みなさんこんにちは、社内のエンジニアが働きやすくすることを目標にする Engineer Empowerment プロジェクトの @Mahito です。
先日 NTT グループのエンジニア有志が開催する NTT Tech Conference 2022 を開催しました。 私は運営スタッフとして立ち上げからこれまでの運営に関わってきましたが、本記事では運営スタッフの立場でイベントの概要と運営の裏話についていくつか紹介いたします。
NTT Tech Conference とは
NTT Tech Conference は、NTT グループのエンジニア有志が開催する技術系カンファレンスです。
NTT グループには各種 OSS のコミッタ、メンテナ、コントリビュータをはじめとしたエンジニアや、各社の様々な案件でシステムやサービスを開発をするエンジニアがいます。
しかしながら、こうしたエンジニアたちの取り組みを会社として紹介する機会は限られています。そこで、NTT グループのエンジニア有志たちが自分たちのエンジニアとしての取り組みを紹介できる場として用意したのが NTT Tech Conference です。
このイベントは、NTT グループに様々なエンジニアがいることや、扱っている技術について多くの人に知っていただくことを目的に行っています。
また、NTT グループ各社が開催するイベントとは異なり、NTT グループのエンジニアたちがやりたいこと・話したいことを通じて、参加したエンジニア同士が技術交流することも目的にしています。
イベント当日の様子
NTT Tech Conference 2022 は、午前の部と午後の部に分けて行われ、午前午後で合計 506 名の参加登録がありました。
午前の部では参加者が手を動かし学ぶ 2つの Hands-on と、参加者でグループを作り体験をしながら学ぶ Workshop が行われました。
午後からは発表が行われ、2 Track で LT も含めて 15 の発表がありました。
どのような発表があったのかご興味のある方は、以下のイベントページからご確認ください。
NTT Tech Conference 2022 イベントページ
午後の発表については、発表者の許諾を得られたものは公開しています。もし興味のあるセッションがあればぜひご覧ください。 また、発表資料が公開されたものについては上記イベントページの発表詳細に資料へのリンクがあります。
- 午後の部 - Track1
- 午後の部 - Track2
イベントの裏話(運営の話)
さて、前置きが長くなりましたがここからが本題です。
何度も言うように、NTT Tech Conference は NTT グループのエンジニア有志によって開催されているという少し変わったイベントです。 今回は以下の 4 つについて、エンジニアたち自身が運営上行った工夫を紹介します。
- 発表提案募集
- 招待講演
- イベントページ
- miro を使った交流
1. 発表提案募集
イベントでの Hands-on、Workshop、発表については Call for Proposals (CFP) という形で、 NTT グループ内のエンジニアたちに手伝ってもらいながらグループ内に発表提案の募集案内を流しています。
発表を希望する側のエンジニアは、自分たちが面白いと思っている技術や紹介したい技術についての発表を提案します。 運営側は、集まった CFP の内容を確認の上、採否を通知します。
ちなみに、現在までにイベントは 6 回の開催をしましたが、毎回ほぼすべての発表提案を通しております。 (私の怪しい記憶では、過去に1度だけ同じ人からの発表提案が同時に2つあったのを1つにしてもらっただけで、ほぼ出せば通るという状態です。)
これには理由があり、なるべく多くのエンジニアに発表する機会を提供したいとの思いから、可能な限り全員が発表できるように調整しています。 そのため毎回タイムテーブルの決定にはかなり苦労します。
一方で、CFP は NTT グループ内から幅広く受け付けているものの、グループ各社からまんべんなく出てくるというよりは、かなり偏りがあります。 今回は NTT Com からの発表がかなり多かったのですが、各社の発表数のバランスを考えるというような配慮は全く行っていません。 上記の通り、CFP を出してくれた人に発表をしていただいた結果、「そういう回もある」ぐらいで考えているので今後も偏りは出続けると思います。 しかし、願わくばいろいろな NTT グループの会社から発表提案をいただければと常々思っています。
2. 招待講演
今回は NTT Tech Conference #2 (2017) を最後に行っていなかった招待講演を復活させ、NTT研究所の方にお願いをして下記のタイトルで発表をしていただきました。
