お向かいのちょっと鬱陶(うっとう)しくて余花(よか) み
その歌を聴いた記憶に泣く。残花 み
桜蘂(さくらしべ)が赤くなる。もう散りどき み
八重桜 「おのぼりやす」 「おくだりやす」 み
銀座で迷い、夜桜の写真展 み
地下鉄の2番出口は空に花 み
花見の帰り、電車待つ間の自省 か
花の陰、席の準備あるが無人 み
次の料理が来ない。つま菊を食(は)む み
葉桜の陰は毛虫に注意やで み
夜桜の写真に白い影がいる み
散る花のこの町もまたよそ者か み
花便り、ポトマックには民主主義 み
目で見る色には撮れない養花天(ようかてん) み
初花やお堀の土手に頬赤む み
「ほらここ」と指さす人や帰り花 み
古火山(こかざん)の岩肌 燃える草紅葉(くさもみじ) や
山々は錦繡(きんしゅう) 街は秋時雨(あきしぐれ) み
菊人形、追いかけてきそうでイヤ み
緋毛氈(ひもうせん)に寝っ転がって観楓(かんぷう) み
薄墨(うすずみ)のササと席画に庭の菊 み
仁清(にんせい)の皿にうつれる初紅葉 み
再会の桜蘂(さくらしべ)降る夜ノ森(よのもり)に み <2022年、立ち入り規制緩和>
夜桜の根元に 何か埋まってる み
お花見へ家族でフェリー島津雨 み
花びらヒラと寿司に降り桜鯛 み
紙切り名人 紅梅(こうばい)に白梅(はくばい) み
探梅(たんばい)に誘われた。行くか、寝てよか み
回廊を2周して見る冬桜 み
鬱々(うつうつ)と歩き 帰り花に気づく み