クルマのサブスク『KINTO』や決済アプリ『TOYOTA Wallet』など、トヨタグループの金融事業を統括するトヨタファイナンシャルサービス。トヨタ×金融×ITにおける新規領域の可能性を広げ、グローバルでの勝負を加速させる。今回お話を伺ったのは、大手嗜好品メーカーでの事業開発を経て、同社のKINTO企画部で活躍する佐藤綱芳さん(31)。そこには「トヨタグループの新規事業で世界と勝負がしたい」という強い志があった――。
トヨタファイナンシャルサービスについて
トヨタグループにおいてモビリティ社会への未来をつくる「金融×IT」サービス開発・金融統括を担うトヨタファイナンシャルサービス(トヨタ自動車100%出資)。FinTech、IoT、自動運転などテクノロジーの進化、シェアリングビジネスの拡大など、自動車業界大きなが変革期を迎えるなか、トヨタファイナンシャルサービスは「クルマがもっと身近で、移動がもっと自由な社会を目指して」を掲げ、「トヨタ×金融×IT」、新規領域での可能性を拡張した新規事業を開発、推進している。具体的には、クルマのサブスク『KINTO』、トヨタの決済アプリ『TOYOTA Wallet』、マルチモーダルモビリティサービス『my route』などを展開。特に『KINTO』は、テレビCM放映などを通じ、高い知名度を獲得。新車を月々定額でレンタルする『KINTO ONE』、愛車のカスタム・機能向上サービス『KINTO FACTORY』などサービスラインナップも増やしている。
現在、40以上の国と地域に展開するトヨタグループの販売金融子会社・拠点を支援し、さらに拡大するべく、グローバルマーケットを視野に入れた企画・推進のために、採用強化を行う。
入社の決め手は「次世代モビリティビジネスへの情熱」
まずはトヨタファイナンシャルサービスへの志望動機から伺ってもよろしいでしょうか。
じつは前職も、嗜好品の開発・製造メーカーで新規事業開発に携わっていたのですが「より早くPDCAを回しながら、新規事業を育てられるフィールドはないか」と考えていた時、偶然出会ったのがトヨタファイナンシャルサービスでした。
今でも忘れられないのが、最終面接です。いかにトヨタとして、これからのモビリティビジネスをつくっていくか、熱弁をいただいた。それが現在の上司でもあるのですが(笑)「ここまで熱い気持ちで次世代のモビリティビジネスに挑戦している人たちが日本にいるのか」と衝撃を受けました。特に『KINTO』は非常に重要なプロジェクトであり、ダイナミックなチャレンジができる。ここにも強く惹かれ、入社を決めました。
もう一点、グローバルなキャリアを築ける点もポイントでした。トヨタファイナンシャルサービスは40を超える国・地域で販売金融子会社を束ねる統括管理会社です。グループ全体の事業を管理・リードする役割であり、世界のマーケットが対象となる。「トヨタとしてどう海外を攻めていくか」という話にも非常にわくわくしました。じつはこの時、別会社でも内定が出ていて、そちらのほうに入社したいと考えていたのですが、最終面接が終わった頃には「トヨタファイナンシャルサービスで勝負がしたい」と気持ちが変わっていました。
前職、政府系の嗜好品メーカーの新規事業ポジションで働き、海外企業と共にアメリカに子会社を設立するなど、スケールの大きな事業開発に携わっていた佐藤さん。仕事にやりがいはあったものの、長期プロジェクトならではのもどかしさも前職時代はあったと振り返る。「私が携わっていたのは長期プロジェクトでした。10~20年スパンで収益化を目指すもの。投資の意思決定プロセスにも年単位の時間がかかることもあって。これだけ世の中が早く変わる時代、より早く事業のPDCAを回せる環境で働いてみたい思いも大きくなっていきました。また、30歳という一つの節目も迎えるなか、新しいキャリアの可能性を求め、転職を考えました」
グローバルビジネスの「ハブ」となる存在へ
2023年4月に入社され、KINTO企画部に配属されたと伺っています。どういったミッションを担っているのでしょうか?
