犬の皮膚病にはどんな薬が使われるの?市販薬や人間の薬でも大丈夫?
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犬の皮膚病にはどんな薬が使われるの?市販薬や人間の薬でも大丈夫?

犬の皮膚病には本当にさまざまな要因が絡んでいます。一概に「遺伝だ」とか「アレルギーだ」と言い切れないのが皮膚病というものです。

皮膚の診断や治療は一度の診察で100%わかるものではありません。診察をして治療をし、その反応を見てまた治療を変更したり続けたりする、その過程で検査を何度か繰り返すというものになるため、まずはきちんと信頼できる動物病院を見つけることが大切です。

その際に薬等も処方されますが、一体どんな薬が出されるのか?また、市販薬や人間の薬でもいいのか?気になる犬の皮膚病の薬について解説していきたいと思います。

どういう薬をどう使うのかは症状によって異なりますので、必ず獣医師の指導の元で正しい使い方をするようにして下さい。
監修者
獣医師 / すぎうらペットクリニック院長 / 日本獣医がん学会2種認定医 / 日本獣医臨床フォーラム北海道地区実行委員 / 札幌市小動物獣医師会会員 / 北海道小動物獣医師会会員
杉浦 岳
高校時代の修学旅行で初めて訪れた北海道の自然の美しさに魅了され、本州の暑い夏を逃れるように大学受験を機に北海道へ移住しました。酪農学園大学を卒業後、「すぎうらペットクリニック」を開院。整形外科に関する学びを深めつつ、日本小動物がん学会から二種認定医の資格を取得し、HJS診療技術講習を修了。これらの経験は、動物たちへのより良い治療とケアを提供するための基盤となっています。北海道での豊かな自然の中で、動物医療の専門家としてだけでなく、動物たちとその家族に寄り添う治療を心がけています。

犬の皮膚病によく使われる4種類の薬まとめ!

主な薬のカテゴリー
  • 抗菌薬
  • 抗真菌薬
  • ステロイド剤
  • 抗体医薬
  • 免疫抑制剤
  • 抗ヒスタミン薬

一般的に犬の皮膚病に使用されている薬を、6つのカテゴリーにまとめてみました。この中でもよく使用されるのが【抗菌薬・抗真菌薬・ステロイド剤・抗体医薬】の4種類になります。

それぞれどういった特徴があるのかまとめてみたので、順番に見ていきましょう。

抗菌薬

皮膚の痒みの原因が細菌感染であった場合、抗菌薬を使用します。抗菌薬は細菌感染にのみ使うものであって、それ以外には使用しません。

いろいろな種類の抗菌薬があるため、獣医師の判断でそれぞれの犬に使う薬を選択する必要があります。

抗菌薬を使用するときは「きちんと指示通り飲まなければ効果が出ない」という点をしっかりと理解しておきましょう。

与え方としては、内服薬・注射薬といった2パターンがあります。投薬がどうしても難しい場合は一度の注射で2週間程度の効果が期待できるお薬もあるので、獣医師に相談してみて下さい。

抗真菌薬

真菌と呼ばれる菌に対して使用するのが抗真菌薬です。犬の皮膚のかゆみについて語る上で、こちらの抗真菌薬は欠かせない存在となります。

と言うのも、犬の皮膚炎の多くには「マラセチア」という酵母菌が関連しているためです。マラセチアが過剰に増えると、皮膚が脂っぽくなったり赤みやかゆみが出てきたりします。

酵母とは、微生物の一種でキノコやカビなどと同じく「真菌類」に属しています。(※1)

皮膚の検査を行って酵母菌が検出された場合、抗真菌効果のあるシャンプー内服薬、局所的であれば外用薬を用いるのが一般的です。

ステロイド剤

ステロイド剤はかゆみや腫れを抑えてくれる非常に有用なお薬ですが、副作用もあるため慎重に使用する必要のあるお薬です。内服薬と外用薬が用いられます。

広範囲な病変には内服薬、局所的な病変には外用薬が用いられることが多いです。通常は症状に合わせて多めの量から使用し、徐々に減らすなどの方法が取られます。

皮膚の状態によっては、どうしてもステロイド剤が必要な場合もあります。使用することに不安がある場合は、獣医師からのアドバイスをよく聞き分からない点をクリアにしておきましょう。

抗体医薬

抗体医薬とは、ステロイド剤の働きのうち主に痒みを取る部分を強化して副作用を減らしたお薬です。

副作用が少なくかゆみをとる効果が強いため、多くのかゆみのある症例に使用されます。しかし「原因を治しているわけではない」という点には注意が必要です。

このお薬で治るわけではないため、原因が改善できる疾患の場合はきちんとそちらにもアプローチしないといけません。

そうしないと投与しているけれど痒みがあったり、初めは効果があったのに徐々に効果がなくなってきたりといったことが起こります。

また皮膚の状態によってはステロイド剤の方が利点がある場合もあるので、しっかりと獣医師のアドバイスを聞くことが大切です。

このお薬には内服薬注射薬があります。注射薬は一度注射すると1ヶ月程度効果が持続するため、内服薬の投与が難しい場合や内服薬の切れ目で痒みが強くなるような場合には検討するといいでしょう。

薬以外で犬の皮膚病に良いとされる3つの予防方法!

