ロシア領に長距離ミサイル攻撃
~欧米とロシアの間の緊張感高まる~
ウクライナ軍は11月19日に米国からの供与された長距離ミサイル・ATACMSで初めてロシア西部ブリヤンクス州を攻撃しました。
これに対してロシアは核兵器使用の「核抑止力の国家政策指針(核ドクトリン)」を改定しました。欧米とロシアの間の緊張感はかってなく高まっているとの報道がされています。
以下、NHKニュースが伝えています。
【ロシア国防省は、ウクライナ軍がアメリカのバイデン政権からロシア領内への攻撃に使う許可を得たとされる、射程の長いミサイルATACMSでロシア西部を攻撃したと発表しました。ロシア国防省の発表によりますと、19日未明、ウクライナ軍がATACMS、6発を使ってウクライナと国境を接するロシア西部ブリャンスク州への攻撃を行いました。
ロシア軍はこのうち5発を迎撃しましたが、残り1発の破片が軍事施設の敷地内に落下し、火災が起きたとしています。ただ、火はすぐに消し止められ、けが人などは出ていないということです。
一方、ウクライナ軍は、ブリャンスク州にある弾薬庫を攻撃し、12回の爆発を引き起こしたと発表していますが、使用した兵器については明らかにしていません。ウクライナメディアはウクライナ軍がロシア領内への攻撃でATACMSを使ったのは初めてだと報じています。ATACMSを巡っては複数のメディアがアメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、ロシア領内への攻撃に使うことを許可したと報じていました。
ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、ATACMSによる攻撃を受けたロシアの対応が焦点です。
<米有力紙も報道>
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは19日、アメリカとウクライナの政府高官の話として、ウクライナ軍がアメリカ製のミサイルを使ってロシア領内への攻撃を初めて行ったと伝えました。ニューヨーク・タイムズは「攻撃はバイデン大統領がウクライナに対してロシア領内の標的を攻撃するために兵器を使う許可を与えた数日後に行われた」としています。
またホワイトハウスの報道担当者はNHKの取材に対し「ウクライナの作戦については、それを話すことができるウクライナ側に問い合わせてもらいたい」と回答するにとどめました。
<ロシア外相 アメリカやウクライナを非難>
ロシア国防省がウクライナ軍が射程の長いミサイルATACMSでロシア西部を攻撃したと発表したことについて、ロシアのラブロフ外相は19日、訪問先のブラジルのリオデジャネイロでの記者会見で、
「彼らが事態をエスカレートさせたいというシグナルであることは確かだ」と述べ、アメリカやウクライナを非難しました。その上で「プーチン大統領は、射程の長いミサイルの使用が承認されれば、われわれの立場がどう変化するかについても警告した」と述べ、プーチン大統領が核兵器の使用基準を定めたいわゆる「核ドクトリン」の改定版を承認する大統領令に署名したことを踏まえ、けん制しました。】とNHKニュースが伝えていました。(11月20日 3時01分 )
<ATACMSとは・・・>
アメリカ製 地対地ミサイル ATACMSとは、地上から発射され、地上の標的を攻撃する、アメリカ製の地対地ミサイルです。
製造する「ロッキード・マーチン」によりますと、最大射程はおよそ300キロで、GPSを使った精密な攻撃が可能だとしています。
ウクライナに供与されている軍事車両にロケット弾の発射システムを搭載した高機動ロケット砲システム=「ハイマース」から発射できます。アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話としてバイデン大統領がウクライナに対しすでに供与した射程の長いミサイルATACMS(エイタクムス)をロシア領内への攻撃に使用することを許可したと伝えていました。
以下、NHKニュースが伝えています。
【アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「クルスク州の軍事目標に対する射程の長い兵器の使用制限を部分的に解除しても、ロシア軍の聖域をなくすことにはならない」と指摘し、効果は限定的だとの見方を示しました。
一方、ロシア議会下院で国際問題を担当する委員会のスルツキー委員長は17日、国営のタス通信に対し「きわめて深刻なエスカレーションを招くことは避けられない」などと述べて反発しました。アメリカのメディア、ブルームバーグは17日、北朝鮮が今後、兵士を順次派遣しその規模はあわせて10万人に達する可能性があると一部の国が分析しているという関係者の話を伝えていて、ウクライナがATACMSを使って両国の部隊を食い止められるかが焦点です。
<専門家 “戦況を大きく変えるとは思えない”>
防衛省防衛研究所の山添博史米欧ロシア研究室長はアメリカの主要メディアがバイデン大統領がウクライナに対して、ロシア領内への攻撃で射程の長いミサイルの使用を許可したと伝えていることについて「ウクライナにとって大きな力になることは確かだがより大きな力が必要だ。そういう意味で戦況を大きく変えるとは思えない」と述べ、効果は限定的だという考えを示しました。また、バイデン政権がこの時期に決断したとされることについては、「バイデン大統領の政治生命がみえていて、アメリカとして政権的に難しい段階であっても強い決断を進める力があるとロシアに示す意味合いもある」と述べ、ウクライナ支援に消極的な姿勢を示すトランプ氏を意識し、アメリカとして支援は揺るがないという姿勢を示したかったのではないかとの見方を示しました。
