経験をお話しできればと思っています。

藤井(日本マイクロソフト) 以前メガバンクに勤めていた時に、銀行としてはじめてCEATECに出展しました。正直なところ、当時は銀行とCEATECの接点は全く思い浮かばなかったのですが(笑)、一回やってみると面白いんじゃないかということで出展してみたところ、社内外でとても大きな反響がありました。世の中に発信していくということは、銀行だってやっぱりやるべきだと改めて感じました。現職でもCEATECに出展して活用させていただいていますが、さまざまな方がお越しいただいて、色々な意見交換ができる非常に貴重な場として捉えています。

後藤(NEC) CEATECの前身である展示会から当社は出展をしていますが、私自身が業務としてCEATECに関わることになったのは2011年からのことです。企画をしたり、運営をしたりしてきました。

後藤 和男 氏(日本電気株式会社)

酒井(三菱電機) 当社は第1回のCEATECである2000年から22年連続で出展をしています。私は宣伝部門に所属しているのですが、この6年間、CEATECに携わってきました。

関口(MM総研) 2022年6月までの40年間、日本経済新聞で記者をしていました。入社直後の1980年代には家電量販担当としてエレクトロニクスショー(CEATECの前身となった展示会の1つ)に足を運び、その後に電機業界担当のキャップを務めるなど長く取材をしてきたことから、CEATECを主催する電子情報技術産業協会(JEITA)とは大変密接なつながりを持ちました。その縁もあり、CEATEC AWARDについても、開始当初から審査員をさせていただき、現在は審査委員長を務めています。

鹿野 ありがとうございます。それぞれが異なる理由や背景、立場でCEATECに参画いただいてきたことがお分かりいただけたと思います。それでは早速本題に入っていきます。1つ目のテーマは「なぜCEATECに参画されたのか」です。藤井さん、当時はメガバンクに勤務されていたわけですが、なぜCEATECを選ばれたのか、その理由を教えてください。

藤井(日本マイクロソフト) きっかけはCEATECを紹介いただいたことでした。実は私自身は個人でCEATECに何度か来場したことがありました。印象に残っていたのは非常に集客力が強いというところ。実際に出展して、外部はもちろん、内部からもたくさんの来場があり、(デジタルに関する)理解促進につながりました。特に内部向けでは役員が来場すると優秀な部下も一緒に来場するという傾向があったので、積極的に役員を会場に呼んで、社内マーケティングとしても使わせていただきました。その時に感じたのは、CEATECに出展するということをきっかけにして、会期に向けて何かを作っていくという流れを設定するというのは非常に重要だなと。そういったマイルストーンがあると、出展に向けて目玉になるこういうものを作ろうとか、単に展示するだけではなくて今後どう展開していこうとか、当然そのように考えることになるわけです。一つのリズムができるという点で良い効果が生まれたと思っています。また、副次的な成果ですが、全国の支店に対して、お客様からCEATECに関する展示内容のご連絡をいただくことが結構ありまして。ビジネスの会話やきっかけになるみたいなこともいくつか生まれたとのことでありがたかったです。

藤井 達人 氏(日本マイクロソフト株式会社 金融サービス事業本部 業務執行役員)

鹿野 いまでは立場が変わってIT業界の要職に就かれているわけですが、銀行のときと見方は変わりますか。CEATECに対する期待値はどうでしょうか。

藤井(日本マイクロソフト) そうですね。銀行の時はデジタルが立ち遅れているというイメージをどう払拭していくかが課題だったので定性的な効果を狙っていましたが、私のいまの立場でいえば、やはりそこでどれだけ商談に繋げるリードを取ってくるかみたいなところは当然あります。ただ、そこはCEATECの集客力の強さといいますか、ほかの出展者も非常に強力で、集客が見込める展示会ですので、我々としても有意義にCEATECの場を活用させていただいています。

鹿野 当時は会場の一角がさながら「Fintechコーナー」に見えるくらい、金融機関にご出展いただいて、CEATECが様変わりするきっかけになったと記憶しています。ありがとうございます。次に田路さん。今でも鮮明に覚えていますが、2018年のCEATECへの初出展は、スモールパッケージブースの小さな1ブースでしたね。どういう背景で出展されたのかきっかけを教えてください。

