英語と日本語は、語順や構造の違いが大きく、直訳すると不自然になりがちです。特に、英語の情報の流れをそのまま日本語に移そうとすると、意味のつながりが悪くなったり、再読が必要になったりすることがあります。 ところで、現代では 英語は全ての日本人にとって 初めての、そして、半数強の人にとっては 唯一の外国語ですが、江戸時代は外国語と言えばオランダ語が主流だったのは みなさんご存知かと思います。 それで、福沢諭吉は江戸時代にオランダ語を学び、明治になって 英語に乗り換えた文化人としても有名ですね。 当時はパソコンやネットはおろか、カセットレコーダーのような音響機器も存在せず、英語を覚えるのにも現代とは比べ物にならないくらい不便な時代でした。しかし、それでも、諭吉は英語の前にオランダ語を学んでいて、オランダ語は英語に最も近い言語ということもあって、英語に対する抵抗も少小さく、これは 私たちが逆立ちしても享受することのできない大きなアドバンテージだったはずです。そして、最初のうちは オランダ語の知識を駆使したと思われます。そこで、例えば、次の英文です。とあるサイト(https://makki-english.moo.jp/6baseball2018AprOtaniShoheitranslation.html )から 英文を借りました。 "(CNN)He was on the road Sunday, /but it didn't matter. //The buzz still was palpable in Oakland, California,/ as 14,644 fans turned up at the ballpark /to see the rookie/ known as the Japanese Babe Ruth." 諭吉なら、日本語よりも 次のように オランダ語に訳した方が 分かりやすかったでしょう。(諭吉が生きていた時代じゃないだろ という突っ込みはご勘弁ください。) "(CNN)Hij was zondag onderweg, /maar het maakte niet uit. // De opwinding was nog steeds voelbaar in Oakland, Californië, / toen 14.644 fans naar het stadion kwamen /om de rookie te zien/ die bekendstaat als de Japanse Babe Ruth." ところが、明治になると オランダ語は途端に下火になり、代わって 英語が最初の外国語として学ばれるようになりました。そうすると、諭吉の手法は使えませんから、和訳するしかありません。 「(CNN)彼は日曜日に遠征中であった/しかしそれは、問題にならなかった。//興奮はまだカリフォルニアのオークランドでは明白であった。//14,644人のファンが野球場に現れ(→訪れ)/新人選手を見るために/日本のベーブルースと知られている(新人を)。」 区切り同士が スムーズにつながらず、読みにくいですよね。私は これを「ディスコネクト」と呼んでいます。そして、これを少しでも改善しようとして、「(新人を)」を補っていますが、the rookieを再読する形で 却って面倒になり、これはこれで ややこしいいですね。(それと、rookieは ルーキーでいいと思うんです。) 私は これを「タングリング」と呼んでいます。そして、そのサイトの 他のパラグラフでは「次の」とかも よく使っていますね。まさに、英語と日本語の相性の悪さを物語っています。 そこで質問ですが、英語と日本語の相性の悪さを克服し、より自然で読みやすい和訳を行うためには、どのような工夫やアプローチが有効だと考えられますか?例えば、語順の工夫や補足の仕方など、具体的なテクニックがあれば教えてください。
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