赤色型ホトトギス??・・・杜鵑三種の識別を考える : フォト エチュード  Photo-Etudes
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赤色型ホトトギス??・・・杜鵑三種の識別を考える

 林からなにかが飛んできて、桜の枝に入った。
第一感は小さい?ということ。
辺りを見回し羽繕いをはじめたと思ったら、別個体のツツドリが飛んできて追い払われてしまった。
 さてこれはなんだったんだろう?とモニターを見ると、ツツドリに見られる下尾筒の縞模様がない。
大きさからカッコウとは思えないし、虹彩はと言えば黄色ではない。
現場では判断できず、またでてきてくれることを期待して待ったがダメだった。
 赤色型ホトトギスか?と悩んだ個体。

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 杜鵑(とけん)三種の識別ポイントは、図鑑などから抜き書きすれば・・・・
カッコウ L 35cm
      虹彩  黄色~橙黄色
     下尾筒 黒い横斑があるが、細くて小さく、少なく見える。
     体下面 ツツドリやホトトギスより細い黒色横斑が11~13本。
ツツドリ L 32.5cm
       虹彩  橙褐色から暗褐色でカッコウに比べ暗い色
  下尾筒  淡いバフ色で、黒い横斑が目立つ。
  体下面  黒色横斑が9~11本あり、間隔はカッコウより広い。
ホトトギス L 27.5cm
      虹彩  紅彩は淡い橙色だが、瞳孔が大きいので黒く見える。
   下尾筒 ほぼ無斑。 (赤色型は、下尾筒にも横斑がある。とする本もあった。)
  体下面  腹は白く横斑は7~9本あり、間隔はカッコウより広い。
胸の縞模様は、カッコウより太くツツドリより間隔が広い。
 さて、この個体はなんだろうか。
ツツドリに比べ小ささが印象に残り、下尾筒の無斑と羽衣の赤色が目立つので赤色型ホトトギスだろうか?などと考えた。
ただ、赤色型とするには喉元の赤味がなさ過ぎる。
「幼鳥には雌雄とも赤褐色斑があるのが普通」「特に赤色型の幼鳥は暗色部より赤い部分の方が多い」と鳥友からのありがたい指摘を受け、『幼鳥羽のホトトギス』ということだろうかと考え直した。

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 ホトトギスは夏場にも鳴き声もふくめて動画と静止画で撮影しているので、三種の下尾筒を比べて見た。
 ホトトギス ♂ (杜鵑・不如帰  Lesser cuckoo )

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 カッコウも、モズに托卵し巣立った幼鳥動画で確認し、鳴き声を確認できたものを。
 カッコウ ♂ (郭公 Common Cuckoo)

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 赤色型ツツドリ ♀ (筒鳥 Oriental cuckoo)

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 三種を比べると、下尾筒の黒い横斑はホトトギスでは見られない。
下尾筒だけを考えるとホトトギスだが、追い立てたツツドリより小さかったというのは幼鳥と成鳥の差ということも考えられる。
 虹彩と体下面の横斑は、手にとって調べるならまだしも光の加減で明確ではないし、画像で横斑本数を数えるのは難しい面がある。
ただ、目の大きさと体長の比をホトトギスとツツドリで比べて見たりしたが・・・ホトトギスに近かった。
結論的には『幼鳥羽のホトトギスだろうか?』程度しか思い至らなかった。
もう少しジックリ、いろいろな部位を撮らせてくれれば良かったのだが・・・おとぼけ顔が最後で、襲ってきたツツドリに気をとられて林に入った所までだったのが残念。
 『幼鳥羽のホトトギスだろうか?』

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by photo-etudes-eiji | 2019-09-23 21:38 | 野鳥