イスラエルとレバノン停戦合意発効
~中東地域の緊張緩和が焦点~
イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことを受けて、激しい戦闘が続いていたレバノン南部では、避難していた住民が自宅に戻る動きが広がり始めています。合意が守られ、中東地域の緊張緩和につながるかが大きな焦点です。
イスラエル軍とヒズボラの戦闘をめぐっては、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れ、現地時間の27日午前4時、日本時間の27日午前11時に停戦合意が発効しました。その後、新たな攻撃などは確認されておらず、イスラエル軍の激しい攻撃が続いていたレバノン南部では、避難していた住民が自宅に戻る動きが広がり始めています。
停戦合意では今後60日以内に、レバノンの正規軍も停戦監視にあたるためヒズボラの勢力範囲となっていたレバノン南部に展開し、これに応じて地上侵攻していたイスラエル軍が徐々に撤退することになっています。また、ヒズボラはイスラエルとの国境からおよそ30キロ離れたリタニ川より北側に撤収し、ヒズボラの重火器は撤去されるとしています。
今回の停戦合意に向けて、働きかけを続けてきたアメリカのバイデン大統領は「ガザの人々も安全と繁栄した未来にふさわしい」などと述べ、パレスチナのガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦に向けた働きかけを一段と強める考えを示しました。
<レバノン 市民から歓迎と不安の声>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表されたことを受けて、レバノンの首都ベイルートでは歓迎する声の一方、イスラエルが停戦合意を守るか不安視する声も聞かれました。
イスラエル軍が地上侵攻したレバノン南部から避難してきたという男性は「停戦を歓迎する。これで私たちの将来にも、レバノンの将来にも希望が持てる」と話していました。一方で、イスラエル軍の空爆が行われたベイルート郊外を逃れ、家族と避難生活を続けている男性は「生活が本当に苦しい。戦争には反対だし、私たちは国が栄えることを望んでいる。停戦には賛同するがイスラエルが裏切らないか不安だ」と話していました。
また、別の男性は「私は家を破壊され、生活費も家賃も高い中、避難生活を続けている。罪もない子どもや若者が殺されたのだから、停戦には反対だ」と話していました。
<イスラエル市民からも歓迎と不安の声>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことについて、
イスラエル中部のテルアビブに住む3人の子どもの父親は「この停戦が何年も続くことを願いますが、先のことは誰にもわかりません。子どもたちはより安全になったと感じ、うれしそうです」と話していました。また、同じくテルアビブに住む女性は「停戦が続くことを望みますが、レバノン政府がヒズボラをおさえることはできないのではないかとも思っています。ガザ地区で捕らえられている人質の解放に向けて集中すべきです」と話していました。
<イラン停戦合意を歓迎 ヒズボラなど支援継続の姿勢も>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことを受けて、イラン外務省のバガイ報道官は声明を出しました。
バガイ報道官は「イスラエルによるレバノンへの侵略が止まったというニュースを歓迎し、レバノン政府や抵抗勢力へのイランの揺るぎない支援を強調する」として、停戦合意を歓迎するとともにイランが後ろ盾となってきたヒズボラなどを引き続き支援する姿勢を示しました。また、去年10月以降の戦闘でレバノンやパレスチナのガザ地区では多くの人が犠牲となり、広い範囲で重要なインフラが破壊されているなどとして「アメリカと一部のヨーロッパの国の全面的な支援を受けたイスラエルによる犯罪の結果だ」と、イスラエルやアメリカなどを強く非難しました。
<UNHCR 避難の人たちの帰還に期待>
日本を訪れている国連のグランディ難民高等弁務官は、27日、都内でNHKのインタビューに応じました。
イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐる停戦合意が日本時間の27日発効したことについて「何週間にもわたる交渉の末に停戦が合意されたことをとてもうれしく思う。停戦が維持されイスラエルとヒズボラによる紛争状態に戻らないことを願う」と述べ歓迎しました。そのうえで「停戦により避難を余儀なくされた人たちが故郷に戻れることを願いたい」と述べ、戦闘によりレバノンやイスラエル北部から避難した人たちの帰還につながることに期待を示しました。(11月27日 19時18分)