「スポーツ脳科学プロジェクトの女子ソフトボール日本代表との取り組み "秘密兵器" の誕生秘話」
招待講演は NTT Tech Conference #1 (2017) 、#2 で行っていました。 しかし、 #1 では講演をお願いをした方がここでは書けないようなお話をされ、会場は大いに盛り上がったものの、後ろでスタッフが慌てるという事態になりました(その後、講演してくれた方は怒られたそうですが)。
そして #2 では事故(?)を起こさないよう話をしてくれる方にお願いをしたのですが、参加者と発表内容が少々ミスマッチだったと、イベント終了後のアンケートでわかりました。そこで、イベントにマッチしない招待講演を避けるため、以降は招待講演を行ってきませんでした。
ただ、今回のイベントを行うにあたりスタッフミーティングの中で、いつもとはちょっと違うなにか面白い発表が欲しいという話になりました。 その時たまたま私が以前ニュースで見た NTT 研究所の取り組みを思い出し、エンジニアコミュニティのツテを使って関係者にコンタクトをとり、今回の発表につなげることが出来ました。
発表では、ソフトボール日本代表選手が無意識のうちに相手投手のフォームから球種を予測していることを突き止め、ピッチャーのフォームと球筋を再現するしくみを作り、それを選手たちの練習に使ってもらうまでのお話をしていただきました。
残念ながら発表者の意向で当日の発表動画の公開は行っていませんが、取り組みを紹介する記事はありますので、興味がある方はぜひご覧いただければと思います。
女子ソフトボール × スポーツ脳科学 | NTT 技術ジャーナル
3. イベントページ
先にも紹介した NTT Tech Conference 2022 イベントページ ですが、 こちらはスタッフがデザインから実装までを行い、GitHub Pages を使って公開をしています。
イベントページを変更する際は以下のような流れで GitHub Actions による CI/CD を組み合わせながら作業しました。
- 変更のブランチを GitHub に Push
- Pull Request を作成
- GitHub Actions が起動
- textlint による文章のチェック
- Firebase にレビュー用のページをデプロイ
- デプロイしたレビュー用ページの URL を Pull Request に投稿
- 2 人以上の Approve でマージ可能に
- main にマージ後、GitHub Pages に変更を反映
第 1 回目からイベントページの作成は自動化も含め上記のような流れで行ってきており、 変更自体は比較的簡単に行えるのですが、レビューについてはスタッフの空き時間確保が必要なため、どうしても時間がかかります。 そこで、急ぎの場合は NTT グループのエンジニアコミュニティの面々にもレビューを手伝ってもらいました。これにより速やかに変更を反映できたので、非常に助かりました。
4. miro を使った交流
NTT Tech Conference ではイベントの目的にエンジニアの交流を挙げていて、オフラインで開催していた頃は廊下での雑談や、展示会場、懇親会などを用意していました。 しかしながら、前回からオンラインでの開催となり、こうしたちょっとした場での交流というのが難しくなったと感じています。
前回は Ask the Speaker という発表者に直接質問や話をできる場を用意したのですが、まったく質問に来る人がいませんでした。 この状況に対し、「オンラインのカンファレンスで誰がいるかわからない場に飛び込んで質問をするのは敷居が高いのではないか?」という話がスタッフからでたため、今回はゆるく技術交流のきっかけになるような方法としてオンラインホワイトボードサービスの miro を採用しました。
miro には予めセッションごとの枠を作り、そこに参加者の方は付箋に書いたメッセージを通じて質問やコメントなどを残し、発表者の方には質問への回答をお願いするという非同期コミュニケーションの形をとりました。
上の画像は当日いただいた質問やコメントですが、それなりの数のコメントや質問をいただき、発表者からの回答もいただけているのでひとまず良かったかなと思っています。それでも、次回のイベントではもっと参加されるエンジニアの方々と交流できるしくみを今から考えていくつもりです。
まとめ
今回は NTT Tech Conference 2022 のご紹介と、その裏側について少しだけご紹介しました。 イベント本編だけでは伝わらないスタッフの工夫や苦労を少し知っていただき、次回以降のイベントをちょっと違った視点で楽しんでいただけたらと思います。 また、このようなイベントを開催したいなと考えている方に少しでも参考になれば幸いです。
次回の NTT Tech Conference は来年に開催する予定ですので、ご都合が合えばぜひご参加ください!