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SCP理論とポーターの戦略フレームワーク
本稿では、SCP理論を解説する。SCPとは “structure-conduct-performance”(構造-遂行-業績)の略称だ。同理論はその源流が経済学の産業組織論(industrial organization)にあることから “IO Theory” とも呼ばれるが、本書『世界標準の経営理論』ではSCPの呼称を使う(※1)。
1970~80年代に、経済学で発展したSCPを「経営学のSCP」へと昇華させたのが、ハーバード大学のマイケル・ポーターである。SCPの名は知らなくても、彼の代表作である『競争の戦略』を読んだことのある方はいるはずだ。SCPは「ポーターの競争戦略」の基礎になっている。MBAの経営戦略の教科書でポーターの競争戦略が紹介されないことはありえない。例えば米国のMBAプログラムで使う定番の教科書、ロバート・グラントのContemporary Strategy Analysisでは全17章のうち4章分が、ポーターのフレームワークに費やされている(過去記事「理論を思考の出発点にしてビジネスをとらえよう」の図表1を参照)。
しかし、以前「経営理論とフレームワークの違いを明確にし、実務に活かそう」で述べたように、MBAの教科書で主に紹介されるのは「理論から落とし込まれたフレームワーク」だ。SCPそのものを解説した教科書は、筆者の知る限り存在しない。本稿では、理論の方を根本から解説する。