今後の焦点は、アメリカのバイデン大統領はイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表しました。イスラエルとヒズボラの間で停戦が守られ、中東の緊張の緩和につながるかが焦点となります。
<イスレエル軍とヒズボラ>
イスラエル軍とヒズボラの間では、去年10月からの戦闘でレバノン側の死者が3800人以上にのぼり、イスラエル側でもおよそ6万人が避難を余儀なくされる事態となっていて、アメリカが停戦に向けて働きかけていました。これについて、イスラエルのネタニヤフ首相は26日、テレビ演説し、ヒズボラとの停戦案について、閣議承認の手続きを行うことを明らかにしました。
停戦に応じる理由について、ネタニヤフ首相はイランの脅威に備えて軍の態勢を立て直すとともに、ガザ地区のイスラム組織ハマスを孤立させるためだとしました。
一方、アメリカのバイデン大統領は日本時間の27日午前5時半ごろ、イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表しました。停戦は現地時間の27日午前4時、日本時間の27日午前11時から始まるとしています。バイデン大統領は今後60日間でレバノンの正規軍がイスラエルとの国境周辺に展開し、ヒズボラの拠点の再建を認めないとするとともに、イスラエル軍も徐々に部隊を撤退させるとしています。また、フランスなどとともに取り決めが完全かつ効果的に実施されるよう、支援していくとしました。
イスラエル首相府は26日、停戦案を閣議で承認したと発表しました。発表に先だってネタニヤフ首相はテレビ演説し、停戦に応じる理由について、イランの脅威に備えて軍の態勢を立て直すとともに、ガザ地区のイスラム組織ハマスを孤立させるためだとしました。
イスラエル軍は停戦案の受け入れの発表前にもレバノンの首都ベイルート郊外などでヒズボラの拠点に空爆を行ったと明らかにするなど攻勢を強め、ヒズボラもイスラエル北部にロケット弾による攻撃を繰り返すなど、双方の応酬が続いてきました。イスラエルとヒズボラの間で停戦が守られ中東の緊張の緩和につながるかが焦点となります。
<暴力と破壊、苦しみに終止符を期待>
国連のグテーレス事務総長は停戦合意について26日「両国の国民が経験してきた暴力と破壊、苦しみに終止符が打たれることを期待する」と声明を発表しました。そのうえで、国連のレバノン特別調整官事務所と、国連のレバノン暫定軍が合意の履行を支援する用意があるとしています。
<停戦が完全に守られるよう協力に努める>
イスラエルとレバノン両政府が停戦案を受け入れたことについて、停戦に向けた協議の調整にあたったアメリカとフランスが、共同で声明を発表しました。この中で、両国は「レバノンでの戦闘は停止され、イスラエルはレバノンを拠点とするヒズボラや、その他のテロ組織の脅威から守られることになる」として成果を強調しています。そして「アメリカとフランスは、停戦が完全に守られるよう、イスラエルやレバノンとの協力に努め、この紛争が新たな暴力の連鎖となるのを防ぐことを決意する」としています。
フランスのマクロン大統領がビデオで声明を発表し、「いまもなおガザで続く戦争の事実を忘れてはいけない。今回の合意は、ガザでの停戦への道も開くものだ」と述べ、ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦にも取り組みたい考えを示しました。
<地域の安定の確立に貢献>
レバノンのミカティ首相は、イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたことについて、声明を発表しました。この中で「レバノンに平穏と安定を確立し、避難している人たちが家に戻れるようにするための基本的な一歩だと考える。そして地域の安定の確立にも貢献するものだ」などとしています。また停戦に向けて調整にあたったアメリカとフランスにも謝意を示しました。
<イスラエルとヒズボラが停戦合意の背景は>
イスラエル軍とヒズボラの戦いの経緯を踏まえた上で、停戦合意のイスラエルの狙いを考えます。
▼イスラエルの一つ目の狙いは、これまでの軍事作戦でヒズボラを弱体化させたとして、停戦合意を結び、避難生活を強いられてきたイスラエル北部の住民を帰還させるというものです。
▼もう二つ目の狙いは、イスラエルはこれまで北からはレバノンのヒズボラ、南からはガザ地区のハマスに挟み撃ちされる格好になっていたため、両者の連帯にくさびを打ち込みたいというものです。一方のヒズボラ側も、停戦案に前向きとされてきました。イスラエル軍の空爆で、カリスマだった最高指導者ナスララ師が殺害されたほか、レバノン国内で停戦を求める圧力が高まっていました。このため停戦に応じて、組織の立て直しを図りたいとみられます。後ろ盾となっているイランにとってもヒズボラの勢力を温存させたい思惑がありそうです。