さらに、「北朝鮮が入ってきてアメリカやウクライナが何か“しっぺ返し”をする必要性があるという思惑が高まってきたのではないか」と述べ、ロシアと北朝鮮の軍事協力が進む中、バイデン大統領としては何らかの対抗措置を示す必要があったとの分析を示しました。
<バイデン大統領 政策変更決断の思惑とは>
バイデン大統領が今回のタイミングで政策の変更を決断をした背景には、大統領としての任期が残り2か月あまりとなるなか、ウクライナをできるだけ有利な立場においたうえで政権を引き継ぎたいという思惑があります。
トランプ大統領候補は、選挙期間中から、自身が当選すれば就任前にウクライナとロシアの戦争を終結させると主張し、停戦交渉の仲介に乗り出す可能性を示唆してきました。これを意識してか、ロシアのプーチン大統領は、西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍に対し、北朝鮮から派遣された兵士と合わせ、5万人規模の部隊を近く投入する計画だと伝えられています。バイデン大統領としては、この2年半続けてきたウクライナへの軍事支援の成果が、大きく損なわれかねないとの危機感があるとみられます。
安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官はバイデン大統領が出席するG20の首脳会議に先だって記者団に対し、「バイデン大統領はヨーロッパの首脳らと、ウクライナを強化する方法を見いだし、次期政権に可能な限り最善の状態で引き継ぐことができるよう、話し合う予定だ」と話していました。
アメリカメディアによれば、ATACMSの使用が戦況を大きく変える可能性は低いとの見方もあり、使用の許可については、バイデン大統領のアドバイザーの間でも意見が割れたということです。さらに、トランプ氏がバイデン大統領の決断を引き継がない可能性もあるとみられていて、今後の戦況への影響が注目されます。】とNHKニュースが伝えていました。
参考)北朝鮮兵士 ➡ https://digitaleye-edo.seesaa.net/article/505651418.html
記:2024年11月20日
江戸探偵人
▼下記の「歴史ブログ」「日本史」「江戸時代」のボタンをクリックして下さい。さまざまな歴史ブログを見る事ができます。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
▼ご意見、異論があればぜひお寄せ下さい。
▼当ブログが不要な場合も遠慮なく連絡を下さい。
ウクライナ軍は11月19日に米国からの供与された長距離ミサイル・ATACMSで初めてロシア西部ブリヤンクス州を攻撃しました。
これに対してロシアは核兵器使用の「核抑止力の国家政策指針(核ドクトリン)」を改定しました。欧米とロシアの間の緊張感はかってなく高まっているとの報道がされています。
以下、NHKニュースが伝えています。
【ロシア国防省は、ウクライナ軍がアメリカのバイデン政権からロシア領内への攻撃に使う許可を得たとされる、射程の長いミサイルATACMSでロシア西部を攻撃したと発表しました。ロシア国防省の発表によりますと、19日未明、ウクライナ軍がATACMS、6発を使ってウクライナと国境を接するロシア西部ブリャンスク州への攻撃を行いました。
ロシア軍はこのうち5発を迎撃しましたが、残り1発の破片が軍事施設の敷地内に落下し、火災が起きたとしています。ただ、火はすぐに消し止められ、けが人などは出ていないということです。
一方、ウクライナ軍は、ブリャンスク州にある弾薬庫を攻撃し、12回の爆発を引き起こしたと発表していますが、使用した兵器については明らかにしていません。ウクライナメディアはウクライナ軍がロシア領内への攻撃でATACMSを使ったのは初めてだと報じています。ATACMSを巡っては複数のメディアがアメリカ政府当局者の話として、バイデン大統領がウクライナに対し、ロシア領内への攻撃に使うことを許可したと報じていました。
ロシアのプーチン大統領は、ことし9月、欧米が射程の長い兵器の使用を認めれば「NATO=北大西洋条約機構の国々がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と発言していて、ATACMSによる攻撃を受けたロシアの対応が焦点です。
<米有力紙も報道>
アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは19日、アメリカとウクライナの政府高官の話として、ウクライナ軍がアメリカ製のミサイルを使ってロシア領内への攻撃を初めて行ったと伝えました。ニューヨーク・タイムズは「攻撃はバイデン大統領がウクライナに対してロシア領内の標的を攻撃するために兵器を使う許可を与えた数日後に行われた」としています。
またホワイトハウスの報道担当者はNHKの取材に対し「ウクライナの作戦については、それを話すことができるウクライナ側に問い合わせてもらいたい」と回答するにとどめました。
<ロシア外相 アメリカやウクライナを非難>
ロシア国防省がウクライナ軍が射程の長いミサイルATACMSでロシア西部を攻撃したと発表したことについて、ロシアのラブロフ外相は19日、訪問先のブラジルのリオデジャネイロでの記者会見で、
