Casio fx-CG50 の概要
追記 2018/08/09
追記 2018/12/26
日本語化に関する追記 2019/05/09
追記 2019/09/18
周期関数の積分について追記修正 2020/05/23
OS3.40へのアップデート 2020/06/06
Casio Ptyhon新連載に伴う追記 2020/06/09
OS3.50へのアップデート 2020/10/17
OS3.60へのアップデート 2021/12/19
OS3.70へのアップデート 2022/12/25
OS3.80へのアップデート 2023/09/03
fx-CG50 が欧米で発売されたので、国内発売前に入手して調べてみました。本気で欲しいと思える製品です。
fx-JP900 のデザインを踏襲しています。角に丸みのある四角い形状と高級感のあるフロントパネル、黒・白・シルバーを基調とした色使い。カシオの新しい形。所有する喜びを感じるデザインではないでしょうか?
fx-CG50 は、fx-CG10 PRIZM (北米モデル) や fx-CG20 の後継機で、欧米で 2017年3月末に発売されました。ほぼ7年ぶりの後継機種投入です。
fx-CG50 紹介 (英語のサイト)
日本での発売前に、eBay USA で購入しました。この記事を書いている時点では、eBay USA での実売価格は、新品で100ドルを下回る程度です。国際輸送費を考えてもアメリカからの入手は現実的だと思います。但し配送に時間がかかります(最低でも2週間程度)。
[2023/09/03 追記] OS3.80 0010 にアップデート
日本時間で 2023/04/23 に 国内外同時に OS3.80 へのアップデートファイルが公開された。
▶ OS3.80 へのアップデートファイルのダウンロード
▶ 日本語マニュアルのダウンロード
一旦 2023/04/05 に OS3.80 へのアップデートファイルが公開されたが、その後システム改善のため 4/23 に再度アップデートファイルが公開された。但し、Casio Basic も Pythonモードも変更がみられない。
[2022/12/25 追記] OS3.70 にアップデート
2022/12/21 に OS3.70 へのアップデートファイルが日本と欧米で公開された。
▶ OS3.70 へのアップデートファイルのダウンロード (国内カシオサイト)
▶ DOWNLOADS (海外ダウンロートサイト)
▶ 日本語マニュアルのダウンロード
カシオのダウンロードページではアップデート内容として「フランス語対応」とある。
OS Updateが実行される際、Add-In の Geometry (01.05)、Picture Plot (01.03)、Physium (01.06) もインストールされた。
ハードウェア取扱説明書は従来通り更新なし。ソフトウェア取扱説明書は OS3.60 のままで OS3.70 用に更新されていない。
変更点として先ず気づくのが、電源OFF時に表示される "CASIO" のロゴの下に "Boost Your Curiosity" (あなたの好奇心を後押し) が追加された。但し、Casio Basic や Python モードの変更は見られない。
機能上の更新点が見当たらないが、システムメッセージの全ての対応言語が ver 03.70 にアップデートされた。フランス語対応だけでなく各国語のメッセージが変更されている可能性がある。英語版を見る限り目立った変更は見られない。
[2021/12/19 追記] OS3.60 にアップデート
2021/12/06 に OS3.60 へのアップデートファイルが日本で公開された。欧米では 2021/09/08 に公開されていた。
このアップデートでは確率分布アプリが追加され、具体的には MENU画面で Distribution モードが追加された。
なお、Python モードや Casio Basic には変更がない。
[2020/10/17 追記] OS3.50 にアップデート
2020/10/15 に OS3.50 へのアップデートファイルが欧米と日本同時に公開された。
Pythonアプリ描画機能改善、NL試験モードとTexas(US)試験モードの搭載がアップデートの内容。Pythonについては改善点がスグには判らないので、いずれ調べようと思っている。
▶ OS3.50へのアップデートファイルのダウンロード
▶ 日本語マニュアルのダウンロード
[2020/06/09 追記] Casio Pythonの新連載開始
Casio Python が爆速 (純正Casio Basicに比べて) なので、Casio Python 使いこなしの新連載を始めた。
[2020/06/06 追記] OS3.40 にアップデート
欧米では 2020/04/07 に、日本国内では 2020/06/01 にアップデートモジュール配布開始
内蔵の Micro Python に casioplot モジュールが追加され、点を打てるようになった。
▶ OSアップデートファイル
・WEWからのダウンロードはこちら
・国内サイトからのダウンロードはこちら
▶ 日本語マニュアルはこちら
[2019/09/18 追記] OS3.30 にアップデート
主に Pythonの改善と試験モードの使用追加
・WEWからのダウンロードはこちら
・国内サイトからのダウンロードはこちら
[2019/05/09 追記] ユーザーによる日本語化計画
fx-CG50 には、簡体字コード GB2123 を少し変更したグリフ (文字) が搭載されており、それを読み出す方法が見つかった(当ブログ読者の Colon様による)。簡体字は日本語の文字と異なるものが少なくないが、それでも英語よりはましだ。ひらがなも含まれている。Colon様により日本語化ファイルが提供されており、これを fx-CG50 にコピーするだけで、日本語風表記で使えるようになる。
⇒ fx-CG20 / CG50 日本語化計画
さらに、fx-CG50で使えるアドインプログラム - C.Basic for CG が当ブログの読者である sentaro様を中心にして現在も開発が進んでいる。C.Basic for CG は純正Casio Basicの上位互換の BASIC開発環境だ。これを使えば作成するプログラムで日本語風の表記が可能になる。
⇒ プログラムライブラリ - 日本語版 西暦-和暦 換算プログラム
[2018/12/26 追記] ついに Python搭載!