<戦闘が激化は去年から>
レバノンの戦闘を振り返ると去年10月、ヒズボラは、ハマスとの連帯を掲げてイスラエル領内にロケット弾などを発射して始まりました。さらにイスラエルは、ヒズボラのメンバーが所有するポケットベルやトランシーバーにあらかじめ爆発物を仕込んで、一斉に爆発させました。
そしてイスラエル軍はヒズボラの拠点への空爆を繰り返し、最高指導者のナスララ師など多くの幹部を殺害しました。さらに10月になると、イスラエル軍の地上部隊はレバノンに地上侵攻しました。これに対し、ヒズボラはロケット弾などで反撃を続けていました。
<合意された停戦案とは・・・>
バイデン大統領の説明などによると、今後60日間にまず、レバノンの正規軍がレバノン南部に展開します。
南部にいたヒズボラは国境から30キロ離れたリタニ川という川の北に重火器を移し、軍事拠点を再建しないようレバノン軍が監視するというもの、レバノン南部に地上侵攻したイスラエル軍は徐々に部隊を撤退するというものです。ヒズボラは、ハマスへの連帯を掲げて、ガザ地区の停戦がなければ、イスラエルへの攻撃を続けていました。また2006年にイスラエルとヒズボラの停戦を取り決めた安保理決議に基づき、レバノン軍とUNIFIL=国連レバノン暫定軍が停戦監視にあたります。アメリカとフランスは停戦合意への違反行為があった場合は報告を受けるとしています。それだけに停戦が結ばれたことはイスラエルにとってはねらい通りであり、逆にハマスにとっては大きな痛手と言えます。今後、合意に基づき、レバノンの停戦が発効した場合、次の焦点は行き詰まっているガザ地区でのイスラエルとハマスの停戦協議にどのような影響を与えるのか。
ハマスは今のところ、徹底抗戦の構えを崩さず、およそ100人の人質といういわば停戦協議のカードを持っています。ガザ地区の停戦が実現しない限り中東の安定はのぞめず、国際社会のさらなる働きかけが求められます。(11月27日 8時17分)
注)NHKのニュースを基に記載しました。映像はネットからも掲載しました。
参考)改定版:ガザで何が起きているのか ➡ https://digitaleye-edo.seesaa.net/article/505757277.html
記:2024年11月28日
江戸探偵人
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イスラエルと隣国レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことを受けて、激しい戦闘が続いていたレバノン南部では、避難していた住民が自宅に戻る動きが広がり始めています。合意が守られ、中東地域の緊張緩和につながるかが大きな焦点です。
イスラエル軍とヒズボラの戦闘をめぐっては、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れ、現地時間の27日午前4時、日本時間の27日午前11時に停戦合意が発効しました。その後、新たな攻撃などは確認されておらず、イスラエル軍の激しい攻撃が続いていたレバノン南部では、避難していた住民が自宅に戻る動きが広がり始めています。
停戦合意では今後60日以内に、レバノンの正規軍も停戦監視にあたるためヒズボラの勢力範囲となっていたレバノン南部に展開し、これに応じて地上侵攻していたイスラエル軍が徐々に撤退することになっています。また、ヒズボラはイスラエルとの国境からおよそ30キロ離れたリタニ川より北側に撤収し、ヒズボラの重火器は撤去されるとしています。
今回の停戦合意に向けて、働きかけを続けてきたアメリカのバイデン大統領は「ガザの人々も安全と繁栄した未来にふさわしい」などと述べ、パレスチナのガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦に向けた働きかけを一段と強める考えを示しました。
<レバノン 市民から歓迎と不安の声>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表されたことを受けて、レバノンの首都ベイルートでは歓迎する声の一方、イスラエルが停戦合意を守るか不安視する声も聞かれました。
イスラエル軍が地上侵攻したレバノン南部から避難してきたという男性は「停戦を歓迎する。これで私たちの将来にも、レバノンの将来にも希望が持てる」と話していました。一方で、イスラエル軍の空爆が行われたベイルート郊外を逃れ、家族と避難生活を続けている男性は「生活が本当に苦しい。戦争には反対だし、私たちは国が栄えることを望んでいる。停戦には賛同するがイスラエルが裏切らないか不安だ」と話していました。