田路(エアロネクスト) 我々スタートアップは新産業による新市場を創造するためにいる、というのが存在意義だと考えているのですが、その新産業を作っていく上ではやはり強い技術が必要です。一方で、自分たちだけでそれをやり遂げるのは非常に難しい。市場というのは大企業が参入して大きくなっていくものですから、当時は顕在化していない未来の課題を提示して、いかに大企業と連携していくかを考えていたタイミングでした。そんな中、当然、人・モノ・金がないのがスタートアップですので、本当に1ブースという、それでももう本当になけなしのお金でCEATECに出展させていただいて。ただ1ブースですし、何もしなければきっと誰も来てくれないだろうと。そうなればやっぱり出展する前からどれだけみんなに注目されるかということが必要だと考えまして、CEATEC AWARDにチャレンジしました。結果、なんと幸運にも経済産業大臣賞をいただくことができ、会期前にある程度認知してもらえたことで、会期中にはわざわざエアロネクストのこの技術が見たいっていう目的で来場してくださった方もいました。そういった方々と出会えて、そこから本当に会社のステージが変わりました。CEATECが会社のステージを押し上げてくれたと、本当に感謝しています。

田路 圭輔 氏(株式会社エアロネクスト 代表取締役CEO)

鹿野 エアロネクストはまさに「CEATECのサクセスストーリー」の好例であり、こういった可能性があるということをぜひ知っていただきたいと思います。今年もスタートアップ向けのエリアや企画を展開していきますのでご期待ください。続いて、三菱電機の酒井さんと日本電気の後藤さんにお聞きします。CEATECに継続出展していただいている企業の代表として、CEATECに出展する理由を聞かせてください。

酒井(三菱電機) CEATECに出展するメリットは、3つあると思っています。まず1つ目は、日頃ではなかなか会うことのできない方々に直接のプレゼンテーションができること。各省の大臣、局長、審議官をはじめ、政治家、各国大使館員なども訪れます。さらに出展企業の役員が互いにプレゼンしあえることも大きなメリットだと考えています。2つ目は、報道によるインパクト。記者の数が多いことから、報道の量も多く、パブリシティ効果がすごいと思っています。広告換算したら相当な額になりますよね。3つ目は、CEATECのような産業の枠を超えた展示会は国内では他にあまりないということです。三菱電機のお客様ではないお客様はほかの業界にもいるはずです。そういった潜在顧客の方々にプレゼンテーションができるというのは非常に大きなメリットがあります。

酒井 尚志 氏(三菱電機株式会社)

後藤(NEC) CEATECの魅力として、業界団体が主催しているということもポイントですね。展示会の主催者はさまざまですが、CEATECは業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)が主催していて、日本経済、さらにはグローバルに向けてテーマ立案や企画がなされている展示会です。そのため後援の各省庁によるコンファレンスがあったり、大臣をはじめ、幹部や若手官僚が会場に見学に来たりするなど、他の展示会と比べて特長に挙げられるポイントですね。あとは一社だけでは呼べないお客様がたくさん来場されることも重要です。自社が主催するイベントと比べても、やっぱり集客力が違う。それから報道関係者。CEATEC開幕日にテレビを見るとCEATEC会場でこういう展示が注目されています~、というニュースや情報番組を目にしますよね。露出効果も大きな魅力かなと思っています。

鹿野 ありがとうございます。皆さん、さまざまな切り口をご紹介いただきました。2022年に初めて出展された北良の笠井さん、ぜひ当時の気持ちも含めて詳しく教えてください。

鹿野 清(CEATECエグゼクティブプロデューサー)

笠井(北良) 我々はエネルギーの会社なのでテクノロジーとちょっとだけ距離があるように思われますが、我々がやりたかったことは「レジリエンス」であり、東日本大震災後の10年間、サスティナブルなものをいかに維持していくかということに注力してきました。これを世の中に広く発信するとか、実装するにはどうしたらいいかっていうのを考えた時に、やっぱり「CEATEC」という存在は大きくて。日本国内で唯一といっていいほどにいろいろな軸を持った展示会・コミュニティであって、こういったところに出展してみようと考えました。ただ、我々は岩手県が本社の地方の会社で、しかも中小企業。社員は80人ぐらいしかいませんので、やっぱり皆に止められるわけなんですよ。少年野球がメジャーリーグに挑むようなものなので「あんなとこ行くもんでねぇ(訛って)」って周りから言われる感じなんですけども(笑)。でも私の後輩で、大谷翔平選手とか菊池雄星選手というのを育てた高校野球の監督がいるのですが、彼いわく、そういった人たちが一人でも出ると自分たちも世界にいっていいんだという風に、人ってやっぱり変わる、って言うんですよ。そういうのを間近に見ていましたので、それならばCEATECに出展してみようかと。そして、出展の後押しになったのは「パートナーズパーク」という企画と、そのテーマである「Society 5.0」。これが実は大きくて、地方こそ課題が山積みというか課題の先進地でして、我々が抱えているものをその当事者がどんな風な解決を望んでいるのかっていうものを世に問うてみようかなと。しかもそれが一社だけではなくて複数の会社が技術を持ち寄って一つの課題を解決する姿を見せようと。パートナーズパークという企画があったことこそ、出展するのに一番背中を押していただいたかなと。このような視点で企画を作ってくださったことにすごく感謝しています。