KINTO事業を手掛ける40ヵ国以上の子会社を統括する役割を担っています。具体的には、世界各地の子会社のスタッフと関係構築を行い、情報をキャッチアップすること。各キーパーソンの利害に留意しながら一つの方向性にまとめていくこと。良い事例があれば他エリアに横展開していく。これらを高速で進めていくイメージです。
入社1ヵ月目には海外拠点の挨拶を行い、2ヵ月目にはアメリカ出張を経験し、3ヵ月目からは新規プロジェクトが発足しました。入社してからまだ5ヵ月ほどですが、既に3年くらい過ごしたような感覚(笑)濃密な時間を過ごしています。
仕事のやりがい、おもしろさについて伺わせてください。
グローバルビジネスの「ハブ」となれる。ここは非常に大きなやりがいになっています。
世界各国の人とコミュニケーションを取りながら働くのですが、これだけ多くの国とのやり取りが日常的に発生する環境は、なかなか無いと思います。私自身、アメリカ、カナダ・メキシコなどの北米、そしてオーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニアを担当しており、毎日違う国の方々とやり取りができる。まさに求めていた“グローバルな環境”がありますね。
また、「クルマのサブスク」と一言でいっても、国やマーケットによって状況や課題は大きく異なります。たとえば、アメリカでは「自動車のサブスク」は既に一般的で、競争環境が厳しい。そういったなか、どうシェアを奪取していくか。アジアで言えば、まだまだ「自動車は買うもの」「個人で所有するもの」という意識が強い。そういったなかでどう「モビリティサービス」の価値観を浸透させ、サブスクを利用してもらうか。さらにアフリカなど発展途上国でいえば「盗難リスクの高さ」とも向き合う必要があります。こういったさまざまな市場の課題を分析し、戦略を立て、仕掛けていける。それぞれのマーケットにどういった可能性、拡大余地があるか。アメリカでのベストプラクティスをアジアで展開するにはどうしたらいいか。こういった部分を自ら担っていけるのも、おもしろさだと思います。
KINTO企画部で働く佐藤さん。各マーケットにおける収益などの数字を集計管理、ITシステム導入の企画・立案・実行、新たな国で事業を始めるための支援など、グローバル全体でKINTO事業を成長させるための幅広い業務を手掛けている。そのなかでは多様なメンバーとやり取りするため、やりがいと同時に覚悟しておいたほうがいい厳しさもあると言う。「利害、文化・カルチャー、現地の事情・考え方…さまざまなことを考慮した上で事業を推進する力、多角的な情報をもとにした正しい判断をする力も求められます。このあたりは人によって厳しさだと感じるかもしれません」と佐藤さん。
「自分が関わったから実現できた」と言えるプロジェクトを
もし、これからトヨタファイナンシャルサービスで実現したい目標があれば教えてください。
まずは目の前の「KINTO事業」において、「自分が関わったからこそ実現できた」と言えるようなプロジェクトを手掛けていきたいですね。
これだけの裁量を若手に委ねてもらえる環境はなかなかありません。存分に挑戦させてもらえる。
一番驚いたのは、入社1ヵ月でシリコンバレーの会社との交渉を任されたこと。ニュージーランド拠点における事業の根幹に関わるシステム導入交渉だったのですが、上司にサポートしてもらいつつ、無事進めることができました。このプロジェクトがきっかけで、システム導入先となった子会社の社長と友達のように仲良くなりました(笑)
経験豊富で優秀な方々と働く機会がある。さらにベンチャースピリットを持つ仲間ばかり。環境としても大手とベンチャーの“良いところ”を合わせたような会社だと思います。こういった恵まれた環境、機会を与えてもらえているので、しっかりとトヨタグループ全体でも注目されるような実績を残していきたいです。
また、中長期的な目標でいうと、金融の専門的なスキルを持って働けるキャリアを歩んでいきたい。トヨタファイナンシャルサービスではジョブローテーション制度にて、他の部署への異動もあります。私自身、自主的にUSCPA(米国各州が認定する公認会計士資格)の勉強をはじめているところ。今後、コア事業である販売金融においても、能力を高め、貢献をしていければと思います。