本研究は,高齢化に伴う廃棄物管理上の課題である高齢者へのごみ出し支援を取りあげ,支援制度の利用意向に影響する心理的要因の解明を目的とした。茨城県つくば市の森の里団地を対象にアンケート調査を行い,自治会による共助の制度と行政による公助の制度とで,心理的要因に違いがあるか解析した。
支援制度の利用意向には,「身体的負担感」と「精神的負担感」から形成される「ごみ出しの負担感」に加え,「社会との繋がり・安心」や「プライバシー・遠慮」等の心理的要因が影響していた。公助に対しては安否確認等で「社会との繋がり・安心」が得られることを期待する人の利用意向が高いのに対し,共助では近隣住民にごみを見られたくないという「プライバシーや遠慮」が働き,制度の利用をためらう傾向がみられた。自治体には,こうした高齢者のニーズを踏まえ,公助と共助の最適な組み合わせによる支援の仕組みを構築することが望まれることを指摘した。