また、別の男性は「私は家を破壊され、生活費も家賃も高い中、避難生活を続けている。罪もない子どもや若者が殺されたのだから、停戦には反対だ」と話していました。
<イスラエル市民からも歓迎と不安の声>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことについて、
イスラエル中部のテルアビブに住む3人の子どもの父親は「この停戦が何年も続くことを願いますが、先のことは誰にもわかりません。子どもたちはより安全になったと感じ、うれしそうです」と話していました。また、同じくテルアビブに住む女性は「停戦が続くことを望みますが、レバノン政府がヒズボラをおさえることはできないのではないかとも思っています。ガザ地区で捕らえられている人質の解放に向けて集中すべきです」と話していました。
<イラン停戦合意を歓迎 ヒズボラなど支援継続の姿勢も>
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、停戦合意が発効したことを受けて、イラン外務省のバガイ報道官は声明を出しました。
バガイ報道官は「イスラエルによるレバノンへの侵略が止まったというニュースを歓迎し、レバノン政府や抵抗勢力へのイランの揺るぎない支援を強調する」として、停戦合意を歓迎するとともにイランが後ろ盾となってきたヒズボラなどを引き続き支援する姿勢を示しました。また、去年10月以降の戦闘でレバノンやパレスチナのガザ地区では多くの人が犠牲となり、広い範囲で重要なインフラが破壊されているなどとして「アメリカと一部のヨーロッパの国の全面的な支援を受けたイスラエルによる犯罪の結果だ」と、イスラエルやアメリカなどを強く非難しました。
<UNHCR 避難の人たちの帰還に期待>
日本を訪れている国連のグランディ難民高等弁務官は、27日、都内でNHKのインタビューに応じました。
イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐる停戦合意が日本時間の27日発効したことについて「何週間にもわたる交渉の末に停戦が合意されたことをとてもうれしく思う。停戦が維持されイスラエルとヒズボラによる紛争状態に戻らないことを願う」と述べ歓迎しました。そのうえで「停戦により避難を余儀なくされた人たちが故郷に戻れることを願いたい」と述べ、戦闘によりレバノンやイスラエル北部から避難した人たちの帰還につながることに期待を示しました。(11月27日 19時18分)
今後の焦点は、アメリカのバイデン大統領はイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表しました。イスラエルとヒズボラの間で停戦が守られ、中東の緊張の緩和につながるかが焦点となります。
<イスレエル軍とヒズボラ>
イスラエル軍とヒズボラの間では、去年10月からの戦闘でレバノン側の死者が3800人以上にのぼり、イスラエル側でもおよそ6万人が避難を余儀なくされる事態となっていて、アメリカが停戦に向けて働きかけていました。これについて、イスラエルのネタニヤフ首相は26日、テレビ演説し、ヒズボラとの停戦案について、閣議承認の手続きを行うことを明らかにしました。
停戦に応じる理由について、ネタニヤフ首相はイランの脅威に備えて軍の態勢を立て直すとともに、ガザ地区のイスラム組織ハマスを孤立させるためだとしました。
一方、アメリカのバイデン大統領は日本時間の27日午前5時半ごろ、イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたと発表しました。停戦は現地時間の27日午前4時、日本時間の27日午前11時から始まるとしています。バイデン大統領は今後60日間でレバノンの正規軍がイスラエルとの国境周辺に展開し、ヒズボラの拠点の再建を認めないとするとともに、イスラエル軍も徐々に部隊を撤退させるとしています。また、フランスなどとともに取り決めが完全かつ効果的に実施されるよう、支援していくとしました。
イスラエル首相府は26日、停戦案を閣議で承認したと発表しました。発表に先だってネタニヤフ首相はテレビ演説し、停戦に応じる理由について、イランの脅威に備えて軍の態勢を立て直すとともに、ガザ地区のイスラム組織ハマスを孤立させるためだとしました。
イスラエル軍は停戦案の受け入れの発表前にもレバノンの首都ベイルート郊外などでヒズボラの拠点に空爆を行ったと明らかにするなど攻勢を強め、ヒズボラもイスラエル北部にロケット弾による攻撃を繰り返すなど、双方の応酬が続いてきました。イスラエルとヒズボラの間で停戦が守られ中東の緊張の緩和につながるかが焦点となります。
<暴力と破壊、苦しみに終止符を期待>
国連のグテーレス事務総長は停戦合意について26日「両国の国民が経験してきた暴力と破壊、苦しみに終止符が打たれることを期待する」と声明を発表しました。そのうえで、国連のレバノン特別調整官事務所と、国連のレバノン暫定軍が合意の履行を支援する用意があるとしています。