OSが 3.20 にアップデートされ、プログラミング言語 Python が追加され、選択言語にイタリア語が追加された。
Worldwide Education Website (WEW: 海外のカシオサイト)では2018年8月には公開されていたが、日本のサイトでは 2018年12月に公開された。
- WEWからのダウンロードはこちら
- 国内サイトのダウンロードはこちら
[2017/10/20 追記] ついに 2017年10月20日に fx-CG50 が国内発売!
⇒ カラーグラフ関数電卓 fx-CG50
⇒ fx-CG50
既にカシオの国内サイトでは fx-CG50 (OS 3.10) の日本語マニュアルが公開されていることから、国内販売は現行の Ver 3.00 でなくて、Ver 3.10 になると思われる。
[2017/09/23 追記] fx-CG50 日本語マニュアル
fx-CG50 の日本語マニュアルがカシオ日本語サイトの 取扱説明書ダウンロードサイト からダウンロードできるようになった。ハードウェアマニュアルとソフトウェアマニュアルの両方の日本語アニュアルだ。ソフトウェアマニュアルが OS Ver 3.10 用になっている。国内販売前のバーションは 3.00 だ。現時点では OS アップデートファイルはまだ公開さないが、国内おカシオサイトや Casio World Education Website で近々ダウンロード可能になると思われる。恐らく同時に fx-CG20 を OS 3.10 にアップデートできるようになるようだ (OS 3.10 ソフトウェアマニュアルは fx-CCG20 OS 3.10 と共用のため)。
[2018/08/09 追記]
ソフトウェアマニュアル日本語版が Ver 3.11 にアップデートされていて、カシオの日本語サイトからダウンロードできる。アメリカ市場において2018年3月以降製造のfx-CG50には OS 3.11 がインストールされており、国内販売品もいずれ OS 3.11 がインストールされるようになるかも知れない。
[2018/08/09 追記・修正] OS 3.11 へのアップデートファイル公開
Casio World Education Website のサポートページ ([Accept] をクリックして先に進む) から OS3.11 へのアップデート用アプリとアップデート方法の説明書 (PDF) をダウンロードし、説明書に従って作業を進める。アップデートアプリの指示があるまで電卓とPCを接続してはダメと書かれているので要注意。
[2018/08/09 追記・修正] OS 3.11 へのアップデート
ダウンロードしたアップデート用アプリ (fx-CG50 Sries OS Ver.3.11 Update.exe) をPCで実行すると、私の場合は 日本語 Windows 10 Home だが、自動的に日本語表示でアプリが起動。注意深く表示に従って作業を行うと、アドイン 3D-Grph もアップデートするように聞いてくるので一緒にアップデート。 [MENU] - System - [F4] (Version) で確認すると OS は 3.11.0202 に、3D Graph は 01.02 になる。
なお、fx-CG50 は言語を選択できますが、OSアップデートしても日本語は選べません。言語の選択肢に中文も含まれているので日本語対応も容易だと思います。スタンダード関数電卓 fx-JP900 は表示が日本語化されているので、このデザインコンセプトを引き継いだ fx-CG50 もいずれ日本語表示に対応することを期待します。
▋はじめに
Casio Basic の機能に着目すると、以下に列挙した機種が同じカテゴリに含まれるプログラム電卓です。
- 2006年発売 fx-5800P
- 2007年発売 fx-9860G (OS Ver 2 以降)、生産中止
- 2009年発売 fx-9860GII
- 2011年発売 fx-CG10 PRIZM (北米のみ)、fx-CG20とほぼ同じ
- 2012年発売 fx-CG20 (fx-CG10 PRIZM の約1年後)
- 2013年発売 fx-FD10 Pro
- 2017年発売 fx-CG50 (欧米先行、2017/10/20国内発売)
fx-CG50 は fx-CG10 PRIZM / fx-CG20 の後継機種です。1つ前に発売されている fx-FD10 Pro は、fx-9860GII のハードウェアを利用しながらアドインが使えず Casio Basic 専用機である点で異質な存在です。
▍fx-CG50 の位置づけ [2017/08/07 更新]
Casio Basic に着目すると、fx-CG50 の位置づけが明確に見えてきます。
- fx-9860GII:モノクロ液晶搭載の最上位機。
- fx-CG10 PRIZM / fx-CG20:fx-9860GII のディスプレイを高精細&カラー化したもの。しかし Casio Basic では テキスト、グラフィックずれも画面出力処理が極めて遅く、fx-9860GII の方が遙かに速い。カラーだが出力が遅い fx-CG10 / CG20 が良いのか、モノクロだが出力が速い fx-9860GII が良いのか、2機種の甲乙を付けられない状況だった。言い換えれば、fx-CG10 / 20 は必ずしも fx-9860GII の後継機種とは言えないのだ。
- fx-CG50:高精細カラー液晶へ出力が大幅に高速化したのが最大の改善点で、fx-9860GII と同レベルになった。
互換性の無いコマンド:
※ パラメータ見直しが必要なコマンド:PxlOn、PxlOff、PxlChg、PxlTest(
※ 転送時に自動的にパラメータが変更されるコマンド: Text
fx-CG50 は、fx-9860GII をカラー化した後継機種、現時点での最上位機と位置づけられます。
▍ハードウェア機能
fx-CG50 は、fx-CG20 から内部のハードウェアが変更されています。CPU は同じものを使いながら、処理速度を向上させ、一方で消費電力が抑えられ、バッテリー駆動時間が延びました。RAM (ストレージメモリ) は、fx-CG20 の SRAM から fx-CG50 では SDRAM に変更されています。
fx-CG50 の省電力化 (fx-CG20 との比較) ※2
動作モード | fx-CG50 | fx-CG20 | 省電力化の傾向 ※3 |
電源OFF | 0.1 mA 以下 | 0.1 mA 以下 | --- |
