俳優・本宮泰風と、彼が主演するVシネマ『日本統一』シリーズが思わぬかたちで注目を集めている。任侠もののVシネマ作品といえば、手堅いニーズがあるものの、限られたファンだけが楽しむものと相場が決まっていた。だがレンタルビデオ店が減少して、動画配信サービスを見る人が増えたことで状況は一変。コロナ禍による外出自粛の追い風もあり、なんと女性ファンも急増しているらしい。今回、Vシネマの現在地について本宮に話を聞いた(3回連載の1回目)。
【写真】『日本統一』を総合プロデュースする俳優・本宮泰風今、Vシネマが注目されている現象は『週刊さんまとマツコ』(TBS系)でも取り上げられ、本宮も20年振りにバラエティ番組に出演。とうとう地上波でも新シリーズ『日本統一 北海道編』(全10話)がオンエアされるなど勢いは増すばかりだ。このような人気の過熱ぶりに対し、本宮は「こちらの目論見通りです」と満足そうに頷く。Vシネマの市民権獲得は“偶然の産物”ではなく、あらかじめ計画されたものだというのである。
「従来の任侠作品とは違う作り方をしていますから。舞台こそヤクザ事務所だったりするけど、描かれている内容は普通のヒューマンドラマや人間群像。月9とかのドラマが企業を舞台にしているのと変わらない。つまりコアなターゲットに向けているのではなく、一般の人でも楽しめるように意図して作られているんです。過去のヤクザ映画とは違い、『日本統一』は凄惨な流血シーンも少ないですしね。今、スピンオフ映画『劇場版 山崎一門~日本統一~』で毎週のように舞台挨拶をしているんですけど、客席の様子を見れば女性ファンが増えているのは一目瞭然です。この前なんて、小さいお子さんを連れたお母さんも来ていましたから(笑)」
現在、『日本統一』はナンバーシリーズだけでも「53」までリリース済み。外伝も合わせると60作を優に超える。映画版の『男はつらいよ』が第50作で終わっていることを考えれば、息の長さが尋常じゃないことはよくわかる。しかし本宮によると、シリーズ初期は出演者も作品コンセプトも今とまったく違うスタイルだったという。