師走。黄ばんだ写真、黄ばんだ記憶 み
ペコペコ社長の景気は大熊手 み
末枯(うらがれ)は最上階の窓際に み
表面は沸騰するも芯は冷ゆ み
露寒(つゆざむ)やさっき見たのは何だろう み
群時雨(むらしぐれ)、我が町の名はひらがなに み
伴走のロープが緩む秋惜しむ み
引いた牛蒡(ごぼう)を銃口に詰めてやれ み
やや寒し、今日は頭が回らぬ日 み
AI(えいあい)に真理を託す文化の日 み
キーを挿しシングルルームに秋の灯 み
落穂(おちぼ)や 昔『グロソブ』 今『オルカン』 み
身に入(し)む雨天コールドの後始末 み
長椅子に掛けて絵を見る赤い羽根 み
摂待(せったい)所に猫が居て悪戯者(いたずらもの) み
敬老の日です。『前期』から『後期』へ み
鰯雲や とりあえず 「行けたら行く」 み
防災無線:「6時から盆踊り」 み
夏休み 準備万端 無職なり み
崖がある 記念碑はない 夏の果 み
喫煙所で上司が虹を見ていた か
インバウンドの群に気圧(けお)された夏 み
蚊取線香のホーロー看板だ み
夏負けに鏡は「どちらさま?」と問う み
日本銀行券(にっぽんぎんこうけん)が欲しい小暑 み
「もう帰るわ」という目で団扇(うちわ)を置く み
六月は管理組合の役員 み
ゴールデンウイークまでは首位でいて み
まず投資 それから消費 初給与 か
サポートセンタの親切な佐保姫(さほひめ) み