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- “過疎化が当たり前”の離島なのに転入増! 絶景ゴルフ場も活性化に一役買う長崎県五島市は何がそんなに魅力なの?
10月中旬、ゴルフメディア及びゴルフ関連企業向けの「五島ゴルフ+α」を体験するツアーが実施され、長崎県五島市の魅力を直に感じることができました。
UIターン促進プロジェクトなどで転入者が転出者を上回る
長崎県の五島列島をご存じですか? 2年前に放送されたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」のロケ地となったり、アニメ「ばらかもん」の舞台としても知られているこの地でも、他の地方同様に人口減少が課題になっており、街の活性化のための様々なプロジェクトが実施されています。その施策の中の一つが、ゴルフ資産を活用した地域活性化プランです。
10月中旬、ゴルフメディア及びゴルフ関連企業向けの「五島ゴルフ+α」を体験するツアーが実施され筆者も参加しました。そこで長崎県五島市の魅力を直に感じるとともに、ゴルフ資産を活用して地域活性化を本気で行っている五島市役所の方々や五島CCの支配人、さらにこの取り組みのプランを提案して、現在は五島市に移住して五島市の方々と日々業務に取り組んでいる矢野経済研究所の三石茂樹氏に様々な話を聞くことができたので紹介します。
多くの地方の街の悩みが人口の流出です。この五島市でも若い世代を中心に人口の流出が流入より多かったですが、UIターン促進プロジェクトの効果で、2019年、20年と流出より流入が多くなりました。五島市市役所の沖磯淳一氏によると「21年と22年はコロナ禍の影響もあり以前のように流出が多くなりましたが、23年にはまた転入者が転出者を上回った」そうです。
転入してきたという若者に五島市の魅力を聞いてみると、景色の美しさ、食事の美味しさ、人の優しさを挙げてくれました。「近所の人が野菜をくれたり、魚をくれたり、優しい人が多くてもう1年も住んでいます」と、神戸から来たという20代半ばの女性は語ってくれました。
なお、五島市は移住相談員を増やしたり、住居が見つかるまでに住む短期滞在住宅の提供、空き家改修補助の住宅支援、就職のための面接旅費や引越し補助なども行っており、このような行政の支援が転入者を支えています。
東シナ海の美しい海を眺めながらの絶景プレー
この五島市が数年前から本格的に取り組んでいるのが、ゴルフ資産を活用した地域活性化。五島市の福江島には五島カントリークラブがあり、ほとんどのホールから東シナ海の美しい海が望めます。
沖縄やハワイなどのシーサイドコースに行ったことがある方も多いと思いますが、海が見えたり絶景のホール数は意外に少ないもの。ところがこの五島CCでは、標高315メートルの鬼岳の中腹に位置していることから、常に海を眺めながらのプレーが可能なのです。
海だけでなく、芝生のグリーン、空、そして雲が織りなす絵画のように美しい風景を眺めながらのプレーは、他の日本のコースでは味わえない特別な体験を提供してくれます。もちろんカートのフェアウェイ乗り入れも可能。プレーをすれば国内にこんなリゾート感溢れるコースがあったのかと感激するでしょう。
ゴルフを軸とした地方創生、地域活性化プランも実施中
この五島CCを軸とした地域活性化プランが、長崎県五島市で進行中です。ゴルフメディアやインフルエンサーを招へいするツアーを実施することで、五島CCの魅力を発信してもらったり、レッスン会やメーカー試打会を実施することで地域振興にも繋がる取り組みを実施。今年の2月には多くの島外参加者も集まった「五島市長杯椿カップゴルフ大会2024」を開催しました。ゴルフ雑誌などでも有名な石井良介プロのレッスンイベント、カリスマフィッター鹿又芳典氏のクラブ相談会、SKE48メンバーの山内鈴蘭さんとのニアピン対決などを実施しました。
イベントなどを実施して見えてきたのが、地元のゴルファーのゴルフ熱の高さだそうです。ゴルフメーカーのヨネックスが実施した試打イベントでは2日間で60人くらいの地元のゴルフファーが来場したそうです。
また、地元の小学生を対象としたスナッグゴルフ体験会も実施。「初めてゴルフ場に来た」という子供たちも多かったそうですが、非常に盛り上がりました。将来のゴルファーでもある地元の子供たち対象をした取り組みは、今後も積極的に実施していくそうです。
矢野経済研究所の三石氏によると、ゴルフを軸とした地域活性化の目的は「地域にあるゴルフ場を活用して地域外のゴルファーを誘致し地域活性化を図るだけでなく、地域住民の心身双方の健康増進を実現して地域住民満足度の向上を図る」だといいます。
リゾートコースには意外に少ない本格ベントグリーンが魅力
海の絶景が自慢のシーサイドコースでのラウンドで、グリーンのスピードが遅くて物足りなさを感じたことがあるゴルファーもいるかもしれません。例えば、ハワイやグアム、沖縄のような南国リゾートでは、コースは美しいものの、グリーンがバミューダ芝であるためにスピードが出ず、がっかりすることもあります。バミューダ芝は温暖な気候に適しているため、南国のゴルフ場ではよく使われますが、どうしてもその芝質の特性からグリーンの速さに限界があります。
しかし、五島CCではベントグリーンを採用しています。このグリーンは、他の南国のゴルフ場でよく見られるバミューダ芝と異なり、スピード感を保ったまま滑らかなパッティングが楽しめます。ベントグリーンならではの繊細なタッチが要求されるため、グリーン上での戦略性が高まり、技術を駆使したプレーを存分に楽しむことができるのです。
五島CCの今村忠雄支配人は「今年に関しては夏の異常気象でグリーンのメンテナンスに苦労していますが、今後はもっと速く、硬い本格的なグリーンを楽しんでいただきたいと思っています」と、グリーン整備には強いこだわりを持っていました。
フェアウェイは広々としており、少し曲げるとすぐにOBなんていうホールは皆無です。景色の美しさだけでなくコース全体のレイアウトも開放感に満ちているので、初心者やティーショットに自信がないゴルファーでも楽しくプレーができます。ただし、適度なアンジュレーションがあり、ドックレッグホールなど戦略的で記憶に残るホールが多く、バンカーなどのハザードも効果的に配置されていますので、中上級者でも攻めごたえのあるコースになっています。
なお、この五島CCはゴルフ雑誌などでもお馴染みの、タケ小山プロ、塚田好宣プロ、永井宏プロなどから、日本各地の所謂「名コース」と評価されているゴルフ場と比べても決して引けは取らないと思うとお墨付きをもらっているそうです。
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