<停戦が完全に守られるよう協力に努める>
イスラエルとレバノン両政府が停戦案を受け入れたことについて、停戦に向けた協議の調整にあたったアメリカとフランスが、共同で声明を発表しました。この中で、両国は「レバノンでの戦闘は停止され、イスラエルはレバノンを拠点とするヒズボラや、その他のテロ組織の脅威から守られることになる」として成果を強調しています。そして「アメリカとフランスは、停戦が完全に守られるよう、イスラエルやレバノンとの協力に努め、この紛争が新たな暴力の連鎖となるのを防ぐことを決意する」としています。
フランスのマクロン大統領がビデオで声明を発表し、「いまもなおガザで続く戦争の事実を忘れてはいけない。今回の合意は、ガザでの停戦への道も開くものだ」と述べ、ガザ地区でのイスラエルとイスラム組織ハマスの間の停戦にも取り組みたい考えを示しました。
<地域の安定の確立に貢献>
レバノンのミカティ首相は、イスラエルとヒズボラの戦闘をめぐり、イスラエル・レバノン両政府がアメリカの停戦案を受け入れたことについて、声明を発表しました。この中で「レバノンに平穏と安定を確立し、避難している人たちが家に戻れるようにするための基本的な一歩だと考える。そして地域の安定の確立にも貢献するものだ」などとしています。また停戦に向けて調整にあたったアメリカとフランスにも謝意を示しました。
<イスラエルとヒズボラが停戦合意の背景は>
イスラエル軍とヒズボラの戦いの経緯を踏まえた上で、停戦合意のイスラエルの狙いを考えます。
▼イスラエルの一つ目の狙いは、これまでの軍事作戦でヒズボラを弱体化させたとして、停戦合意を結び、避難生活を強いられてきたイスラエル北部の住民を帰還させるというものです。
▼もう二つ目の狙いは、イスラエルはこれまで北からはレバノンのヒズボラ、南からはガザ地区のハマスに挟み撃ちされる格好になっていたため、両者の連帯にくさびを打ち込みたいというものです。一方のヒズボラ側も、停戦案に前向きとされてきました。イスラエル軍の空爆で、カリスマだった最高指導者ナスララ師が殺害されたほか、レバノン国内で停戦を求める圧力が高まっていました。このため停戦に応じて、組織の立て直しを図りたいとみられます。後ろ盾となっているイランにとってもヒズボラの勢力を温存させたい思惑がありそうです。
<戦闘が激化は去年から>
レバノンの戦闘を振り返ると去年10月、ヒズボラは、ハマスとの連帯を掲げてイスラエル領内にロケット弾などを発射して始まりました。さらにイスラエルは、ヒズボラのメンバーが所有するポケットベルやトランシーバーにあらかじめ爆発物を仕込んで、一斉に爆発させました。
そしてイスラエル軍はヒズボラの拠点への空爆を繰り返し、最高指導者のナスララ師など多くの幹部を殺害しました。さらに10月になると、イスラエル軍の地上部隊はレバノンに地上侵攻しました。これに対し、ヒズボラはロケット弾などで反撃を続けていました。
<合意された停戦案とは・・・>
バイデン大統領の説明などによると、今後60日間にまず、レバノンの正規軍がレバノン南部に展開します。
南部にいたヒズボラは国境から30キロ離れたリタニ川という川の北に重火器を移し、軍事拠点を再建しないようレバノン軍が監視するというもの、レバノン南部に地上侵攻したイスラエル軍は徐々に部隊を撤退するというものです。ヒズボラは、ハマスへの連帯を掲げて、ガザ地区の停戦がなければ、イスラエルへの攻撃を続けていました。また2006年にイスラエルとヒズボラの停戦を取り決めた安保理決議に基づき、レバノン軍とUNIFIL=国連レバノン暫定軍が停戦監視にあたります。アメリカとフランスは停戦合意への違反行為があった場合は報告を受けるとしています。それだけに停戦が結ばれたことはイスラエルにとってはねらい通りであり、逆にハマスにとっては大きな痛手と言えます。今後、合意に基づき、レバノンの停戦が発効した場合、次の焦点は行き詰まっているガザ地区でのイスラエルとハマスの停戦協議にどのような影響を与えるのか。
ハマスは今のところ、徹底抗戦の構えを崩さず、およそ100人の人質といういわば停戦協議のカードを持っています。ガザ地区の停戦が実現しない限り中東の安定はのぞめず、国際社会のさらなる働きかけが求められます。(11月27日 8時17分)
注)NHKのニュースを基に記載しました。映像はネットからも掲載しました。
参考)改定版:ガザで何が起きているのか ➡ https://digitaleye-edo.seesaa.net/article/505757277.html
記:2024年11月28日
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