微生物Blue-Whiteセレクションの失敗。 pUC18にインサートが挿入されているのに、青色のコロニーになってしまいました。 原因がわかりません。 もしよろしければ教えてください!!

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まずは、Blue-Whiteセレクションの原理から。 pUC18等のベクターにはβガラクトシダーゼ遺伝子が入っています。 この酵素は、基質となるX-Galを分解し、 その結果として青色を呈する不溶性の物質が分解産物として出てきます。 クローニングに用いられる多くのプラスミドには、 βガラクトシダーゼ遺伝子の途中に、マルチクローニングサイト(MCS)と呼ばれる、 制限酵素認識部位が集中している部分があります。 通常、このMCS内のいずれかの制限酵素でプラスミドを切断し、 クローニングしたいDNA断片(つまりは、インサート)を挿入します。 インサートが挿入されることで、 βガラクトシダーゼ遺伝子内に余計なDNA断片が挿入され、 遺伝子が分断されることなり、βガラクトシダーゼ活性がなくなります。 活性がなければX-galの分解が出来ない為に、青くなりません。 しかし、このMCS自体が後で人為的に挿入された配列であり、 この領域はβガラクトシダーゼタンパク質の活性そのものにあまり影響をしない部分です。 挿入されたインサートの長さが3の倍数でなければ、 βガラクトシダーゼ遺伝子がインサート挿入部位から、フレームシフトを起こし、 βガラクトシダーゼ活性はなくなります (まともなβガラクトシダーゼ酵素が作られない)。 一方で、インサートが3の倍数のときには、 このようなフレームシフトは期待できません。 しかし、βガラクトシダーゼの途中にポリペプチドが挿入されることになり、 立体障害がおこり、活性がなくなることが期待できます。 ただ、インサートが3の倍数でインサートが小さい場合は、 (大きくても、立体構造に影響しない場合にも) フレームシフトも立体障害も起こらずに、 βガラクトシダーゼ活性が表れてしまいます。 今回は、その様な事が原因かと思われます。 (インサート長が3の倍数で、あまり大きくないから、 フレームシフトも、立体障害も現れず、 活性を失わせることが出来なかった) これは「失敗」と呼ばれるようなものではありません。 どんなにテクニックがある人であっても、 「青くなるときは青くなる」のですから。 失敗と言うならば、基質であるX-galや発現誘導の為のIPTGを入れ忘れて、 インサートの入っていない無傷のプラスミドも全て白くなってしまった、 というような場合でしょう。 もし、これが学生実験のような講義の一環であるならば、 わざとその様なインサートを使わせたのかもしれません。 「どうしてそうなるのか」ということを考察させる目的で…。 Blue-Whiteセレクションは目安の一つでしかなく、過信は禁物です。 ハズレであるはずの青コロニーに目的のインサートが入っていることも、 アタリであるはずの白コロニーにインサートが入っていないことも、 良くあります。 白コロニーは全てハズレで、 青コロニーにアタリが5割くらいあったなんて経験もあります。 結局は、コロニーPCRや制限酵素処理、シークエンスなどで インサートの有無を確認する必要があるので、 最初からBlue-Whiteセレクションをしないこともあります。