「生ひたたむありかも知らぬ若草をおくらす露ぞ消えむ空なき」についてのご質問ですね？ 縁語というのは、ある比喩表現と意味がうまく結び合う言葉を結び合わせて、重層的に比喩表現を構築する技法です。 この歌では、「幼い紫の上」を、「若草」とたとえていますが、その子が成長していくことを表現するにあたって、たとえば、「ねびゆかむ」と言っても意味内容としては変わりません。けれども、「草」にたとえたのですから、どうせなら「生ひたたむ」と言ったほうが表現として優れていると思いませんか？こういうやり方で、「縁語」が連ねられていきます。よって、「若草」の縁語は「生ひ」ということになります。（「ありか」も、縁語だという考え方もできるでしょうし、「露」も、草の上におりるものですから、縁語だと言えないこともありません。） 「露」は「紫の上の祖母（尼）の命」のたとえですから、「死なむ」でもいいところですが、これも「消えむ」と言ったほうが優れた表現ですね。すなわち、「消え」が縁語です。（同様に、「空」も縁語とみなす考えもあるかと思います。）