電源ON | |||
RUN-MAT待機状態、輝度1※1 | 2.5 mA (10.0 mA) | 3.0 mA (14.3 mA) | 16.7% (30.0%) |
RUN-MAT待機状態、輝度3 ※1 | 5.5 mA (13.0 mA) | 8.3 mA (21.0 mA) | 33.7% (38.1%) |
RUN-MAT待機状態、輝度5 ※1 | 9.5 mA (18.0 mA) | 16.4 mA (30.8 mA) | 42.1% (41.6%) |
Casio Basic実行、輝度1 ※1 | 21.1 mA (22.2 mA) | 23 mA (30.3 mA) | 8.3% (26.7%) |
アドイン実行、輝度1 ※1 | 39.8 mA (40.4 mA) | 38.0 mA (50.0 mA) | -4.7% (19.2%) |
※3: 省電力化の傾向 (%) = ( CG20の値 - CG50の値 ) / G20の値 × 100
同じ CPU を使っているので、電流値の変化が消費電力の変化と見なします。
処理速度については、関数や Casio Basic の処理内容に応じた比較測定の結果を以下で紹介します。
▍ソフトウェア
fx-CG50 のソフトウェアは、ハードウェアの違いを吸収する OS が Ver 3 にバージョンアップしています。表に出てくる関数機能や Casio Basic の機能面では違いが見られません。アドインについては、ROM や RAMに直接アクセスしたり、SRAM からSDRAM に変更された RAM の違いの影響が現れるようなコードが使われていない場合は、fx-CG20 と fx-CG50 では同じアドインプログラムが動作します。fx-CG50 になってもアドインの拡張子が g3a と変わっていないことも互換性の高さを裏付けています。
fx-9860G と fx-9860GII にはアドイン作成用のカシオ公式SDKが公開されていますが、fx-CG20 以降は公式なSDKがありません。従って、カシオ純正あるいは公認の アドイン (g3a) ファイルなら fx-CG20 と fx-CG50 での互換性は保たれると考えても良さそうですが、サードパーティや個人が作成したアドイン (g3a) ファイルは、使用に際して fx-CG50 での動作確認がされているかに注意が必要です。
さて Casio Basic については、fx-CG20 とfx-CG50 は完全互換です。違いを探していますが、未だに見つかっていません。プログラムファイルの拡張子も同じで g3m のままです。
▍キー入力の問題
写真に写っている大きなキートップのテンキーなどは、キーの右側を軽く押すときに入力を受け付けないことがあります。キーの左側を押す時は問題ありません。他の所有者の fx-CG50 でも同じ問題があることが分かりました。
慣れれば問題ないかも知れません。しかしチャッチャッとキーを速く軽く叩く使い方は特殊でないでしょうし、そのような使い方では入力を受け付けないことが確実にあります。もぐら叩きゲームのようなテンキーの早押しが必要な場合は、慣れの問題ではなくて避けられない問題となるかも知れません。そこで特に必要性は無いけれど面白そうなので、もぐら叩きゲーム fx-5800P 版を移植して fx-CG50 版を作り 遊んでみました。急いでキーを叩く際、どうしてもキー入力の不備からゲーム進行が不利になります。
この不具合は、キーのバネ機構と接点パネルに関する設計や組み付け工程の問題、或いはこれらの複合的問題によると推察しています。この不具合をカシオが認識して、国内発売までに改善するのかどうかに興味があります。
fx-5800P のカバーヒンジの問題、fx-JP900 のハードカバーの問題 (問題は既に指摘、整形の問題のないロットの存在については今後記事にするかも...) に続いて、今回 fx-CG50 テンキー問題も出てきました。とても残念です。
1. 海外から直接購入
2. 到着したパッケージ
3. 外 観
4. 他機種との比較
4.1 地味な改善 - バーコード & シリアルのラベル
5. ダウンロード
5.1 OSアップデート
5.2 取扱説明書
5.3 アドインプログラム
5.4 サポートソフトウェア
6. データ転送
6.1 PCとのリンク
6.2. 電卓同士のデータ転送
7. バックアップ
8. ハードウェア
8.1 キー入力
8.2 液晶表示
9.1 ユーザデータのバックアップ機能
9.2 3桁区切り表示
9.3 複素指数関数
9.4 積分関数の処理速度
9.5 周期関数の積分
10. Casio Basic の互換性
11. カタログ機能
12. Casio Bsic の処理速度
12.1 計算主体
12.2 動きのあるテキスト出力
12.3 動きのあるグラフィック出力
13. さらなる高速化
13.1 オーバークロック
13.2 アドイン版Casio Basic (C.Basic)
▋海外から直接購入
[2017/07/28 追記]
Amazon USA で日本への輸出が可能な fx-CG50 の取り扱いが始まっています。sentaro様が ここから購入したところ、驚くほど短時間で入手したとの情報がありました。Amazon USA での購入が、推奨可能な候補として浮かび上がりました。注文から配達までの概要は以下の通り(この場合は僅か3日で配達!);
場所 | 日付・現地時間 | 状況 |
某所 | 2017/07/27 | 配達完了 |
大阪 | 2017/07/26 20:20 | 最終配達の手配 |
2017/07/26 11:10 | 輸入通関 | |
2017/07/26 10:19 | 空港到着 | |
アンカレッジ、アラスカ州 | 2017/07/25 9:05 | 空港出発 |
2017/07/25 7:03 | 輸出通関 | |
2017/07/25 5:55 | 空港到着 | |
2017/07/25 2:16 | 空港出発 | |
オンタリオ、カリフォルニア州 | 2017/07/24 22:47 | 空港到着 |
シアトル、ワシントン州 | 2017/07/24 20:18 | 空港出発 |
ケント、ワシントン州 | 2017/07/24 15:19 | 現地営業所スキャン |
セラー (出荷) | 2017/07/24 18:31 (ET) | UPSへの引き渡し |