「彼らが事態をエスカレートさせたいというシグナルであることは確かだ」と述べ、アメリカやウクライナを非難しました。その上で「プーチン大統領は、射程の長いミサイルの使用が承認されれば、われわれの立場がどう変化するかについても警告した」と述べ、プーチン大統領が核兵器の使用基準を定めたいわゆる「核ドクトリン」の改定版を承認する大統領令に署名したことを踏まえ、けん制しました。】とNHKニュースが伝えていました。(11月20日 3時01分 )
<ATACMSとは・・・>
アメリカ製 地対地ミサイル ATACMSとは、地上から発射され、地上の標的を攻撃する、アメリカ製の地対地ミサイルです。
製造する「ロッキード・マーチン」によりますと、最大射程はおよそ300キロで、GPSを使った精密な攻撃が可能だとしています。
ウクライナに供与されている軍事車両にロケット弾の発射システムを搭載した高機動ロケット砲システム=「ハイマース」から発射できます。アメリカの複数のメディアは17日、アメリカ政府当局者の話としてバイデン大統領がウクライナに対しすでに供与した射程の長いミサイルATACMS(エイタクムス)をロシア領内への攻撃に使用することを許可したと伝えていました。
以下、NHKニュースが伝えています。
【アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「クルスク州の軍事目標に対する射程の長い兵器の使用制限を部分的に解除しても、ロシア軍の聖域をなくすことにはならない」と指摘し、効果は限定的だとの見方を示しました。
一方、ロシア議会下院で国際問題を担当する委員会のスルツキー委員長は17日、国営のタス通信に対し「きわめて深刻なエスカレーションを招くことは避けられない」などと述べて反発しました。アメリカのメディア、ブルームバーグは17日、北朝鮮が今後、兵士を順次派遣しその規模はあわせて10万人に達する可能性があると一部の国が分析しているという関係者の話を伝えていて、ウクライナがATACMSを使って両国の部隊を食い止められるかが焦点です。
<専門家 “戦況を大きく変えるとは思えない”>
防衛省防衛研究所の山添博史米欧ロシア研究室長はアメリカの主要メディアがバイデン大統領がウクライナに対して、ロシア領内への攻撃で射程の長いミサイルの使用を許可したと伝えていることについて「ウクライナにとって大きな力になることは確かだがより大きな力が必要だ。そういう意味で戦況を大きく変えるとは思えない」と述べ、効果は限定的だという考えを示しました。また、バイデン政権がこの時期に決断したとされることについては、「バイデン大統領の政治生命がみえていて、アメリカとして政権的に難しい段階であっても強い決断を進める力があるとロシアに示す意味合いもある」と述べ、ウクライナ支援に消極的な姿勢を示すトランプ氏を意識し、アメリカとして支援は揺るがないという姿勢を示したかったのではないかとの見方を示しました。
さらに、「北朝鮮が入ってきてアメリカやウクライナが何か“しっぺ返し”をする必要性があるという思惑が高まってきたのではないか」と述べ、ロシアと北朝鮮の軍事協力が進む中、バイデン大統領としては何らかの対抗措置を示す必要があったとの分析を示しました。
<バイデン大統領 政策変更決断の思惑とは>
バイデン大統領が今回のタイミングで政策の変更を決断をした背景には、大統領としての任期が残り2か月あまりとなるなか、ウクライナをできるだけ有利な立場においたうえで政権を引き継ぎたいという思惑があります。
トランプ大統領候補は、選挙期間中から、自身が当選すれば就任前にウクライナとロシアの戦争を終結させると主張し、停戦交渉の仲介に乗り出す可能性を示唆してきました。これを意識してか、ロシアのプーチン大統領は、西部のクルスク州で越境攻撃を続けるウクライナ軍に対し、北朝鮮から派遣された兵士と合わせ、5万人規模の部隊を近く投入する計画だと伝えられています。バイデン大統領としては、この2年半続けてきたウクライナへの軍事支援の成果が、大きく損なわれかねないとの危機感があるとみられます。
安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官はバイデン大統領が出席するG20の首脳会議に先だって記者団に対し、「バイデン大統領はヨーロッパの首脳らと、ウクライナを強化する方法を見いだし、次期政権に可能な限り最善の状態で引き継ぐことができるよう、話し合う予定だ」と話していました。
アメリカメディアによれば、ATACMSの使用が戦況を大きく変える可能性は低いとの見方もあり、使用の許可については、バイデン大統領のアドバイザーの間でも意見が割れたということです。さらに、トランプ氏がバイデン大統領の決断を引き継がない可能性もあるとみられていて、今後の戦況への影響が注目されます。】とNHKニュースが伝えていました。
参考)北朝鮮兵士 ➡ https://digitaleye-edo.seesaa.net/article/505651418.html
記:2024年11月20日
江戸探偵人
▼下記の「歴史ブログ」「日本史」「江戸時代」のボタンをクリックして下さい。さまざまな歴史ブログを見る事ができます。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
▼ご意見、異論があればぜひお寄せ下さい。
▼当ブログが不要な場合も遠慮なく連絡を下さい。
この記事へのコメント