3つの予防方法
  1. 普段の食事
  2. サプリメント
  3. スキンケア・シャンプー

薬以外で犬の皮膚病に良い方法はないの?といった疑問をお持ちの飼い主さんも多いかと思います。こちらでは、予防策としておすすめの方法を3つにまとめてみました。

ただし、「皮膚病を根本的に治す」という目的ではありません。あくまでも日常生活に取り入れられる習慣として参考にしてみて下さいね。

犬が皮膚のかゆみを感じる時には「感染症」「アレルギー」「アトピー」「それ以外」があり、それぞれ対策が違ってきます。なので基本的には動物病院に行って、獣医師の先生に相談することが大切です。その上でこういった予防法をうまく取り入れて頂ければと思います。

【普段の食事】意識したいのは栄養バランス!

重要な6つの栄養素
  • 炭水化物
  • 脂肪
  • タンパク質
  • ビタミン
  • ミネラル

これら6つの栄養素は、犬が生きていく上で欠かすことのできない重要な栄養素です。

犬が皮膚病になる原因は多岐にわたりますが、バランスよく食事を摂り免疫力を高めておくことは予防策としてプラスに働くことがあります。

その上で獣医師からアドバイスを頼りに、普段の食事内容をあなたの愛犬に合わせることが大切です。

アトピーやアレルギーに対しては検査や治療も兼ねた特殊なフードもありますので、獣医師に相談してみて下さい。

【サプリメント】免疫力を高めるものを取り入れる。

皮膚病を予防するための一環として、犬用サプリメントを与えるのも一つの方法です。

ただし、サプリメントと言ってもいろんな種類があります。効率よく予防するためにも、免疫力を向上することのできる成分が含まれているサプリメントを選ぶようにしましょう。

代表的なもので言えば「乳酸菌」「アガリクス」「ビタミンE」などがあります。こちらも獣医師の先生と相談して、愛犬には何が必要なのかを検討することが大切です。

【スキンケア・シャンプー】皮膚を清潔に保つことが大切。

アトピー性皮膚炎にはスキンケアやセラミドなどの保湿剤、ノミや花粉などの抗原による皮膚病にはシャンプーでの治療法も推薦されます。

シャンプー選びはなかなか難しいので、できるだけ獣医師に相談し、その時の肌質や皮膚の状態に合ったシャンプーを選ぶようにしましょう。

犬の皮膚病は市販薬でも治せるの?

今の時代、ネット通販などで犬の皮膚病用の薬が買えるようになってきました。しかし、そういった薬の中には劇薬に分類されるものもあるんです。「獣医師の診察がなければ本来は販売してはいけない」といったケースも少なくありません。

気軽に個人で買えるからといって、「安全に使える市販薬」という認識を持つのは危険です。人が薬局で買うような市販薬とはわけが違うので、その点をしっかりと理解しておきましょう。

動物病院に行く時間がなかなか取れない……という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ネットで買える薬を自己判断で使用して、余計に皮膚炎を悪化させてしまう場合もあります。

もしも愛犬の皮膚に異常が見られたら、その時はまず動物病院に相談することを強くおすすめします。なぜなら、かゆみや赤みの原因を表面から見て特定することは困難だからです。

皮膚炎の原因によって使用する薬や治療法が異なります。中には薬を必要としない皮膚炎(食物アレルギーなど)もあるため、むやみに市販で買える薬を使用するのは避けましょう。

病院での血液検査である程度のアレルギー物質を特定することができますから、多少遠くても病院へ足を運んで獣医師に相談することをおすすめします。

すべての医薬品はきちんとした診断と説明を受けた上で投与することが大切です。

人間の薬を犬の皮膚病に使っても大丈夫?

よく「犬の皮膚病に人間の薬やオロナインを使っても大丈夫?」といった質問を見かけます。

結論から言うと、「自己判断で人間の薬を使うのはやめて獣医師に相談する」というのが正しい判断です。

犬の皮膚病に人間の薬を使うこともありますが、犬には使えない成分の入ったものもあります。自己判断で使用するのは危険ですし、獣医師の判断に従いましょう。

一例ではありますが、風邪薬の成分は猫に投与すると命に関わることさえあります。愛犬の安全を第一に考えて、適切な薬をプロに選んでもらうことが大切です。

獣医師のアドバイスを元に犬の皮膚病と向き合いましょう。

「薬を使えば犬の皮膚病は治る」と思われがちですが、その答えはYESとNOの両方です。

薬はあくまでも対処療法であって、根本的な治療にはなりません。また、原因が分からないままとりあえず症状に見合った薬を処方されているケースも少なくありません。

とは言え、「治療費が高い」という理由で自己解決することはなるべく避けましょう。どんな些細なことでも、検査で原因が分かればそれに越したことはありません。

現代の犬の皮膚病は、人の力なくして改善することは非常に難しいです。信頼できる獣医師、薬、原因と上手に向き合いながら、愛犬の皮膚病対策に努めていきましょう。

出典・参考サイト・参考文献
※1(酵母)わかさの秘密|わかさ生活
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