※ これはかなり理想的なケースだと思われ、Amazon USA で購入しても必ずこんなに速く配達されるわけでは無さそうです。というのも、Amazon USA でポチッとしたのが月曜(平日)で、即日セラーから出荷されたこと、東海岸のセラーから日本向け飛行機が飛ぶ西海岸までの輸送が陸送でなく航空便が使われたこと、さらにアメリカの東海岸から西海岸までの3時間の時差に助けられて見かけ上時間が短縮されていること、そして日本向け飛行機での配送が即日行われたこと(一旦貨物が集まるまで滞留させなかったこと)、日本到着時が平日で即日通関されたこと、など全ての良い要因が重なっているからです。
- 概要: 国内のショッピングサイトでは fx-CG50 の並行輸入品の扱いが見つからなかったので、今回はアメリカの eBay で直接購入しました。海外品を買うには、セカイモン や eBay などで購入して国際貨物で送って貰うことになります。このような個人輸入の場合、国際貨物の扱いや輸入手続きは業者が全てやってくれるので、個人輸入という実感はあまりありません。セカイモンは手数料を取って国際貨物や輸入通関まで全て面倒をみてくれ、さらに日本語で注文できるので、かなり楽です。eBay の場合は国際配送を引き受けるセラー(Seller、業者)が出品している場合は購入者は何もしなくて良いのですが、国際配送をやっていないセラーから買う場合は、国際配送業者を別途利用する必要があります。
- eBay での商品選び: eBay の場合は、実績と評判のあるセラーから購入した方が良いと思います。Top-rated Seller (高評価のセラー) といった表示があるので、そのセラーのページで確認して自分なりに納得してから決められます。新品 (new in box) といった表示で新品が確認できない時は中古の可能性もあるので、確認しましょう。fx-CG50 の場合でも、安いものの中には注意深くみてゆかないと中古品だと気づかない紛らわしいケースがあります。新品が欲しい場合は要注意です。
- セカイモンと eBay のコストの違い: セカイモンは、 eBayと提携しているので eBay と同じセラーからの同じ商品が同じ本体価格で購入できます。違いは、ページでの提示期間と配送手数料です。セカイモンの方が早く締め切る傾向があり、購入する場合は即決に近い判断が必要なケースが多いようです。日本語で買える安心感、国際配送と通関手続きがお任せのセカイモンは、その分手数料が高いと思います。英語でも良いなら eBay の方が商品提示期間が長く多少でも余計な手数料を取られず、お得です。
- セカイモンと eBay の配送期間の違い: いずれにしても配送時間は最低2週間と普通の国際便よりは時間を要します。今回 eBay USA を初めて使って、とにかく時間がかかることがよく分かりました。アメリカ国内のセラーから国際発送を行うセンターまで陸送で一旦貨物が集められ(カリフォルニアから日本とは逆方向のケンタッキー)、そこでスグ日本へ送ることはなく、1週間程度滞留させるので、ここで余計な時間がかかります。国際便のコストを下げるためにある程度貨物をまとめる必要があるのだと理解しています。ポチッとしてから手元に届くまでの時間については、セラーの場所と国際配送センターの場所に依存するようで、どちらが速いかについては、なんとも言えないと思います。アメリカと日本の祝祭日の影響もありますので、ポチッとした日にも依存します。国際配送センターで多くの日本向け貨物がまとまれば滞留日数が短くなる可能性もあるでしょう。
- 7/2 (日): ポチッとし決済
- 7/5 (水):セラーが出荷、UPS サンフランシスコセンターが受け取る
- 7/7 (金):ケンタッキー州アーランガーにある国際配送センターに到着
※ eBayに問い合わせたら、通常センターに1週間は留め置くと回答あり
- 7/15 (土):メンフィスで輸出通関
- 7/17 (月):輸入通関、FedEx横浜営業所に到着
- 7/19 (水):配達完了
- 決済について:セカイモンは eBay と提携しており、eBay と PayPal は同じ傘下の会社なので、セカイモンでも eBay でも PayPal での決済ができます。PayPal での決済は、事前登録が必要ですが、決済手続きは日本語で可能、決済の記録も日本語で確認できるのが利点です。私は eBay で商品を探して、そのまま PayPal で決済しました。
- eBay USA のカスタマーサポート:7/2に決済が済んでいるのに 3日たってもトラッキングの状況に変化がないことの問い合わせ、それから国際配送センターからの配送が6日間も留め置かれている状況の問い合わせを行いました。eBayのページからフォームを使って質問を送ったところ、いずれも12時間以内に返信があり、考えられる次の問い合わせを行うための細かい案内もありました。。
ブリスタパッケージは、分厚いプラスチックがガッチリと融着されているので、楽には開けられません。厚いプラスチックをナイフで切るのは危険だから、しっかりしたハサミで周囲をカット。
fx-CG50 本体、Quick Start Guide、単四アルカリ電池4本 (試供品)、PCリンク用のUSBケーブル、ダウンロードや登録(アメリカのみ) の説明、保証書が入っています。CD や 3Pinケーブルは同梱されていません。
fx-JP900 (右) とそっくりです。
四角いオーソドックスな形状は落ち着きを与え、長く使っても飽きが来ない感じで、好きなデザインです。
キーの上の印刷された文字ですが、老眼の始まった私には、fx-JP900 の印刷はとても見づらいのですが、fx-CG50 ではフォントが大きく色のコントラストも向上して、見やすくなっています。
fx-CG50 に fx-JP900 を重ねてみます。fx-CG50 の大きさを感じます。
fx-CG50 と fx-JP900 をカバー付き (左) とカバー無し (右) で重ねてみたところ。厚みが3倍くらい違うことが分かります。
写真では分かりにくいですが、筐体やカバーの表面は、fx-JP900 はツルツルのテカテカですが、一方 fx-CG50 は細かい凹凸があります。使っているウチに表目に細かい擦り傷が付いても、あまり目立たないのではないかと思います。
液晶部が一段低くなっていますが、保護ウィンドウが傷つきにくい感じなのは良いです。
というのも、fx-CG20 の透明な上部パネルは、まともに表面処理をしておらず簡単に傷つきます。私の fx-CG20 は新品購入時に既に細かい傷が多く付いていましたが、不良とは認めて貰えず製造上に発生するもので、こういうものだとの説明でした。この点が改善されたと思います。
