麻生太郎はやっぱりバカだった。 - シートン俗物記

シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

麻生太郎はやっぱりバカだった。

予告していた安倍政権批判を書くつもりでしたが、ちょっと予定を変えます。
先日、安倍政権閣僚をはじめ、各党国会議員が大挙して靖国神社を参拝しました。結果、中国・韓国が反発します。当然ですね。


靖国神社は戦争美化の場所…韓国が参拝を批判
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130423-OYT1T01040.htm

 【ソウル=門間順平】韓国外交省の趙泰永(チョテヨン)報道官は23日の定例記者会見で、日本の衆参議員168人の靖国神社参拝について、「(靖国神社は)戦争美化の場所であり、関係国の国民がどのように受け止めるか考えるべきだ」と批判した。

 報道官は、安倍首相の真榊(まさかき)奉納や麻生副総理らの参拝で、月内に予定していた尹炳世(ユンビョンセ)外交相の訪日を中止したことを挙げ、「日本の指導者層は、(参拝が及ぼす影響を)深く考えなければならない」と強調した。

靖国神社議員参拝:中国国営テレビ「右傾化が顕著」
http://mainichi.jp/select/news/20130423k0000e030260000c.html

【北京・工藤哲】日本の超党派の国会議員が23日午前、靖国神社を参拝したことについて、国営中国中央テレビ(CCTV)は「日本政界の右傾化傾向が顕著になった」などと伝え、警戒感を示した。中国指導部が四川省で起きた地震の対応に追われているさなかの集団参拝となり、中国世論を刺激しそうだ。

 23日付の共産党機関紙「人民日報」は、閣僚の参拝を受け、中国外務省が22日に日本側に中国の国民感情を尊重するよう重大な申し入れをしたことを伝え、閣僚が私的に参拝したとしていることを「安倍内閣が表裏を使い分けて右翼勢力に迎合している」と指摘した。


ま、ちょっと中国指導部の認識は間違っているところがあります。
“日本政界の右傾化傾向”“右翼勢力に迎合“とありますが、別に右傾化したわけではなく、前から極右だっただけですし、安倍内閣はそれ自体が極右です。


で、バカがこんな事をほざいてます。


「外交影響あまりない」 靖国参拝で麻生副総理
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130423/plc13042310180012-n1.htm

麻生太郎副総理兼財務相は23日の閣議後記者会見で、靖国神社の参拝に対する中国や韓国の反発に関して「海外で反応が出ているが、それによって外交に影響が出ることはあまりないと思う」と述べた。

 麻生副総理は「(靖国参拝には)毎年2、3回、伺っている。いまさら言われるような話ではない」と説明。記者から「韓国や中国に与える影響から(靖国参拝に)行かないという考えはなかったのか」と問われると「ありませんでした」と答えた。


“ないと思う”のは勝手ですが、実際に当事国関係者を怒らせているのは事実なわけですから希望的観測にすぎません。まぁ、甘く見ているのは、相手を見下しているからでしょうが、これが抗議相手がアメリカだったら、米搗きバッタのごとく平謝りでしょうに*1
甘々な希望的観測で物事を進めるのは、到底プラグマティズムとも現実的とも云えないでしょうね。
ましてや、アベノミクスとやらで景気回復、経済成長が第一、としているわけですから、その障害になるような事態を引き起こす真似は愚かしいとしか言い様がありません*2


官房長官までこんな事をほざいてます。


靖国参拝「心の問題」と菅長官、韓国訪日中止で
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130422-OYT1T00691.htm

官房長官は22日午前の記者会見で、麻生副総理ら閣僚3人が靖国神社に参拝したことについて、「私人として参拝したものと理解している。個人の私的な行動であり、心の問題だ。内閣が制約をかけるべきではない」と述べ、政府として問題視しない考えを示した。

 韓国が外交相の訪日を中止したことについては、「(外相会談を)やる、やらないさえ決まっていなかった。調整はしていたが、韓国側から何も聞いていない」と述べた。その上で、「それぞれの国にはそれぞれの立場がある。あまり影響を外交に及ぼすべきではない」と語った。


こいつらの言動を是、とする方々が、「君が代問題」で、唱わない事を「心の問題」として捉えていたのか引っ掛かるところではありますが、靖国神社の参拝問題は「心の問題」「信教の自由」問題、などではありません。


もともと、靖国神社は単なる信仰の場などではなく、日本の軍事・植民地政策と密接に関係してきた「国家神道」の中枢であり、統治機構の一部でした*3
であれば、その日本の軍事・植民地政策による被害を受けた国が、靖国参拝に抗議するのは当然すぎるほど当然です。それは、「心の問題」「信教の自由」などではなく、参拝者が日本の戦争責任(だけではないが)を蔑ろにしているからです。


参考:【産経抄】4月24日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130424/plc13042403170002-n1.htm

(前略)同じようなことは先の大戦でも起きた。日本は敗色濃厚となっても、特攻を繰り返すなど決死の戦いを続けた。それは米国など戦勝国を畏怖させた。このため戦後、さまざまに日本人の「骨抜き」を図りながらも、象徴天皇を残し苛烈な占領政策はとらなかったのだ。

 ▼そう考えると今、繁栄を享受している日本のリーダーが靖国神社を参拝、英霊たちに感謝するのは当然のことだ。いやそれだけではない。参拝によって日本人の勇敢な戦いぶりを思い起こさせる。そのことは、日本を敵視する国に対する十分な抑止力となると言っていい。