笠井 健 氏(北良株式会社 代表取締役社長)

鹿野 次に関口さん。メディアの立場でCEATECの前身であるエレクトロニクスショーから現在まで、いろいろな出展企業に取材されたり、インタビューされたりしてこられたと思いますが、CEATECに出展する理由や意義をどのように捉えていらっしゃいますか。

関口(MM総研) CEATECに出展する意義は大きく2つあると考えています。一つは、アジアを代表するICTとか家電とかテクノロジー分野の一大見本市であるということ。世界に目を向けますと1月にCES、以前は3月にCeBIT(2018年まで)、それから9月には IFAがあり、最後に10月のCEATECという流れになるのですが、日本で開催されているということ、そしてそこに海外からもメディアが取材に来ますし、そこに出展する意義は極めて大きいと。プライベートショー(企業が単独で行う自社イベント)とは異なり、セレンディピティみたいな新しい出会いがあるのが大規模展示会の魅力です。だからこそ出展意義があるのではないかと思います。二つ目の理由としては、世の中に展示会は数多あれどCEATECが一つ大きく違う点は「テーマ性」を持っているということです。「Society 5.0」とか「Co-Creation(共創)」とか、主催者がテーマを打ち出して、出展企業もそこにコミットしてインボルブされて参画しているというのが他にはない特徴です。単なる見本市ではなくて、将来の技術の方向性とか企業が進むべき道ですとか、そういったものを指し示す展示会であるというのが参加する大きな理由なのではないかと思いますね。

関口 和一 氏(株式会社MM総研 代表取締役所長)

鹿野 CEATECが総合展示会を標榜している一方で、世の中には専門展示会として一つの領域に特化した展示会が多く開催されています。さまざまな展示会の中から、あえてCEATECを選ぶ理由、特に専門展示会との比較において「CEATECだからこそ」という出展意義を改めて伺いたいと思います。いかがでしょうか。

藤井(日本マイクロソフト) 銀行時代に初めて出展検討したときの感想は、「幕張開催で集客は大丈夫かな」というのが正直な印象でした。しかし実際に出展してみると、ものすごい人がブースに来ていただいて。事前の期待値を非常に大きく上回ったことから、その後2年、3年と連続出展が続きました。他との比較でいえば、まずは集客力の強さですね。これこそがCEATECを選ぶ一つの理由です。あとはさまざまな業界の方とのコミュニケーションができる点ですね。銀行の場合は未発売の商品とかサービスを世の中の人に見ていただく機会っていうのは実はほとんどありません。未完成のものをお客様にお見せして提供するのはなかなかできない。世界を見渡せば、いわゆるベータ版のテストみたいな形でテック企業っぽいやり方をしているとこもありますけども、やっぱり日本の銀行ってなかなかそういうことはできていなかった。そういうものを広く一般の方々に触れていただくとか、あるいは競合となる金融機関の方々にも触れていただくとか、生の声をいただくというのは実はものすごく重要なフィードバックなんですね。アンケートには書ききれないようなさまざまな感情だったりとか、あとこうして欲しいみたいな具体的なニーズだったりとか。そういうところが得られる場としてものすごく重要だったということを強く記憶しています。

藤井 達人 氏(日本マイクロソフト株式会社 金融サービス事業本部 業務執行役員)

鹿野 後藤さん、NECはプライベートショーを開催されていますよね。また他の専門展にも出展されている中での「CEATEC」の出展意義を改めて教えてください。

後藤(NEC) ズバリ申し上げるとキーワードの合致ですね。「Society 5.0」そして「共創」。NECは社会価値創造企業を目指す、という会社としての方向性やビジョンとCEATECが目指しているところ、発信していこうとしているものが合致しているというのが一番大きいと思っています。

鹿野 次は田路さんに伺います。ドローンのみの専門展示会も開催されており、そこではエアロネクストはメインの真ん中になると思うのですが、なぜCEATECを選ばれたのでしょうか。きっかけになったことが何かありましたか。

