ハーレー乗りなら昂らずにいられない、珠玉のバイカームービーが日本上陸! | Dig-it [ディグ・イット]

ハーレー乗りなら昂らずにいられない、珠玉のバイカームービーが日本上陸!

  • 2024.11.14

いまの時代、旧い映像を掘り起こして観ることはいくらでも可能だが、当時の再現映像をVFXに頼らず、被写体の姿をリアルにカメラで捉えて一本の長編映画作品としてまとめ上げるのはそうそう簡単にできることでもない。『インディ・ジョーンズ』で登場したツインカムのスプリンガーや、OHVのジープ、あるいは『キャプテン・アメリカ』でのWLAに見立てたソフテイルですっかりいまどき流のハリウッドの車両コーディネートに気分が萎えてしまったクチとしては、この『ザ・バイクライダーズ』を観るまで正直、それほど期待していなかった。

徹底してこだわった再現度、ヴィンテージの饗宴に酔う

物語の時代設定が1965~72年ということで、劇中に登場するバイクはすべてヴィンテージ。ヴァンダルズMCのマシンはビッグツインで占められているが、中にはわずかにスポーツスターも加わっている

しかし、いざスクリーンに映し出される映像には、バイクから背景に絡むクルマ、クロージングに至るまでがヴィンテージでそろえられている。肝心な物語に関しては実際に観て頂くことに譲るが、そこに描かれる映像は、何ら手抜きのないコーディネートの賜物だ。 時代設定が1965年から1972年までとあるため、その前半の雰囲気は、1963年のケネス・アンガーの『スコピオ・ライジング』やその世界観に倣った1981年の『ラブレス』を彷彿させるが、それが1970年代に入るとまた微細に異なるディティールがしっかりと混じり込んでくる。いまの時代に創られたヴィンテージの映像美をお楽しみあれ。

物語の主軸となるのはシカゴを拠点とする架空のMC“ヴァンダルズ”。実在するMC“アウトローズ”をインスパイアしたもので、劇中では実際の創設メンバーも登場しているという

『ザ・バイクライダーズ』ストーリー

本作は、アメリカの写真家ダニー・ライオンが、60年代シカゴに実在したバイカー集団「Outlaws Motorcycle Club (アウトローズ・モータサイクル・クラブ)」 の日常を描写した1st写真集『The Bikeriders』(1968年初版)にインスパイアされている。劇中では架空のクラブ名 “ヴァンダルズ” として、その創立から数年間の軌跡が事実をもとに描かれる。

バイクを愛するアウトサイダーたちの唯一の居場所(クラブ)が、誰も予想だにできない形へ変貌していく――。彼らを取り巻く状況の変化とともに、クラブはより邪悪な犯罪組織へと発展し、対立と憎悪を生み出すようになる。60年代アメリカを舞台に、インタビュー形式で綴られる伝説的モーターサイクルクラブの栄枯盛衰。半世紀以上にわたって私たちの想像の中に生き続けてきた象徴的なアウトロー・バイカーと、彼らが辿った反抗的な文化が、生々しくも儚さを携えてスクリーンに蘇る――。ここに、バイク映画の歴史に名を刻むクールな一作が誕生した。

『THE BIKERIDERS』

11月29日 TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
邦題:ザ・バイクライダーズ
監督:ジェフ・ニコルズ
キャスト:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイケル・シャノン、マイク・フェイスト、ノーマン・リーダス
配給:パルコ ユニバーサル映画
©2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

当時のリアルなバイクシーンを再現! 見どころを一挙紹介!

主人公のベニー役を演じるオースティン・バトラーが乗るのは1965年式エレクトラグライド。彼はこの車両に乗り慣れるために実際にかなり乗って過ごしたようで、撮影中には実際に事故にも遭遇したという。

シカゴの街を集団で疾走するヴァンダルズMC。特殊なエフェクトも余計な演出もいっさい加えることなく映像化された走行シーンは実に臨場感のあるものとなっている。

ノーマン・リーダス演じるソニー役が乗るのは、ショベルヘッドをリジッドフレームに搭載したチョッパー。撮影時にパンヘッドのエンジンが壊れたので載せ替えたことでこの設定になった。

コックローチ役のエモリー・コーエンが乗るのは黒白のツートーンペイントに、ダイキャスト製のアロー・フリットのエンブレムが付いた1959年式FLHデュオグライド。

ジプコ役のマイケル・シャノンが乗るのは、タンクのロゴと、フロントフェンダーのエンブレムからして1955年式FLと判別できる。リアフェンダーに取り付けられたバンパーグリルも1960年代の時代性を感じさせるカスタムだ。

劇中のMC“ヴァンダルズ”のプレジデント、ジョニー役のトム・ハーディーが乗るのは、曲線を描いたタンクのカラーリングとエンブレムから見て1956年式のハイドラグライド。グリーサーのスタイルとよく似合っている。

劇中に登場するマシンはすべて時代考証を的確にコーディネートして集められた。そのため、どのような場面を観ていても粗がなく、絵面、サウンドのすべてに当時の情感を再現。この映像がいまの時代に再現できたのは奇跡。

(出典/「CLUB HARLEY 2024年12月号」)

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