fx-JP900 は成形で作った出っ張りで4カ所の足にしています。一方、fx-CG50 はゴム足です。但し fx-9860GII や fx-CG20 の黒いゴム足ではなくて、半透明になっています。黒いゴム足は、使い込んでくるとテーブルやノートにくっついて、黒い跡が残ることがあるのですが、その問題が無くなりそうです。
所有したくなるデザインの電卓だと思います。
fx-CG50 | fx-CG20 | fx-9860GII | fx-5800P | |
電池 | 単四 x 4 | 単四 x 4 | 単四 x 4 | 単四 x 1 |
電池寿命 (メーカー測定基準) | 170 時間 | 140 時間 | 200 時間 | 1年 |
サイズ (cm) | 18.6x89.0x188.5 | 20.6x89.5x188.5 | 21.2x91.5x184 | 15x82x163 |
重さ (g) | 230 | 230 | 225 | 150 |
液晶ディスプレイ解像度 ・Casio Basic グラフィック ・Casio Basic テキスト | 216 x 384 pixel ・187 x 379 dot ・7 x 21 文字 | 216 x 384 pixel ・187 x 379 dot ・7 x 21 文字 | 64 x 128 pixel ・63 x 127 dot ・7 x 21 文字 | 96 x 31 pixel ・--- ・4 x 16 文字 |
仮数 + 指数 | 10桁 + 2桁 | 10桁 + 2桁 | 10桁 + 2桁 | 10桁 + 2桁 |
内部演算桁数 | 15桁 | 15桁 | 15桁 | 15桁 |
プログラムメモリ容量 | 最大 ~61 KB | 最大 ~61 KB | 最大 ~62 KB | 最大 ~28.5 KB |
メインメモリ (利用可能) | ~61 KB ROM | ~61KB ROM | ~64 KB ROM | ~26.5 KB |
ストレージメモリ | ~1.6 MB SDRAM | ~1.6 MB SRAM | ~1.5 MB SRAM | --- |
プログラムファイル名 | 最大8文字 | 最大 8文字 | 最大 8文字 | 最大 12文字 |
CPU※ | SH4A (SH7305) | SH4A (SH7305) | SH4A (SH7305) | |
クロック | ~118 MHz | ~59 MHz | ~29 MHz | ? MHz |
- FLL: | 14,75 MHz x900 | 14.75 MHz x900 | 14.75 MHz x900 | --- |
- PLL: | FLLx16, 235.93MHz | FLLx16, 235.93 MHz | FLLx16, 235.93 MHz | --- |
- IFC: CPUコアクロック | 1/2 PLL, 117.96MHz | 1/4 PLL, 58.98 MHz | 1/8 PLL, 29.49 MHz | --- |
- SFC: SuperHywayバスクロック | 1/4 PLL, 58.98MHz | 1/8 PLL, 29.49 MHz | 1/8 PLL, 29.49 MHz | --- |
- BFC: メモリバスクロック | 1/4 PLL, 58.98 MHz | 1/8 PLL, 29.49 MHz | 1/18 PLL, 29.49 MHz | |
- PFC: I/Oクロック | 1/8, 29.49MHz | 1/16, 14.75 MHz | 1/16, 14.75 MHz | --- |
▍地味な改善 - バーコード & シリアル のラベル [2017/08/06 追記]
fx-9860GII や fx-CG20 は、電卓裏側に バーコードとシリアルのラベルが貼り付けられています。当然ながら長らく使っているとラベルの印刷が摺り切れて読めなくなります。fx-CG50 では電池ケースの内部にラベルを貼っているので、摺り切れることはありません。地味だが大切な改善だと思います。
左の fx-9860GII のラベルは印刷が見えなくなっている。右の fx-CG50 のラベルは電池ケースの中に貼ってある。
- 上のメニューで Support をクリック、
- 言語として English を選び (日本語が無い)、
- Graphic Model を選び、
- SOFTWARE LICENSE AGREEMENT で Accept をクリックする
fx-CG50 本体で、[MENU] - [System] - [F4] (Version) で確認すると、OSバージョンは 03.00.0202 となっていました。
日本語取扱説明書は、カシオ取扱説明書ダウンロードのページ から入手できます。
英語等多国語版は、Casio World Education Website の Download Resources のページから、User's Guide for fx-CG Series Handheld をクリックすると、各国語のハードウェアマニュアルとソフトウェアマニュアルがあるので、そこから入手できます。日本語版取扱説明書がまだ無かった時は、English 版をダウンロードしました。
- [PDF File] User's Guide Version 3.0 -Hardware- (English)
- [PDF File] User's Guide Version 3.0 -Software- (English)
fx-CG50 のリソースダウンロードのページで、Add-in Software をクリックし、各種アドインプログラムをダウンロードできます。ダウンロードできるアドインの中で、私の fx-CG50 に購入時にインストールされていなかったのは、Probability Simulation だけです。
Add-in Software の下の User's Guide for fx-CG Sries Handheld のさらに下に [PDF File] Installation Guide をダウンロードしてみると、各国語別のガイドがありますが、ナント日本語版が含まれていました。
▶ Screen Receiver - 電卓画面をPCで表示するソフト
