九月も中旬に差し掛かっているとはいえ完全に秋とはまだ言い難いですが、真夏が過ぎてからは文化的活動が捗っています。

クラシックコンサートへ行ったり、藝大の学祭に出掛けたり、普段の行動圏外へ足をのばすと刺激が多いです。
疲労もさることながら、脳みそが興奮してそういう日の夜はうまく眠れないほど。
かといって夢の中の世界に即座に影響するわけでもなく、なんとも不思議です。

読みたい本は増える一方で、観たい映画はあまり見つからず……。
というのも、『地面師たち』のためにネットフリックスを再開したので、とりあえずひと月のあいだはあれこれ物色してみています。

寸評(というか感想)を書き留めておきます。

『8Mile』
エミネム本人主演の自伝的映画。
英語ネイティブでないと真の巧みさはわからないような気もしますが、画面越しにあの独特の空気を感じることはできて大満足でした。
けっして明るいストーリーではないのに、核となっている情熱みたいなものがひしひし伝わってきました。元気がないとき立ち直るのにうってつけかも。

『すずめの戸締まり』
ちょっと前の話題作。新海誠。
冒頭シーンからモノ申したいことだらけで、椅子が走り出したときには笑いましたが、終始やや白け気味でした。
夜空や海がクリスチャンラッセン的に描かれすぎな気がするんです。この監督の作風なのかもしれませんが、過剰な理想がアニメに押し付けられすぎているような鬱陶しさを感じてしまいます。
※貶したいわけではなくて、たんに、もう少し素朴なもののほうが自分好みなのだと思います。
ただ、各地域や生活の細部の描写はあっぱれです。筋を追わずに、背景を眺めていたい作品でした。

『リラックマとカオルさん』
ストップモーションアニメ。癒し系かと思いきや、わりと闇が深い。
一話ごとになんらかのオチが付いてはいるのですが、なんだか奇妙な不穏さがつきまとう作品でした。
カオルさんの薄っぺらな人間性がこわいのかもしれません。
ほのぼのとした世界観にリアリティをもたらすための工夫……なのだとしたら、けっこう残酷です。
それでも、この手のアニメは完成度が高いのでストレッチや筋トレをしながら眺めているのに最適でした。続編も観るつもり。

『終わらない週末』
思わせぶりパニック映画。構図と効果音に凝っている印象。
原作小説を序盤と訳者あとがきだけチェックした記憶があり、結局中身はほとんど読まなかったので映像として楽しむことにしました。お気軽、お手軽。
ザ・アメリカ的な登場人物の造形がおもしろかったです。
現実の社会問題を踏まえて考察するのがきっと醍醐味なのだと思います。
(……繰り返し観たいとまでは私はならなかったけれど。)

漫然と見っ放しにしておくよりは、多少ことばにしておいたほうが、あとあと振り返るのにも便利なはず。
なぜだか個人的な手帳だときちんとした文章とは程遠いメモにしかならないので、ブログが非常に役立ちますね。

ところで久しく映画館に行っていません。
そろそろ見応えのある新作が公開されてほしいものです。もしくは古くていいので名作を再上映してくれたらとも思います。

ちなみに今いちばん観たいのは『愛と哀しみの果て』。
現在読んでいる原作『アフリカの日々』がとても良いのです。つい心が百年前のケニアに持っていかれます……!

でもおそらく、Fire TV Stick という文明の利器に感謝しながら自宅で鑑賞することになるのでしょう。
アマゾンさまさま。