 ▼麻生太郎副総理ら3閣僚をはじめ、160人を超える国会議員が春の例大祭に合わせ靖国を参拝した。韓国は早速とばかり外相の訪日を中止した。抗議行動も起きているそうだ。この過剰な反応こそ、韓国が日本の「底力」を恐れていることの証拠と思えばいい。(後略)
(太字強調 シートン)


ついで、安倍晋三もこんな事を云ってますね。


首相「侵略の定義定まっていない」 村山談話に絡み答弁
http://www.asahi.com/politics/update/0423/TKY201304230074.html

安倍晋三首相は23日の参院予算委員会で、日本の植民地支配への反省とおわびを表明した「村山談話」に関連し、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」と述べた。

 自民党丸山和也氏が「村山談話」の文言について、「遠くない過去の一時期」「国策を誤り」「植民地支配と侵略によって」の3点をとりあげ、「あいまいなまま『すみません』という事なかれ主義。歴史的価値はない」と指摘した。

 これに対して、安倍首相は「丸山委員が質問された点は、あいまいな点と言って良い。この談話で、そういう問題が指摘されているのは事実ではないか」と同調した。

侵略の定義が決まっていない、という認識に対しても云いたいことはありますが、決まっていなきゃ何なんだ、という話でもあります。つまり、「主権回復の日」とやらで祝いたい(らしい)サンフランシスコ平和条約体制にケンカを売ってる、という事でいいんでしょうかね。
日本は何度謝罪すればいいのか!的な事をいう人は、謝罪したはずの事を蒸し返すのを批判した方がいいと思いますよ。詫びたはずの出来事を改めて否定するなら、その真意が何なのか問われるところですからね。


さて、靖国神社参拝が「心の問題」「信教の自由」、という人には三種います。
実際に無知な人と、選択的無知な人、そして、確信犯です。


http://b.hatena.ne.jp/the_sun_also_rises/20130422#bookmark-142069822

the_sun_also_rises
先ほど靖国に参拝してきた。空いてたがそれでも絶え間なく参拝者がいた。で彼らも侵略を正当化しているとでも?/最近若い人の参拝が増えた気がする。靖国に対する意識も変わってる。十年一日な批判はもう止めたら?2013/04/22Add Star


典型例が↑これ。the_sun_also_risesは選択的無知の人ですね。毎回白々しいやりとりをしてますから。若い人には実際に無知な人もいるでしょう。で、閣僚だ何だのは確信犯と云えるでしょう。


「心の問題」「信教の自由」、戦没者を慰霊するため、という意見は何が問題なのか、それは、先に述べた国家統治機構の一部としての靖国神社は、戦争を通じて強いられた死の正当化に利用されたからです。
靖国神社や、それを参拝する者は戦没者に対して「日本を守るために(戦って)死んでくれた」という扱いをします。ですが、実際の戦没者は、“死んでくれた”わけではなく、“死に追い込まれた”のであって、さらに付け加えるなら、日本を守れてなどいません。日本は無条件降伏したわけですから。
もちろん、戦友らがこのように考えている事はあります。ですが、これは“俺たちや死んだ戦友達の苦しく辛い体験(死)はムダでは無かった、と考えたい”という認知的不協和でしかありません。当人達がそう捉えるのは仕方ないにしても、他の人間が言うべき事ではありません。
むしろ、死に追い込んだ事自体を悔い、反省し、対応すべきなのであって、死を称揚する靖国神社戦没者を冒涜しているともいえるのです。


もう少し判りやすく説明しましょうか?以前、私は旧日本軍の従軍慰安婦制度と「ブラック企業」の関連性について説明しました。


従軍慰安婦問題から読み解く「ブラック国家 日本」
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20121218/1355834693


そこで、単に慰安婦だけでなく、従軍した兵士にとっても旧日本軍というものが人権侵害が常態化した「ブラックな組織」であった点を指摘しました。そこで死に追い込まれた者が、死を強いた側に“顕彰される”ことはどう捉えられるでしょう。


つまり、こういうことです。



入社時から慢性的に過酷な労働状態が続いた中で自死に追い込まれた女性に対して言及したツイートがこれでした。当然ながら、このツイートには膨大な批判が寄せられました。「社員の死を自身に都合良く利用するな」と。私は、その批判は正当なものだと思います。そして、靖国神社での戦没者の顕彰も同じ事です。



付け加えるなら、このように「二度も殺された」戦没者は、沖縄だけでなく台湾、朝鮮半島にもいます。彼らの気持ちを逆なでするように、分祀は不可能、みたいな事を云ってますけど。どう見ても、ブラック企業のやり口でしょう?
ブラック企業が嫌いなら、ブラック国家(軍)を無理矢理正当化するのは止めるべきですよ。いくら迎合して見せても“確信犯”はこう考えてますからね。


安倍晋三首相は、憲法改正国防軍(兵力100万人以上)創設の祖として靖国神社銅像を建立されるだろう(板垣 英憲) - 個人 - Yahoo!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/eikenitagaki/20130418-00024462/

(前略)日本が正規軍である「国防軍」を創設した場合、常備軍の兵力は少なくとも100万人にしなければ、国連正規軍として世界に派兵はできない。日本には、いわゆる「ネット右翼」を名乗る勇ましい若者たちが、たくさんいるので、人材には困らない。(後略)


では。

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*1:沖縄米軍基地移転を巡る騒動を思い起こすこと。あの時には、現在強気に出ているような連中が、アメリカのご機嫌を損なうな、と主張した

*2:貿易相手としての中国と韓国の統計額を見てみること

*3:靖国神社内の「遊就館」の展示が、それを如実に物語っています。だから、かつてアメリカも展示を問題視したわけです