自滅する地方都市 - シートン俗物記

シートン俗物記

非才無能の俗物オッサンが適当なことを書きます

自滅する地方都市

コンパクトシティや公共交通機関LRTDMV、自転車などについて原稿まとめていたら、琴線に触れるエントリーが載っていた。


地下室のスパイダー 地方の交通問題
http://d.hatena.ne.jp/anhedonia/20070324


partygirlの日記 地方の人が車を買ったから、ローカル線が消えた?
http://d.hatena.ne.jp/partygirl/20070327


The best is yet to be.「地方って、もう終わっちゃったのかな」
http://d.hatena.ne.jp/rajendra/20070328


どれも地方と車の関わりについて述べている訳だが、id:anhedoniaさんやid:rajendraさんの書いている事は、自分にとっては実感として感じられることだ。このへん、id:partygirlさんは「地方」に対する認識が異なっているように思う。自家用車による公共交通機関の衰退、が生じているのは「夜明け前」に描かれているような山の中などだけではなくて、日本の多くの「地方都市」だからだ。
このあたりは、拙ブログ


コンパクトシティー
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20070116/1168936602


LRT
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20060327/1143516199


でも述べた。


自分の住む志太地域は、静岡県のほぼ中央に位置し、たぶん静岡県で2、3番目に広い平野部だ。総人口は約40万弱。都会とは云えないが、「夜明け前」じゃない。だが、志太地域でも公共交通機関はほぼ全滅状態だ。バス路線の衰退は著しくて、駅行きのバスが1時間に一本もあれば良いところ、なんてのはざらで、大概の地域はバス路線が通っていない。JR東海道線の駅が焼津、西焼津、藤枝、六合、島田と5つあるが、駅へのバス路線はほとんど機能していない上に、東海道線自体、日中は二両編成だ。公共交通機関に頼る事などまったくできない。


自分も、自転車通勤を心掛けているが、それでも半分は自動車通勤。公共交通機関を利用したら自転車よりも時間が掛かるのだ。これでは利用しようがない。結局のところ、これは「卵が先か、ニワトリが先か」の問題で、どちらが悪いと決めつけられるものでもないが、悪循環である事は確かで

  1. 道路が発達する
  2. 自家用車が便利になり、利用台数(人数)が増える
  3. 公共交通機関の利用者が減る
  4. 収益改善のため、路線本数を減らし、運賃を値上げする
  5. ますます利用者が減り、自家用車へシフトする
  6. 道路が渋滞気味になり、バス利用がさらに不便になり、自家用車利用者も渋滞緩和を要望する
  7. 最初へ戻る(道路が発達する)

となる。地方では生活道路の改善、は税金の無駄遣いとは見なされないから、行政もバンバン道路を建設する。だが、建設費、維持費が増大する上に、公共交通機関は苦境に追い込まれる。しかも、公共交通機関には行政から補助が出ているから、その効果も下がる。路線が撤退すれば自主運行バスを出したりするが、それははなっから赤字覚悟だ。


今はそれでも何とかなっている。だが、道路インフラ(橋、トンネル、信号機、照明設備を含む)の老朽化が顕在化し、団塊世代が高齢で免許更新が危険になってくる10年後ぐらいを考えるとヤバイ状況になる。


信号機、進む劣化 更新予算が激減 警察庁が対策検討(朝日)
http://www.asyura2.com/07/hasan49/msg/225.html


高度成長期からこれらのインフラが一斉に整備されたわけだが、3,40年経過するため修繕が必要になるのだ。そのくせ老齢化が進んで、人口も増えない。支出は増大する一方なのに、収入は減る。
郊外(スプロール)化が進んだ地域ほど危機に瀕するだろう。つまり、日本の大体の地方都市である。


anhedoniaさんほど突き放しては見れないが、このままにしておくのもまずい、と言うわけで、やはり地方の見直しが必要だと思う。どんな地方が望ましいのか、近日中に自分の考えるビジョンを載せる予定。


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脱ファスト風土宣言―商店街を救え! (新書y)

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追記:写真は石川県金沢市尾山神社。無事かな?