fx-CG50 のリソースダウンロードのページで、Support Software をクリックし、Screen Receiver がダウンロードできます。バージョンは 3.02 で、fx-CG20 /10 用と同じバージョンで、共通して使えます。
▍PCとのリンク
標準添付の USBケーブルを使います。
USBケーブルで fx-CG50 と PC を繋ぐと、fx-CG50 の液晶での表示が接続モード (Connection Mode) になります。
ここで、[F1] (USB Flash :[F1]) を押すと、ポップアップウィンドウで Preparing USB と表示され、少し待つと接続完了です。
後は、エクスプローラで fx-CG50 がドライブとして表示されるので、PC上と同じ操作でファイルのやりとりができます。
fx-CG50 内のフォルダ / ファイル はこのように表示されます。ここで、System Volume Information フォルダがありますが、fx-CG50 ドライブに名前を付けたことで作成されたものです (日付けを見れば後から作成されたことが分かりますね)。
fx-CG50 を接続した時のドライブには最初は名前が無いので、FX-CG50 と名前を付けました。ドライブを右クリックしてプロパティを選び、そこで名前を入力できます。
さてPCと接続中の fx-CG50 の液晶画面には、fx-CG20 には無かった新しい === Caution === 画面 が Tips 画面 (fx-CG20と同じ) と交互に表示されます。ここでは、「ケーブルを抜く前にPCのUSB接続を終わらせてください」と書かれています。Windows PCの通知領域 (タスクトレイ) で「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」で [CASIO MassStrage Device の取り出し] をクリックします。外付け USBハードディスクや USBメモリの取り出しと同じ操作です。
3Pinコネクタの接続ケーブル (SB-62) を使って2つの電卓を繋ぎ、接続する両方の電卓で CABLE (ケーブルの選定) で [F2] (F2:3Pin cable) を設定後、一方で TRANSMIT (送信)、他方で RECV (受信) に設定すれば、データのやりとりができます。このケーブルは、fx-9860GII には標準添付されていましたが、fx-5800P、fx-CG20 そして fx-CG50 には標準添付されていません。以前 SB-62 のみを購入した時は ¥2,700 でした。
プログラムを含むデータのやりとりができるのは、fx-9860G、fx-9860GII、fx-CG20/10、fx-CG50 (および fx-9860G あたり以降のグラフ関数電卓) で、Menu に Link 項目があって、3Pin コネクタが付いている機種です。なお、fx-5800P 同士なら、このケーブルを使ってデータ転送可能ですが、fx-5800P と グラフ関数電卓とのデータ転送はできません。
詳しくは、Sofware Manual に書かれているので確認できますが、使ってみれば分かると思います。
[2017/07/28 追記]
fx-CG50 から fx-9860GII へ転送すると、ファイル形式は g3m から g1m へ自動変換され、カラーや細線設定など、fx-9860GII で未対応のコマンドは @ に自動的に置き換えられます。
万一に備えて、電卓内部のデータをバックアップしておくことを勧めます。PCに保存フォルダを作り、PCとのリンク機能を使って電卓内のデータをPCの保存フォルダに丸ごとコピーしておきます。
購入時のバックアップ、そして適宜バックアップをすると良いと思います。特にオーバークロックを行う場合は、エラー発生時に電卓のリセットが必要になりプログラム、データやプログラムが失われることもあるので、バックアップしてあればこれらを簡単に戻せます。
液晶のサイズや精細度も fx-CG20 と同じ。
手持ちの fx-CG20 と fx-CG50 を比べる限りでは、明るさや色合いが少し異なっています。
左が fx-CG20、右が fx-CG50
同じ明るさ設定で比較して気がつくのは、右の fx-CG50 は黄色みがかって少し暗く見えます。fx-CG50 で明るさ設定を 3/5 から 4/5 に変えると明るさは同等になりますが、それでも黄色みがかっています。消費電力低減への寄与もありそうです。
[2017/07/23 追記]
このカラー液晶の輝度と色については、バラツキがあるようです。sentaro様所有の個体は逆の傾向だとコメントを頂きました。
fx-CG50 のキーの種類と数、および配置は、fx-CG20 と同一です。fx-9860GII には [SHIFT] [5] (FORMAT) が有りませんが、それ以外は同じです。関数機能も同じです。計算の内部桁が15桁と同じで、各関数の精度範囲も同じなので、fx-CG50 の関数電卓としての使い勝手は fx-CG20 や fx-9860GII と同じです。
カシオのスタンダード関数電卓は電源をオフにすると、作業内容やユーザーデータが消えますが、fx-CG50 は各モードでのユーザーデータは一旦電源を切ってもバックアップされます。他のプログラム電卓 fx-5800P、fx-9860GII、fx-CG20 もバックアップされます。
資格試験で使えると称しているスタンダード関数電卓は、数式などが保存できると都合が悪いからバックアップできない仕様になっていると思われます。バックアップ機能だけでも、プログラム電卓を関数電卓として使う価値があると思って、私は日常的にプログラム電卓を関数電卓として使っています。
カシオの最新のスタンダード関数電卓 fx-JP900 / 700 / 500 では、関数電卓として3桁区切りが登場しました。一般電卓には3桁区切りは普通に搭載されている使い勝手の良い機能なので、登場が遅すぎるようにも思います。
これまでのプログラム電卓には3桁区切り機能は無く、fx-CG50 に3桁区切り機能の登場を期待しましたが、残念ながら対応していません。fx-CG50 のソフトウェアが fx-CG20 から殆ど変わっていない結果とも言えます。デザインは fx-JP500/700/900 を踏襲したので、3桁区切りについても踏襲して欲しいわけで、OSアップデートによる追加対応という現実的な方法もあります。カシオには是非対応して頂きたいと思います。
[2017/11/08 追記]
