放射線科医は希少な存在ですが、患者さんの正確な診断や適切な治療には欠かせない存在です。現在では、在宅での勤務も可能になり、働き方も多様化しています。今回は、放射線科医の働き方や収入事情を解説します。
- 放射線科医は、放射線治療に関わる「放射線治療専門医」と画像読影を担う「放射線診断専門医」に分かれ、それぞれ業務内容が異なる。
- 放射線治療専門医は主治医として患者さんを担当したり、外来を受け持ったりもする。時間外勤務や日当直の手当によって、給与水準が高くなる傾向にある。
- 放射線診断専門医は基本的にはデスクワークで時間外勤務が少なく、ワークライフバランスを重視する医師に人気。リモートワークの非常勤などで収入アップもできる。
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目次
1.放射線科医の年収事情
1-1.放射線治療医の常勤求人から見る年収の傾向
1-2.画像診断の常勤医師求人の傾向
1-3.画像診断の非常勤(アルバイト)医師求人の傾向
2.放射線科医の働き方と給与の特徴
2-1.放射線治療をメインとする放射線科医(放射線治療専門医)
2-2.画像読影をメインとする放射線科医(放射線診断専門医)
3.放射線科専門医になるには
3-1.放射線治療専門医になるには
3-2.放射線診断専門医になるには
4.放射線科医のやりがい
4-1.放射線治療専門医のやりがい
4-2.放射線診断専門医のやりがい
5.放射線科医が年収を上げるには?
5-1.専門医の資格を取得する
5-2.放射線治療専門医は、役職を目指す
5-3.放射線診断専門医ならアルバイトをする
6.放射線科医として効率良くキャリアアップと収入アップを目指そう
1.放射線科医の年収事情
厚生労働省が発表した「2020年度 医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、医療施設に従事する全医師数は32万3,700人。そのうち、放射線科医はわずか7,112人でした。放射線科医といっても、放射線治療に関わる放射線治療専門医と、診断の要となる画像読影を担う放射線診断専門医に分かれ、それぞれ業務内容が異なります。いずれも一定の規模を持つ医療機関では欠かせない存在です。
1-1.放射線治療医の常勤求人から見る年収の傾向
常勤で放射線治療を担当する医師の年収相場として、マイナビDOCTOR内「放射線治療」の求人情報(情報収集日:2022年5月14日、年収記載のある全50件)を参考に算出すると、放射線治療医の年収相場は、1,237.7万円~1,860万円でした。
ただし臨床経験や専門スキル、業務形態に応じて年収が変動すると記載がある案件も見られます。上記はあくまで目安であり、求職の際には、収入を含め細かい条件を確認しましょう。
1-2.画像診断の常勤医師求人の傾向
同様に、画像診断(一次読影) 、画像診断(二次読影)を行う常勤医師を募集する求人情報を基に算出(情報収集日2022年5月14日、年収記載のある全50件)したところ、年収は、1,201.9万円~1,795.4万円が目安です。こちらも臨床経験やスキル、業務形態に応じて年収が変動するケースがあります。
1-3.画像診断の非常勤(アルバイト)医師求人の傾向
加えて、画像診断(一次読影) 、画像診断(二次読影)の非常勤(アルバイト)求人の情報を基に算出(情報収集日2022年5月14日、50件のうち収入目安が記載されたものの平均)した収入の傾向をご紹介しましょう。
非常勤の場合、日給、時給、読影枚数の単価による報酬の3通りがあります。平均日給は約5万9,000円、平均時給は約1万1,000円でした。読影枚数に応じた報酬では1件当たり約2,000円が相場です。
ただし、胸部レントゲンやマンモグラフィーの1件と、CTやMRIの1件では単価が異なるため、あくまで目安です。検診の場合は、1件あたり数百円、CTやMRIだと1,000円~数千円が目安となります。以前のフィルム画像は、CTの場合で1件当たり6~8枚でしたが、デジタル化したことで1件当たり数百枚~数千枚になることがあります。出来高制の場合は、枚数ではなく、件数でのカウントとなるため確認が必要です。
2.放射線科医の働き方と給与の特徴
