NERFに装飾を - 妄想科學倶樂部

NERFに装飾を

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何度でも書くけどNERFは塗装すると見違える。というわけでNERFリペイント・プロジェクト第三弾は8銃身ショットガン「ROUGHCUT」の銃身装飾。

(なお第一段と第二弾はこちら。)
d.hatena.ne.jp
d.hatena.ne.jp

前段

きっかけはこの写真だった。
https://img0.etsystatic.com/048/0/9910733/il_fullxfull.672839814_6vu8.jpg
金属色に塗られたボディに、手掘りの蔦模様。あまりの渋さに、それまであまり興味を持っていなかったROUGHCUTが俄に魅力的に思えてきて、しかし既に国内正規販売がなかったのでオークションで入手。

さて、どうやって装飾を施すかが問題である。直接彫り込んでゆくのが一番手軽かも知れないが、それでは上の写真でやっていることの真似でしかないし、それに彫刻の心得はないので綺麗に彫れる自信はない。
そもそも銃身彫刻というのは確かに「平滑な面を鑿で彫り込む」ものではあるのだが、線を彫り込むというよりは「線を残して周囲を彫り込む」感じが一般的で、つまり装飾部分が立体的に残るイメージになる。また別の素材(たとえば金など)を象嵌して元の平面より盛り上げて装飾する場合もある。
どうせならそういう立体感も出したい。

そういうわけで、既存の装飾を切り貼りすることを考えた。既製品が使えるなら形の揃った綺麗な装飾が可能になるし、一石二鳥だ。
問題は、そういう装飾に心当たりがないことで。スーパーで扱ってるオードブル盛り合わせとかの載ってるペラペラの樹脂にメッキしたような皿とかに蔦模様っぽい装飾あったりしなかったっけ……と業務用品の通販などを検索してみるも、いい感じのものが見当たらない。
妻に助言を求めたところ「そういう装飾用の飾り紙があるよ」と紹介してくれたのが、ドレスデンペーパーあるいはドレスデントリムスと呼ばれる、箔押しの厚紙をエンボスして打ち抜いたものである。
zakka-minimini.com
様々なデザインのある中から蔦模様として使えそうなものをいくつか購入してみた。

工程

さて、NERFをバラして下加工してゆこう。
分解と塗装の基本的な情報は下記を参考にされたい。
http://www.saba-navi.com/2015/05/28/nerf_repaint_custom_02/www.saba-navi.com
塗装にあたり大きな懸念になるのは可動部品の摩擦による塗料剥がれである。ROUGHCUTの場合、可動部品はスライドグリップとトリガーの2点だ。
トリガーについてはこれを見越してパワーのある米国仕様のオレンジトリガーモデルではなく国内向けのグレイトリガーモデルを購入しておいたので、無塗装で済ませるつもりである。
問題はスライドするフォアグリップの方で、中古であったため既に本体のフォアグリップと当たる部分に擦れが生じているのが確認できた。この部分については何らかの対策が必要だろう。そこでサイドに直線的な溝を彫ることにより直接の接触を避け、またフォアグリップ側も僅かに削って隙間を確保することにした。ついでに側面の滑り止めは時代的なイメージに合わないので、これも削り落としておく。

ドレスデントリムスは部品ごとに切り抜き、大きなものから先に箇所を決めて瞬間接着剤で貼ってゆく。それから隙間を細かい模様で埋めて、バラバラの模様が一つながりに見えるように配置してゆく。
片面ができたら、ほぼ対称になるように裏面を貼る。側面は見比べないので細かな違いがあっても大丈夫だが、上面は比較しやすいのでなるべく位置を合わせる。
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形状の加工がすべて済んだら、塗装のために表面へ黒のサーフェイサーを吹いて下塗りとする。

塗りの前に塗料をチェック。しばらく使っていないものは揮発して固まっていたりするので、検品を兼ねて適当な紙に色を塗って発色をチェックし、使う色を決める。ついでに木目の塗り方についてもテストしてみる。

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フォアグリップの木目塗り。下地を黒で塗ったのでミディアムグレイをドライブラシして全体的な木目の流れ方向を作りつつ面相筆で黒を細く乗せておく。
その上からクリアオレンジを筆塗りしたのが右の状態、さらにクリアレッドも塗ったのが左。マホガニーっぽい仕上がり。

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銃床の方は色を変えたかったので塗り方を変えてみる。バフで下塗りした上にレッドブラウンとブラックで細い木目を引いてゆき(右)、その上からクリアオレンジを塗る(左)。
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更にスモークグレイを重ねたのが左の状態。クリアオレンジまでの右、クリアレッドを重ねたフォアグリップ(中)との比較。

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本体の塗り分け。元々の塗装イメージに合わせ、青だった部分はブロンズで、白だった部分をフラットアルミで塗り潰す。

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貼り込んだ装飾部分にリーフゴールドを乗せてゆく。

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フラットアルミで銀色に塗った帯の部分には面積の広い装飾を多く貼っているので、すべてをリーフゴールドで塗ってしまうと銀色っぽさが出ない。そこでやや白っぽい色合いのチタンゴールドを塗ってみたが、それだと下のフラットアルミとのコントラスト差が弱い。というわけで最終的にリーフゴールドで縁取った。

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微細な模様を浮き上がらせるためにスミ入れ塗料を塗る(左)。無加工(右)に比べ色合いが落ち着き、凹凸が強調される。

タミヤ スミ入れ塗料 (ブラック)

タミヤ スミ入れ塗料 (ブラック)

一通りの塗装が終わったら、仮組みして全体のバランスをチェック。ここで最終的な修正を終えたら仕上げにトップコートを吹いて表面を保護する。
組み上げて動作テストしたら、作業完了。
事前の表面加工に1日、ドレスデン・トリムスでの装飾に片面2日、塗装に1日を費した。

完成

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前装式 金銀象嵌銃、銘「乱切」二連四射(Engraved-Gun-like, NERF RoughCut 2x4 Blaster mod)。