2024-10-01から1ヶ月間の記事一覧
モーリス・ドニを観に行った昨日。夕映えの中のマルトの前で立ち尽くした。彼女は、親密な関係の中で許される疲労と憂いを帯びた表情で佇んでいる。ブラウスの柄や花瓶に生けられた生花、額縁に至るまで、薄い夕焼けを丹念にまとっている。夕焼けに包まれた…
低いところでたなびいている雲がぼやぼやと月を隠していた。しばらく見ていると雲の一連はどんどん遠のいていって、月が本当に明るかった。まっすぐ見ていられないくらい眩しい夜。 随分長い時間をかけて自分の振れ幅を見ている。傾いたりあらぬ方向を向いた…
中島らもの墓を訪ねる。彼は死んでいたけれど死んでいなかった。下の方の、不思議なところから声が聞こえていた。とにかく行かなければいけない、今すぐ出発しなければいけない、という思いに駆られて旅に出ることに決めた。黙って側にいてくれて、一緒に来…
知らない土地に来て、初めている場所で酔い始めている。色々な風景を見た。日常の延長のような移動。初めて降りる駅前の街並みを歩いて思うことや、盗み聞きをして思うことなど。できるだけ色々なことを、率直に書いておきたい。それが自分を引き受けること…
iPhoneを縦向きにしたまま、小さい画面でゴールシーンのハイライトを見る。ペナルティエリアの外からミドルシュートを打つ人に見とれる。腕を使ってバランスを取り、右脚を振るモーション。身体全体がしなやかな道具のように見えた。 裸足で床を歩くと冷たい…
時代は裏切りも悲しみもすべてを僕にくれる。 素敵なものが欲しいけどあんまり売ってないから好きな歌を歌う。 冬みたいに寒かった日。 4年前につくった俳句を見つけた。 ・・・ おしなべて光る葉牡丹夕まぐれ よつゆびの生き物昏き台東区 川沿いに空箱湿り…
枯れ葉、お湯、焚き火、蝋燭、煙、毛布、バニラ、メンソール、苔、夕方、小雨、そういうものを全部まぜて一緒くたにしたものが秋。甘く重くあたたかい季節。 引き受けることと放り出すことについて考えていた。自分を放り出すような生き方をしていて、それが…