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どうやって中を冷やしている?意外と知らない冷蔵庫の仕組み

2024.09.29

1803年。米メリーランド州の農家「トマス・ムーア」が氷を利用した物を冷やす道具「冷蔵庫(refrigerator)」を発明して以来、200年以上が経ちました。

2世紀の時を経て冷蔵庫はより使いやすく、より高機能になり、私たちの生活に欠かすことができない道具の1つとなっています。

そんな便利な冷蔵庫ですが、意外とその仕組みを把握している人は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、冷蔵庫が物を冷やす仕組みなどを紹介してきます。

簡単にわかる冷蔵庫の仕組み! 冷却方式は?

それでは早速、冷蔵庫の仕組みを見ていきましょう! 冷蔵庫は基本的に家庭用冷蔵庫やヒートポンプという技術を用いて冷気を作り出し、庫内を低温に保っています。

ヒートポンプって何? 冷蔵庫の仕組みをわかりやすく図解で見てみよう!

冷蔵庫が冷気を生み出すサイクル(図:筆者作成)

ヒートポンプとは、冷たい場所から温かい場所へ熱を移動させる技術で、冷蔵庫のほかにエアコンなどにも使われています。

簡単に説明すると、冷房使用時のエアコンは室内の熱を取って、室外機から外に放出しますよね。これと同じで冷蔵庫の内部から取られた熱は、外部(主に冷蔵庫の背面)から放熱され、庫内の冷気を保っているのです。

この仕組みを作り出している主要機器は4つ。圧縮機・凝縮器・膨張弁・蒸発器です。

それではこれら4つの主要機器が持つ役割を順に見ていきましょう。

【冷蔵庫の仕組み】コンプレッサー(圧縮機)

コンプレッサー(圧縮機)は冷蔵庫の外部に取り付けられている機器です。気体冷媒を取り込み、電気エネルギーでこれを圧縮する役割を持っています。

圧縮時には熱が放出されるため、この熱が庫内に侵入しないよう、コンプレッサーは冷蔵庫の外側に取付けられているのです。

多くの冷蔵庫ではコンプレッサーは冷蔵庫の背面に取付けられており、充分なスペースがないと熱を上手く逃がすことができず、冷却効率が下がってしまいます。

※冷媒とは熱を運ぶための物質のことで、気化時に周囲の熱を奪い、液化時に放熱します。

【冷蔵庫の仕組み】コンデンサ(凝縮器)

コンデンサ(凝縮器)は、コンプレッサーによって圧縮された高温高圧の冷媒ガスを液化する役割を持っています。コンプレッサーと同じく、こちらも冷蔵庫の外に設置されています。

【冷蔵庫の仕組み】エキスパンション・バルブ(膨張弁)

庫内に設置されているエキスパンション・バルブ(膨張弁)は、コンデンサが液化した液体冷媒の圧力を低下させて、沸点を下げる役割を担っています。

【冷蔵庫の仕組み】エバポレーター(蒸発器)

エバポレーターは庫内に設定された主要機器の1つで、上記3つの主要機器から送り込まれた「沸点の低下した液体冷媒」を気化させます。

液体は蒸発する際に、周囲の熱を奪う性質を持っており、この性質を利用して庫内の冷気を保っているのです。また、気化した冷媒はコンプレッサーに送り込まれ、外部に熱を放出しつつ、再度同じサイクルを繰り返します。

冷蔵庫の冷媒「イソブタン」とは? ノンフロン冷蔵庫の仕組み

1920年代から1980年代まで、一般的には「フロンガス」という気体冷媒が冷蔵庫には用いられていました。しかし、このフロンガスがオゾン層に対して悪影響ということが判明すると、フロンガスの使用は禁止されました。

そして、フロンガスの代わりに用いられたものの1つが「イソブタン」という冷媒で、これは冷蔵庫のほかにもエアコンやスプレーなどにも用いられています。

このようにフロンガスを用いていない冷蔵庫のことを「ノンフロン冷蔵庫」といいます。ちなみにイソブタンはライターなどにも使われています。

【冷蔵庫の仕組み】今は使われてないフロンガスとは?

フロンガスとは、炭素や水素をはじめ、フッ素や塩素、臭素など様々な化合物の総称です。

上述のとおり、1920年代から冷蔵庫のなどの気体冷媒として用いられていました。しかし、1970年代に環境への悪影響が判明すると、1980年代にはウィーン条約やモントリール議定書が制定されました。

日本では、1988年に公布された、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律「オゾン層保護法」により規制され、2001年に公布された「フロン回収・破壊法」により、エアコン、冷蔵庫などですでに使われているフロンなどについても回収・破壊が義務付けられています。

【冷蔵庫の仕組み】水冷式冷蔵庫とは?

水冷式冷蔵庫とは、排熱を水冷凝縮器で水と間接的に熱交換する方式の冷蔵庫のことです。

庫内に熱がこもりませんが、冷却水を供給する設備の設置が必要で、主に業務用で活用されています。

同じ“冷やす”でも冷蔵庫とエアコンの仕組みは違う?

冷蔵庫とエアコンの仕組みは基本的に同じで、冷媒を用いて庫内または室内の熱を外部に排出します。

発生する熱は不要なため、冷房機能のエアコンでは、熱は室外機から排出されます。冷蔵庫の場合は背面から放熱されます。なお、エアコンの暖房機能は、この仕組みを逆に利用して熱を作り上げています。

いつからあるの? 冷蔵庫の歴史

冷蔵庫の仕組みがわかったところで、冷蔵庫の歴史を見ていきましょう。

冷蔵庫の歴史年表

図:筆者作成

1834年にアメリカの発明家ジェイコブ・パーキンスが、初めて圧縮式の製氷機を発明しました。

その後、様々な発明家や企業が改良を重ね、1918年には現在の家庭用冷蔵庫の元祖ともいえる電気冷蔵庫がアメリカのケルビネーター社から製造・発売されます。

日本においては1923年に三井物産が初めて、米国GE社(ゼネラル・エレクトリック)の電気冷蔵庫を輸入し、7年後には芝浦製作所(東芝の前身の1つ)が日本初の国産電気冷蔵庫を完成させました。

昔の冷蔵庫の写真

 

こちらは日本で初めて国産化された電気冷蔵庫『SS-1200』です。東芝の前身企業の1つである芝浦製作所が開発・発売しました。発売当初の価格は720円で、これは小学校教員の初任給1年分以上に匹敵します。

【参照】日本初の電気冷蔵庫(東芝)

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※データは2024年8月下旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※製品のご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/高沢タケル

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