先日、芥川賞・直木賞の受賞作品が発表されました。
以前の私にとっては、ニュースで見ても「へ~」と聞き流していただけの話題でしたが、ここ数年は、毎回楽しみにしています。
書店で本を選ぶときは、たまたま目に留まったものや、なにげなく手に取ったものの中から、賞や評価に関係なく、買ってきたつもりでした。
ですが、そうやって選び、実際に気に入った本が、実は ”○○賞作家" の作品であることが多いと気づいてからは、直近の受賞作&受賞者にも興味がわくようになりました。
そして、さっそく読んだのは、井戸川射子『この世の喜びよ』。
まるで詩のよう。すいすいすらすら流れていく文章です。
読んでいて、じんわりと、幸せな気持ちになりました。
主人公である「あなた」が、自分自身や娘たちとの過去を振り返りながら、何気ない日常を過ごしていく穏やかなストーリー。
母として・娘としての立場を想像しやすい分、女性の読者からの評価が高そうな印象です。
この作者の本は、今後も注目していきたいです。
良い読書をすると、連鎖的になにか読みたくなるもの。
常に積読をしておくタイプではないので、読書熱が高まったときに、その都度、本を探しています。
ネットサーフィンの末、鷺沢萠『海の鳥・空の魚』を選択。
大学生のときにこの作家の作品に出会いたかった……今更そんなことを思ってしまうような、20代の青春が散りばめられた短編集です。
まず、この、本の紹介文を見ただけで、ビビッとくるものがあります。まさに「煌めき」。
どんな人にも光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに、そのあとの長い長い時間をただただすごしていくこともできるような――。恋、カレッジライフ、うたかたの日々。まちがった場所に戸惑い、溜息しつつ、何かをつかんだ輝きの一瞬、喜びの涙がこぼれた。海中に放たれた鳥のように生きてゆく、大好きな仲間たち。気鋭女流のきらめく作品集。
こんな素敵な女性作家がいたことも、そして、20年ほど前に若くして亡くなっていたことも、まったく知りませんでした。
小説も、流行り廃りが激しいですね。
どちらかというと、現役で活躍する売れっ子作家たちの入れ替わりの激しさなのでしょうか。
この間、田辺聖子の小説かエッセイを探した時にも、同様のことを感じました。
いくら人気作家の作品も、時が流れると、書店にはほとんど並ばなくなってしまうようです。
結局、電子書籍で読みました。鷺沢萠もそうです。
基本的に、本は紙で読みたい派なのですが、これからは電子書籍も利用していこうかな。
とくに、既に読みたいものが決まっているような場合は。
なにより、書店で取り寄せってもらったり通販で届くのを待たなくていいという点がいいですね。
「これよかったよ」と人に気軽に貸したりしづらいのは、ちょっと寂しいことですが。
今後は、書店に行くのは、あてもなく新たな本との出会いを求めているときだけになりそうです。
きっと、何事も「慣れ」なんだろうと思います。
iPad での読書にも、だんだんと慣れていきたいです。