セルジューク朝は短期間で大きく版図を広げたため、強力な中央集権体制を築くようなことは出来ず、一族に各地方の版図を分け与え、大スルタンと呼ばれたセルジューク家長の権威を認めるのと引き換えに、ある程度自立した支配を認めるという国家体制を採っていました。そのため、大スルタンによって率いられる大セルジューク朝が健在であった時期から、セルジューク朝の内部には一族によるいくつかの地方政権が存在していました。 そして、1092年に大セルジューク朝を支えていた宰相のニザーム・アル・ムルクが暗殺され、さらに同年第3代大スルタンのマリク・シャーが亡くなると、大セルジューク朝は後継者をめぐる内紛で混乱し、1157年には大セルジューク朝そのものが滅亡してしまいました。 その過程で、各地の地方政権はもはや大セルジューク朝の権威下にある半独立政権ではなく、完全な独立政権へとなし崩し的に移行して行ったのです。