放射線科医は、画像読影と放射線治療のいずれかを専門として働くケースがほとんどです。どちらをメインにするかによって、勤務形態や給与水準が異なります。ここでは、それぞれの勤務環境と給与の特徴について見てみましょう。
2-1.放射線治療をメインとする放射線科医(放射線治療専門医)
がんに対する放射線治療を主とする放射線治療医は、緊急の対応を要するケースもあり、基本的には他の勤務医と同様に時間外勤務や日当直を担当することになるでしょう。また、一般的な診療医と同様に外来を受け持ったり、主治医として患者さんを担当したりします。
がん領域は広く、さまざまな診療科と関わりながら業務を進めることも少なくありません。治療計画を立てたり、経過観察をしたりといった業務もあるため、画像読影を専門とする放射線科医の働き方とは大きく異なります。オンコール対応などを含め、多忙な勤務となりますが、残業や当直等の手当を含めると、その分、給与水準は高くなる傾向にあります。
2-2.画像読影をメインとする放射線科医(放射線診断専門医)
CTやMRIなどの画像読影を行う放射線科医は、院内の多くの診療科から依頼を受けるため多忙です。しかし、基本的にはデスクワークで時間外勤務も少ないため、子育てや介護、趣味の時間などプライベートな時間を確保したい場合など、ワークライフバランスを重視する医師に人気です。
とはいえ、読影結果は診断に大きな影響を与えるため、決して「楽な仕事」ではありません。常に正しい判断が求められ、緊張の連続であることも確かです。また、臓器出血などに対して緊急で動脈塞栓術を行ったり、脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を行ったりするIVR(Interventional Radiology)医として活躍することも可能です。
読影を中心とする働き方は、時間外勤務やオンコール、日直、宿直などがなかったり、あっても頻度が限られていたりすることもあり、残業手当などによる収入の見込みは少ない傾向にあります。その一方で、近年はリモートワークの推進により、医療施設に勤務するだけでなく、業務委託を受けるなど、自宅にいながら画像読影を行う医師も増えてきました。
常勤医であっても当直等がない場合には、アルバイトや遠隔での読影を行うことも可能でしょう。副業しやすいこともあり、契約内容次第では、短時間労働で大幅な収入アップが期待できます。ただし、こうした働き方は、放射線診断専門医の資格保有者のみができるものです。高収入を目指すなら、画像読影の経験を積み重ねるとともに、放射線診断専門医などの資格を取得する必要があるでしょう。
3.放射線科専門医になるには
放射線科専門医を目指すには、まず、日本医学放射線学会の規定に沿った研修を受け、規定の症例数を経験した上で資格を取得する必要があります。
放射線科専門医の受験資格は、初期研修2年後、総合修練機関または修練機関にて3年以上の放射線科研修を受けること、(3年間のうち最低1年は総合修練機関にて放射線研究を行うこと、大学院生・研究生は在学期間の一部または全部が研修期間として認められる)、また、3年以上放射線学会正会員であることが求められます。放射線科専門医を取得した後は、放射線治療専門医、もしくは放射線診断専門医のいずれかを選択可能です。ただし、治療専門医と診断専門医を同時に有することはできません。
3-1.放射線治療専門医になるには
放射線治療専門医は、放射線治療を行う専門医として認定されるものです。放射線科専門医を取得後、「放射線科専門医研修ガイドライン」に基づき、医学物理学、放射線生物学、放射線防護・安全管理、放射線治療学に関する研修カリキュラムにより、2年間にわたる研修を受け、認定試験に合格しなければいけません。放射線診断専門医同様に、5年毎に更新する必要があります。
3-2.放射線診断専門医になるには
放射線診断専門医は、レントゲンやCT、MRIなどの読影やIVRの専門的な知識を持つ医師として認定されるものです。放射線科専門医を取得後、「放射線科専門医研修ガイドライン」に基づき、医学物理学、放射線生物学、放射線防護・安全管理、画像診断学、核医学、IVRに関する研修カリキュラムにより、2年間にわたる研修を受け、認定試験に合格しなければいけません。なお、放射線診断専門医の資格は5年ごとに更新する必要があります。
4.放射線科医のやりがい
