プチ奥の細道紀行② : 悠心庵つれづれ
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プチ奥の細道紀行②

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さて、「壺の碑」と言われる「多賀城碑」のことです。
私が訪ねた時間に運よくボランティアガイドさんと遭遇し、これまた自称「多賀城ファン」という方でこの碑について熱弁を振るってくださいました。お陰様で奈良と多賀城を結ぶ線、大和朝廷の勢力、そして政権交代の悲哀なども垣間見られ、学校で習った歴史がリアルに迫ってきました。
ブログを作る今になって、さて、あの碑の名前はどうして「壺?」という疑問が湧いてきましたが、それはまた別の機会に勉強したいと思います。
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この写真では「西」しか見えませんね(^^;
芭蕉が奥の細道で立ち寄った「壺の碑」には何が刻されているか・・・・漢文は読み下しで載せますね。
字は風化していますが六朝風です。
多賀城市のサイトも載せます。http://www.city.tagajo.miyagi.jp/monosiri/bunkazai/zyuubun/      
多賀城       京を去ること一千五百里
            蝦夷国の界を去ること一百二十里
            常陸国の界を去ること四百十二里
            下野国の界を去ること二百七十四里
 西          靺鞨国の界を去ること三千里
      此城は神亀元年 歳(ほし)は甲子(きのえね)に次(やど)る、按察使(あぜち)・兼鎮守将軍・従四 位上・勲四等大野朝臣東人の置く所也。天平宝字六年 歳(ほし)は壬寅(みずのえとら)に次(やど)る、参議・東海東山節度使・従四位上・仁部省卿・兼按察使・鎮守将軍藤原恵美朝臣朝獦(あさかり)、修造する也。
                                    天宝宝字六年十二月一日


多賀城からの四方各地の距離を示した内容が刻されているのです。
多賀城は大和朝廷が蝦夷制圧するために軍事拠点としていたところです。
この記録は、続日本紀にされていない内容でこの碑の記録が時代の前後を推測するものさしとなったということから重要文化財に指定されたとガイドさんが教えてくれました。

さて、この碑から分かること・・・・

蝦夷の国という国はないので、多賀城から120里のところ、ガイドさんによると築館だという・・築館以北がその当時は蝦夷が住んでいたということらしい。そして靺鞨は渤海だろう・・・三千里というのは果てしなく遠いという単位ということ・・・

多賀城は神亀元年に築かれた。神亀元年は724年。芭蕉が壺の碑のくだりで「聖武天皇の御時に当たれり」と記述している通り、724年は聖武天皇即位の年。

それで、天平宝字六年に藤原恵美朝臣朝獦がその城を修繕したというのです。
朝獦とは、藤原仲麻呂の息子。仲麻呂は不比等の子武智麻呂の子(光明皇后の甥)だから藤原四家の一つです。

聖武帝即位の年多賀城築城、その38年後である762年(天平宝字六年)に藤原不比等にとっては曾孫にあたる朝獦(光明皇后の甥の息子)が多賀城を修繕するわけですね。

場所を奈良に移します。
724年 聖武帝即位  
727年 渤海より使者が来る
729年 光明子皇后となる
730年 薬師寺東塔、興福寺五重塔建立
737年 藤原4兄弟疫病で病死  752年ごろから藤原仲麻呂全盛
758年 聖武帝と光明皇后の娘である孝謙天皇が淳仁天皇に譲位
      実権は仲麻呂が握り、仲麻呂の後見人である光明皇后の強い影響力があった
759年 唐招提寺金堂・講堂完成   
760年 光明皇太后崩御
763年 道教が孝謙上皇に重用される
764年 藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱 道鏡・孝謙上皇側に敗れ大津で息子朝獦とともに殺される。
      孝謙上皇は称徳天皇として重祚
770年 称徳帝没、道鏡追放、光仁天皇即位・・・天智天皇系へ戻る

    
今度は芭蕉が旅した1689年(元禄2年)に行きましょう。
聖武帝即位から965年後、まさに千歳の記念(かたみ)の碑であったのでしょう。

ここからは多賀城ファンのガイドのおじさんの熱弁の受け売りですが、

一時期全盛を誇った藤原仲麻呂が光明皇后(仲麻呂の叔母)死後、孝謙上皇が道鏡に肩入れした為に政権争いに負け息子とともに殺された、その悲劇の息子朝獦の名前と遭遇したことで「今眼前に古人の心を閲(けみ)す」と・・・単に西行法師が訪れた同じものを見ているという感慨ばかりではないのではないかと・・・・

う~~ん、古に心を馳せる・・・その想像の翼は広がります。そうすると歴史も楽しくなりますね。





  
by irohanihoheto_ku | 2013-04-28 00:57 |