Casio Basic での出力コマンドにも3桁区切り機能がありません。しかし、作ったプログラムに3桁区切り出力機能を付加することは出来ます。
⇒ Casio Basic入門59, Chapter 10-5:3桁区切りサブルーチン グラフ関数電卓版
複素数を表示するように設定して、計算させてみると、fx-5800P はエラー、fx-9860GII と fx-CG20 は正しく計算結果を表示します。fx-CG50 でも同様に複素指数関数を正しく計算します。
機種 | ||
fx-JP900 | 5.5秒 | 48.7秒 |
fx-5800P | 10.1秒 | 56.7秒 |
fx-9860GII (SH4A) | 1.5秒 | 8.4秒 |
fx-CG20 | 1.0秒 | 5.8秒 |
fx-CG50 | 0.7秒 | 3.2秒 |
積分計算にガウス・クロンロッド法が使われていることから、このアルゴリズムが苦手な多項式で表せない関数の代表選手として周期関数の積分を行って、タイムアウトする限界を比較してみます (Rad モード)。
機種 | 計算できる n | タイムアウトする n |
fx-JP900 | n ≦8 | n > 9 |
fx-5800P | n ≦ 8 | n > 9 |
fx-9860GII | n ≦ 60, n = 64, 128, 256, 512 | n ≧ 61 (n ≠ 2m, 6≦m≦9) |
fx-CG20 | n ≦ 60, n = 64, 128, 256, 512 | n ≧ 61 (n ≠ 2m, 6≦m≦9) |
fx-CG50 | n ≦ 60, n = 64, 128, 256, 512 | n ≧ 61 (n ≠ 2m, 6≦m≦9) |
当ブログは Casio Basic がメインテーマなので、少し詳しく解説します。
fx-CG50 に搭載されている Casio Basic は、2006年に発売された fx-5800P とそれ以降に発売されたグラフ関数電卓が同じカテゴリに属します。これらに搭載された Casio Basic は、構造化プログラミング可能で意外に高機能です。当ブログでは、このカテゴリを新世代 Casio Basic と呼んでいます。
< 新世代Casio Basic搭載機 >
- 2006年発売 fx-5800P
- 2007年発売 fx-9860G (OS Ver 2 以降)、生産中止
- 2009年発売 fx-9860GII
- 2010年発売 PRIZM fx-CG10 (北米のみ)、fx-CG20と同じ
- 2012年発売 fx-CG20
- 2013年発売 fx-FD10 Pro
- 2017年発売 fx-CG50
新世代 Casio Basic については、Casio Basic の勧め を参考にしてください。
fx-CG50 搭載の Casio Basic は、機能面で fx-CG20 と異なる点が見つかりません。現時点では完全互換と言って良いと思います。そこで、fx-CG20 について、fx-9860GII や fx-5800P との比較を行った記事がそのまま fx-CG50 に該当します。
⇒ fx-CG20 の概要
⇒ fx-9860GII への移植 - 厄介な旧来の命令
当ブログで公開している Casio Basic入門、逆引きCasio Basic、Casio Basicコマンドリファレンス、プログラムライブラリ は、fx-CG20 に関するものは、そのまま fx-CG50 に適用できます。
fx-CG50 には fx-CG20 と同様に使えるコマンドの一覧を検索して入力できるカタログ機能が備わっています。コマンド入力ができるモードで [SHIFT] [4] (GATALOG) を押すと、カタログ画面が現れます。
左が fx-CG50 で、右が fx-CG20 です。
左の画面には、HISTORY というメニューと 表記 "Catalog" の右に検索入力欄が増えています。過去に検索して入力したコマンドを再入力するためには HISTORY 機能は大変便利です。 検索入力に1文字入れると絞り込み検索が行われるので、コマンドがうろ覚えの時に便利です。
CATメニューを選ぶとジャンル別一覧が現れます。
例えば 4: Graph でジャンルを選ぶと以下の画面になりますが、ここで fx-CG50 と fx-CG20 で違いがあります。
左が fx-CG50、右が fx-CG20 です。
右の fx-CG20 では、コマンドのリストが表示されます。
左の fx-CG50 で表示されるリストは、コマンドではなくて説明です。この下のレベルでさらに説明のリストが現れることもあります。かなり分かり易く改善されています。
なお、CAT メニューから 1:All を選ぶと、全てのコマンドがアルファベット順に表示されます。このリストを fx-CG50 と fx-CG20 で比較した結果、同一でした。Casio Basic 使えるコマンドの種類が全く同じだと分かります。
fx-CG20 向けの作成したプログラムが そのまま fx-CG50 で動作するのは、ユーザーとしては助かります。fx-CG50 では処理速度の向上が見らるので、具体的に調べてみます。
PRIME - 素因数分解
※ 使い方やプログラムソースについては、fx-9860GII への移植 - 素因数分解 参照
このプログラムの実行中は、ビジーマーカー以外に表示の更新が無いので、計算速度の比較に向いています。今回は、以下の10桁の数の素因数分解の計算時間を比較します。
計算する数値: 7,849,516,203 = 32 x 9811 x 88897
fx-CG50 の画面は以下のようになります。
機種別処理時間の比較
fx-CG50 | fx-CG20 | fx-9860GII | fx-5800P |
46秒 | 63秒 | 89秒 | 444秒 |
1 | 1.36 | 1.93 | 9.65 |
0.73 | 1 | 2.67 | 7.05 |
0.52 | 0.71 | 1 | 8.73 |
fx-CG50 の計算処理は、fx-CG20 より 30% 程度速くなっています。
PYTHA - ピタゴラス数探索
※ 使い方やプログラムソースについては、fx-9860GII への移植 - ピタゴラス数 を参照。
このプログラムを起動すると1つめのピタゴラス数を表示して一旦停止します (左の画面)。
2行目の EXE:Next (-):Stop に変化するまで [EXE] キーを長押しすると、連続的に次々とピタゴラス数が表示し続けます。