放射線診断専門医、放射線治療専門医、それぞれのやりがい・魅力をご紹介しましょう。
4-1.放射線治療専門医のやりがい
放射線治療専門医は、専門的な放射線治療を通して、診療科にとらわれずにさまざまな疾患を持つ患者さんと向き合うことのできる仕事です。高齢化に伴い、がん罹患患者数も増加する中、がん治療における放射線治療医の役割はさらに重要なものになってきています。
特に近年では、がん治療も大きく進歩し放射線治療機器も発展していることから、放射線治療医による根治照射(根治を目的として放射線治療を行うこと)の割合も増えてきました。各科の主治医と連携しながら治療計画を立案し、その計画に沿った放射線治療を受ける患者さんを診察するごとに、治療効果を確認できるときには大きなやりがいを感じられるでしょう。
4-2.放射線診断専門医のやりがい
まず、臨床医の診断に大きく貢献できる点が挙げられます。患者さんの治療や診断を担う主治医にとって、放射線診断専門医による所見は正確な診断を促す重要な根拠となり、その後の治療を大きく左右するものです。放射線診断専門医は「ドクターズドクター」といわれるように、さまざまな診療科と連携して治療に携わり、影ながら患者さんの治療に大きく貢献できる点が大きなやりがいと言えるでしょう。
また、主治医が想定していなかった疾患を発見したり、より良い治療法や効果的な療養方法の選択に導いたりする時にも、大きなやりがいを感じられます。例えば、手術予定の患者さんでは、画像からの情報を丁寧に読み込むことで、主治医が普段の診療では把握することの難しい大動脈の石灰化や癒着の程度、肺気腫の所見などを発見し、治療時や療養時の注意喚起を促すことができるのです。このように、自身の読み込んだ情報により、患者さんが必要とする効果的な治療へ導ける点も放射線診断専門医の魅力の一つです。
5.放射線科医が年収を上げるには?
放射線科医が収入を上げる方法について紹介します。ただし、資格の有無によって条件は一様ではありません。
5-1.専門医の資格を取得する
収入アップを目指して転職するときには、より専門性の高い人材として活躍できるよう、放射線治療専門医か放射線診断専門医のいずれかを取得するとよいでしょう。放射線科医といっても、それぞれの業務内容は大きく異なるものであり、いずれかに特化した方が求人も探しやすいものです。放射線科医として両方の専門医資格を取ることは認められていないため、どちらかを選択する必要があります。
5-2.放射線治療専門医は、役職を目指す
放射線治療専門医は、現在の勤務先で働きながら、役職を目指すのも収入アップの方法と言えます。部長や科長、センター長など、目指せる役職は施設によって異なります。今後のキャリアアップを目指して、経験を積みましょう。
5-3.放射線診断専門医ならアルバイトをする
先にもお伝えしたとおり、放射線科医は、定時に帰宅できる職場で勤務できる場合も多くあります。その場合は、アルバイトを組み合わせて収入を増やすことが可能です。アルバイトの働き方も勤務先に出向くだけでなく、最近では自宅にて遠隔読影を担うリモートワークという選択肢もあります。
効率よく収入アップを目指すなら、臨床経験や取得技術の状況に応じた求人を探してみましょう。経験が浅く、1枚当たりに時間がかかる場合には、件数をこなすことが難しいため、時給で働ける案件を選ぶとよい一方、経験豊富で、1日当たりで多くの読影枚数に対応できる場合には、1枚当たりの単価が設定されている案件を選ぶのがおすすめです。
6.放射線科医として効率良くキャリアアップと収入アップを目指そう
患者さんの診断や治療に携わる放射線科医は、医療の現場に欠かせない存在です。放射線治療専門医は、一般的な勤務医と同じような働き方になるケースがほとんどですが、放射線診断専門医は、働き方が多様化しています。いずれの場合でも、自分のキャリアプランに沿い、最適な方法で専門的な知識や技術を研鑽し、キャリアアップや収入アップを目指すことが可能です。より効率的にキャリア形成をしたい場合や、収入アップを目指したいときには、医師専門のエージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
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