田路(エアロネクスト) CEATECに出展する前、ドローン専門のコンファレンスに参加したことがありました。当然そこには目的が明確な方々が多いですが、如何せん技術の話が中心なんですね。でも当時の課題は産業とか市場とかにどうアジャストするかというところで、僕らの技術をどんなふうに捉えてもらえるか、ということが最も知りたかった時期だったんです。そのため大企業との出会いという目的もありましたが、この技術をどんなふうに見てもらえるかっていうことを試す場としてCEATECに出展しました。本当に1ブースだけだったこともあり、どれだけ事前に仕込めるかということで取り組みましたが、そういうことも含めて本当にうまくいった思い出のある2018年のCEATECだったなと振り返っています。

田路 圭輔 氏(株式会社エアロネクスト 代表取締役CEO)

鹿野 酒井さん、三菱電機の場合はどういうところが一番の決め手となっていますでしょうか。

酒井(三菱電機) 実は三菱電機が出展する国内展示会の中で、宣伝部門が主導している唯一の展示会がこのCEATECなのです。事業部が主導して出展する展示会はホットリードの獲得が目的になることが多いですが、CEATECにおいては技術力の訴求を目的として出展しています。そのため本音をいえば、完全オンライン開催となった2020年と2021年は非常に難しかったのを覚えています。

鹿野 ありがとうございます。2年間の完全オンライン開催を経験して、ようやく2022年に3年ぶりに対面開催に戻り、改めてリアルの良さを感じました。対面ならではの熱意や熱気を再認識し、出展者の社内外のブランド認知向上とかエンゲージメント強化、モチベーションアップにつながっているというのはありがたい限りです。一方でコロナ禍を経て、展示会に対する評価や認識も変わってきていると感じています。笠井さん、どのように考えていらっしゃいますか。

笠井(北良) 何か枠を決めて特定の製品やサービスを紹介するということであれば、その分野の専門展、場合によってはオンラインだけでいいんだろうということになるのではないでしょうか。やはりこれからは1つの業種とか業界だけで技術が伸びていくってことはあんまりないんだろうと思っていまして。とは言え、一つの会社の中で、いまやっていることを世の中に「これが価値ですよ」って言ったところで、その価値はなかなか広がっていきません。やはり全く違う軸を持った人たちとか業種とか、そういうたくさんの軸の中で自分たちがやっていることを問うことが必要です。CEATECは、エンジニアにとっての開発する意味とか価値とか、そういうものを枠を壊して広げるという役割としての、ある種の「道場」みたいに感じたんですよね。我々のブースを訪れていただいた方々、やはりエンジニアの方が多かったですけど、皆さんいまの会社で新しいことをやれって言われているけれど、どうも窮屈だと。で、我々のような地方の中小企業のブースに来て「こういうことがやりたかったんだよ」とか言うんですよね。そういう意味ではエンジニアをもっと開放してあげるべきなんですよ。その業界とか企業の枠にとらわれずに、技術を持っていることの価値って実はもっと広いもんなんだということをぶつけ合う場、そして人との出会いの場にもなるのかなと。そのエンジニアの価値をさらに上げようと思えば、競合という感じではなくて、お互いにある課題にそれぞれどうやってアプローチしているかっていうことを磨き合う場だなというふうに私は捉えていて。CEATECへの出展はエンジニアにとっても非常に良い機会だったと思っています。

鹿野 ありがとうございます。一方で、CEATECはある程度の規模の投資が必要とされる展示会でもあります。投資対効果というのはどの企業でも出てくる話だと思いますが、酒井さんいかがでしょうか。

酒井(三菱電機) いわゆるKPIの設定っていうことですね。我々が長年にわたってニーズカウントを定点調査でやっていますから、KPIは来場人数を設定して報告を出すようにしています。先ほどのブランド価値向上という観点からですね。同時に昨年はやはり3年ぶりの対面開催ということで、パブリシティが非常に多かったという印象があります。三菱電機においては、テレビで11番組、新聞で21、オンラインメディアで103媒体の取材が入りました。毎年毎年、出展品を選ぶのは非常に苦しいのですが、これだけ発信していただけて非常にありがたかったです。

酒井 尚志 氏(三菱電機株式会社)