そして、右の画面のように500個のピタゴラス数を探索して表示するまでの時間を計って比較します。
機種別処理時間の比較
fx-CG50 | fx-CG20 | fx-9860GII | fx-5800P |
87秒 | 185秒 | 93秒 | 441秒 |
1 | 2.12 | 1.07 | 5.07 |
0.47 | 1 | 0.50 | 2.38 |
0.94 | 1.99 | 1 | 4.74 |
0.20 | 0.42 | 0.21 | 1 |
fx-CG50 は、fx-CG20 の2倍程度の処理速度、fx-9860GII とほぼ同等の処理時間。
fx-CG20 は、動きの有るテキスト表示が重すぎて、実用プログラムを走らせるには向かなかったが、その問題が解決されています。
液晶画面の右上にビジーマーカーが表示されますが、fx-CG20 では常に表示し続けているのに対して、fx-CG50 では表示されていない時間が長い点に気付きました。fx-CG50 では ディスプレイへの転送をコマンドごとでなくてある程度まとまって行っている可能性がありそうです。それに伴ってビジーマーカー表示が間欠的になっているのかも知れません。
MONTECAR - モンテカルロ法による円周率計算
- fx-9860GII用 g1m ファイル
[EXE] キーを押すと、ランダムに点を打ち始め、それが円内にある割合から円周率を求める、モンテカルロシミュレーションプログラムです。このプログラムは、動きのあるテキスト表示と動きのあるグラフィックス描画を同時に行います。
そこでランダムに500回点を打つまでの時間を、機種別に調べて比較してみました。
fx-CG50 | fx-CG20 | fx-9860GII |
174秒 | 429秒 | 135秒 |
1 | 2.47 | 0.78 |
0.41 | 1 | 0.31 |
1.2 | 3.18 | 1 |
fx-CG50 は、fx-CG20 の 2.5倍の処理速度を達成。しかし fx-9860GII の 80% 程度の処理速度しかありません。
グラフィック表示の処理時間は fx-CG50 でかなり改善されているとは言え、あまり得意な処理ではないことが分かります。
カシオのグラフ関数電卓は、数学教育目的でグラフを表示することが主眼で、速い動きで変化示す処理は重視していないんでしょう。
fx-CG50 は、fx-CG20 の極めて遅い出力処理を改善していることが分かったのですが、それでもゲームなどのピクセル単位での描画が多いプログラムでは全く不十分です。Casio Basic をより高速化するには、現在のところ2つの可能性があります。1つはチューンアップ (オーバークロック) による高速化、もう一つはアドイン版 Casio Basic (C.Basic) の利用です。
▍チューンアップ
これまで、fx-9860G、fx-9860GII そして fx-CG10 PRIZM / fx-CG20 それぞれの専用オーバークロックツールが、sentaro様により提供されてきています。いずれも比較的安全性が確保されており、私も愛用しています。但しオーバークロックは、ROM 内容が異常になったり、いずれかのチップが損傷をうける可能性があり、これらの結果電卓が正常動作しなくなった場合でもメーカー保証を受けられないので、自己責任で利用しましょう。
Casio グラフ関数電卓を限界までチューンアップ
本ブログでは、作者の sentaro様へ直接質問できるように、以下のエントリーがあります。このエントリ-では、fx-CG20 用の Ptune2 の紹介もしており、サポートも受けられます。
⇒ fx-9860GII のオーバークロック - Ftune2 -
fx-CG50 用のオーバークロックツール Ptune3 の開発も始まっていますが、まだβ バージョン段階で、今後一定の安全性を確保しつつさらに高速化できる可能性があります。そこで安定版リリースまでは、以下のエントリ-で情報交換を行います。
⇒ fx-CG50 のチューンアップ
ちなみに、各機種をチューンアップして上で紹介した モンテカルロ法による円周率計算の処理時間を比較します。
fx-CG50 tuned by Ptun3 | fx-CG20 tuned by Ptune2 | fx-9860GII tuned by Ftune2 |
97秒 (174秒)※ | 108秒 (429秒)※ | 23秒 (135秒)※ |
1.8倍高速化 | 4倍高速化 | 5.9倍高速化 |
1 | 1.11 | 0.24 |
0.90 | 1 | 0.21 |
4.21 | 4.70 | 1 |
チューンアップは、CPUコアクロックだけでなく、メモリバスクロック、I/Oバスクロック、ウェイトなどを機種に応じて調整します。ここでは、チューンアップの潜在能力を示すだけなので、個別のチューンアップ設定は割愛します。
fx-9860GII の標準での処理時間が 135秒なので、fx-CG50 も fx-CG20 もそれ以上に高速化できています。fx-9860GII はチューンアップで桁違いに速くなっています (これが現時点での fx-9860GII の利点とも言えます)。fx-CG50 用の Ptune3 の今後の進展が楽しみです。
▍アドイン版 Casio Basic (C.Basic)
C.Basic は、
C.Basic は、純正Casio Basic のソースをほぼそのまま実行可能で、特にグラフィック描画の高速化は目を見張るものがあります。
どのくらい速いかは、ここ にある動画を見れば一目瞭然です。現在は、主に海外からの要望に応えつつ、バージョンアップが進んでいます。
現在では、fx-9860G シリーズ用の C.Basic for FX と fx-CGシリーズ用の C.Basic for CG が公開されています。
⇒ C.Basic のトップページ
⇒ C.Basic for CG のトップページ
[2017/11/01 追記]
なお、fx-CG50 向けの C.Basic for CG の開発が始まっています。C.Basic の処理速度はアドインに近いものになります。この記事では、同じロジックでアドインとCasio Basic のグラフィック描画速度の違いから C.Basic for CG のポテンシャルの高さを紹介しています。
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