東北新幹線の連結解除事故については、原因が判明したらいろいろと動くかもしれないが、今の段階で思うことを書いておこうと思う。
・前回の原因は正しかったのか?
まずこれが思い浮かぶ。
前回の事故の原因として、連結器周りで金属片が見つかり、それが連結解除スイッチに触れることで短絡が発生し、連結解除信号が流れ、走行中でも連結解除してしまった、という発表だった。
その対策として、その連結解除スイッチに配線している電線をぶった切って、スイッチが効かないようにした、というのが恒久対策として行われたことだった。
なぜこんな対策をしたかというと、見つかった金属片を連結解除スイッチに短絡させたことで連結解除信号が流れたから、ということだった。
なので、本当にそれが原因だったのであれば、これはほぼ完全な恒久対策だったはずだ。
そもそも電線をぶった切ったわけだがら、金属片が触れようが電気は流れない。
つまり、金属片によって連結解除は行われなくなる対策なわけだ。
しかし、今回なぜか走行中に連結解除されてしまった。
ということは、前回の事故の際も、実は金属片が原因では無く、別の要因で連結解除してしまったのでは無いか、という憶測が成り立ってしまう。
前回の事故でも、実はその別の要因で連結解除してしまったが、調査の段階でたまたま金属片が見つかり、その金属片が連結解除スイッチの近くで見つかったので、これで短絡させたら連結解除の信号が流れるのでは?という推測を立て、その推測を元に実験を行い、実際に連結解除信号が流れたので、それを原因としてしまったのでは?
他にもあらゆる調査・実験を行ったとは思うが、少なくともその時点では他に要因が見つからず、金属片が原因と判断したのでは?ということだ。
だとすると、実はかなり危険な状態でこれまでの約半年間、運用されていたということだ。
新幹線の分割併合は、物理的な実施では無く、電気信号によって行われる。
運転席なりに何かしらの操作をするもの(レバーだったりスイッチだったり)があり、それを運転士が操作することで、連結解除信号が連結器に送られ、物理的な連結器を動かす空気圧が変動する。
なので、何をどうやっても、新幹線は連結器での分割併合は電気信号によって行われるわけだ。
その電気信号は、新幹線車両内で発生させるだけでは無く、外的要因によって電気が流れてしまう可能性だって無くは無い。
たとえば、とある家の電球が、夜中にスイッチを入れていなくてもボーッと光り出すことがあって、それの原因が、隣の家で無線通信を行っていたことで、隣の家の電球に繋がる電線に影響して、電球が光り出した、という昔話がある。
無線通信は、遠くまで電波を飛ばすために、大きなアンテナとそのアンテナから大きな電力で出力させることがある。
電波は目に見えないだけで、空中を電磁波の形で移動している。
その電波が、隣の家の電球に繋がる電線に作用して、電気が流れてしまい、電球が光り出したわけだ。
なので、新幹線の連結解除信号だって、もしかしたら外部からの何かしらの影響によって電気が流れてしまう可能性だってある。
これはもう、電気信号で分割併合を行っている以上、避けられない訳だ。
もし分割併合を電気を使わないでやる、ということになれば、人の手で新幹線の連結器を外すという原始的なことをやらなければならず、盛岡や福島で多大なる時間がかかるし、ヒューマンエラーでちゃんと分離出来てなかったとか連結出来てなかったとか、何かしら問題が出るわけで、現実的ではないわけだ。
となると、もう根本的に解決するには、分割併合を行わない、というのが解になる。
そもそも連結しないんだから、走行中に外れることも無いわけで。
踏切事故を無くすために、そもそもの踏切を廃して立体交差にする、というのと同じ事だ。
最終的には、分割併合を行わない、という方向に行くしかないのではと思っている。
現在の本数を保ったまま、分割併合を行わないで運用するということは現実的に不可能だ。
ほぼすべての新幹線が東京駅を発着している関係で、東京駅のホームが4本しかないことと、東京駅~大宮駅がすべての新幹線で共用していることで、多少の臨時列車を入れる余裕はあるものの、通常ダイヤでも4分間隔で発着する、キツキツの状態だ。
山形新幹線は通常ダイヤで上下24本、秋田新幹線は30本ある。
それぞれほぼ1時間に1本あるので、これらを単独で走らせるために詰め込むのは無理だ。
これの解決策は2つあって、一つは現状でも出来る可能性がある、大宮発着列車の常設だ。
大宮以北は東北新幹線と上越・北陸新幹線に分かれていくが、分岐するところまでは複々線として整備されているため、大宮を同時発車しても問題無い作りになっている。
当然、同時に到着しても問題無く、さらに大宮駅にはホームが6本あり、2本はほぼ使われていないらしいので、ホーム容量には余裕がある。
なので、大宮終点の列車が到着しても、直後に東京行きの東北新幹線系統と上越北陸新幹線系統が到着出来る。
大宮を発着扱いにすることにより、大宮駅まで他の交通機関を使って行かなきゃいけないが、大宮まではいろんな方向から在来線が発着しているため、行きにくい駅では無いい。
京浜東北線、埼京線、湘南新宿ライン、東京上野ラインなど、大宮以南から大宮に行くにはいろいろな経路があり、不便では無いはずだ。
東京駅だって、東京駅周辺に住んでいるので無ければ、何かしらの交通機関を使って東京駅に来ているわけで、それが少し北に延びるだけだ。
場合によっては昔あった新幹線リレー号のような、大宮行きの特急を各地から走らせるとか、湘南新宿ラインや上野東京ラインの車両にはグリーン車があるので、グリーン車を使って行くというのも良いだろう。
乗り換えの場所が東京駅から大宮駅になるだけで、大きな不便になるとは思えない。
なので、大宮発着というのはかなり現実的な案ではないかと思うのだ。
もう一つ、根本的に解決するには、未着工扱いとなっている新宿~大宮間の建設だ。
ここを建設するのは当時でも7000億とかいう額だったので、今なら1兆円にもなってしまうかもしれないが、今後新幹線の延伸や利用者の伸びがあるのであれば、有効な策だと思う。
そして、併結運転を行わないことで、山形新幹線、秋田新幹線の車両数を増やせる可能性がある。
現在、E3系、E6系、E8系はすべて7両編成になっている。
これは、東北新幹線の東京~盛岡間の有効ホーム長が、新幹線規格で16両編成分、長さにして400mになっているからだ。
E2系やE5系は10両編成で、その長さは250m。
残り150mしかないので、在来線規格のミニ新幹線車両でも最大で7両しか連結出来ないのだ。
8両編成にしてしまうと、160mになってしまい、ホームをはみ出してしまう。
でも併結しないのであれば、在来線規格のミニ新幹線車両であれば単純に20両まで連結出来る。
20両は大げさだとしても、10両編成とかには余裕で出来るので、在来線の駅のホーム長さえどうにかなれば、車両を増やすことができ、運行本数を確保出来なくても、1列車の定員を増やすことが出来るので、利用者を捌くことができるわけだ。
これはこれで有効な策じゃないだろうか。
というわけで、だらだらと書いてきたが、併結運転をしないことでメリットも生まれてくるし、連結器の問題は分割併合を行うのであれば、根本解決は難しい。
結局は分離という作業が必須なために、走行中の分離の可能性を否定出来ない。
こんなことで新幹線の安全神話というものが崩れていくのは本当にもったいないことなので、分割併合しない方向でなんとか解決していって欲しいと思う。