鹿野 藤井さん、IT業界の立場から見て、展示会に対する評価はどうでしょうか。

藤井(日本マイクロソフト) オンラインだけだと微妙かなという気がしていたんですけど、やっぱりリアル開催というところが非常に大きかったので、昨年出展しました。普段からオンラインセミナーをたくさんやっていますが、どちらかというと手応えがあるのはオフラインのセミナーなんですね。やっぱりお客様と一緒に話をするというのが一番手応えあるというのは社員一同感じていました。そこでCEATECでやってみようと。リードがどれくらい取れるかをKPIとして設定、結果はまだこれからというところもありましたが、感触としては非常に良かった。なぜかというと、私どものビジネスモデルとして、我々のソリューションを来場者の方に伝えることもあるんですけれども、半分以上の目的は私どものプラットフォームの上で動くソリューションを作っていただいているパートナー企業とのコラボレーションをちゃんとお伝えするってことなんですね。テーマに選んだのは「サステナビリティ」。サステナビリティは非常に喫緊の課題になっていますし、日本企業の皆様も非常に関心度が高いなと。実は最初は社内の体制があまり整っていなかったのですが、CEATECという場をきっかけにして社内調整を図り、パートナー企業との関係性とかソリューションとかも整理して出展することができました。一つのきっかけになった非常に良い動きだという評価がなされていることもあり、個人的には次回も出展したいと考えているところです。

鹿野 2022年に初めて「パートナーズパーク」を設置しましたが、パートナーとの連携をアウトプットするというアプローチをしていただき、まさに共創の成果発信の場、さらなる共創を広げる場となっており、主催者としても感謝しています。次に後藤さん、いかがでしょうか。

後藤(NEC) KPIとしてはいろんな切り口があると思います。例えばブランド認知向上、言うなれば、どういう会社なのか、何を目指しているのかを発信する、とか。それを対面できちんとお客様に説明する機会って、実はそうなかなかないというか、多くはありません。それをきちんと伝えるというのをブランド認知として軸を設定する場合もありますし、リード獲得という軸もあるでしょう。あとは開発中のものを展示してテストマーケティングというか、お客様に実際に触っていただいてその声を聞いて開発側にまたフィードバックしていくというような使い方もできます。CEATECの魅力は出展する企業によって企画の段階でKPIをさまざまに設定できることかもしれないですね。

後藤 和男 氏(日本電気株式会社)

鹿野 ありがとうございます。最後に関口さん。関口さんにはCEATEC AWARDの審査委員長を務めていただいております。審査をする中で、トレンドとか、それから次に期待されるものとか、こんな形で応募してほしいみたいな期待を込めて、コメントをお願いいたします。

関口(MM総研) それでは、CEATEC AWARDの話をする前に、なぜCEATECか、というところを私からもちょっと補完させてください。海外に目を向けますと、例えばフランスは「La French Tech」として、スタートアップ支援とかICT/ITの分野に力を入れており、マクロン大統領が経済産業大臣の時に「Viva Tech」っていう新しい見本市を作って、世界からメディアを呼び込もうとしています。これはどういうことかというと、アメリカが情報通信技術の中心にあるかと思われますが、そうじゃなくてフランスも情報の発信地である、産業の発信地であるということをアピールしたいがためにそういうものをやっているわけです。で、日本はどうかと考えれば、既にこのCEATECという展示会、いうなれば「器」があるわけですから、これを大事にしてほしいなあと思うわけです。当然、企業から見れば出展メリットに関心が寄せられますが、CEATECに皆が集うことは、一種のお祭り騒ぎでもあると思うのです。集まることによって日本のパワーを国内外に示すことができる、そして産業全体が盛り上がっていく。そういう効果があると思うんですね。で、このCEATECは実はネーミングが面白くて、シーテックという響きは耳だけで聞くとなんか海洋博みたいに聞こえますし(笑)、CEATECのCはコンシューマーエレクトロニクスと思われがちですが、そうじゃなくて「Combined Exhibition of Advanced TEChnologies」からCEATECなんですね。新しい技術ならなんでもあり、そういう立て付けになっているわけです。CEATEC AWARDは審査内容も年々変わってきていますけれども、新しい技術ということで、ドローンの技術はもちろん、最近で言うとメタバースとか、それから量子コンピュータみたいなのもいいでしょうし、ありとあらゆる技術をここで見せてほしいと思っています。そうすることによって日本のプレゼンスが上がっていくと思うのです。日本も新しい技術の発祥の国なんだということを世界に印象付けるためにも、このCEATECという器をフルに活用して、新しい技術をどんどんと積極的に出していただきたいと思って期待しています。

関口 和一 氏(株式会社MM総研 代表取締役所長)

鹿野 いろんな立場からCEATECに関わってこられた皆様に率直な意見をいただきました。本日はありがとうございました。2023年のCEATECへの出展をお待ちしております。

■ CEATEC 2023 公式サイト
https://www.ceatec.com/ja/application/

■ パネルディスカッション 映像
https://youtu.be/Odmz1FZgeaI

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