英語の学習法は時代とともに変化してきました。現代のようにテクノロジーが発達した時代と違い、明治時代の英語学習は非常に困難なものでした。 しかし、当時の学習者の中には、オランダ語を学んだ経験を活かして英語を習得した人もいました。その代表的な例が福沢諭吉です。 福沢諭吉は、もともとオランダ語を学び、それを足掛かりに英語を習得しました。オランダ語は英語と文法や語彙が近いため、彼にとって英語の学習は比較的スムーズだったと考えられます。例えば、関係詞を含む英文を理解するときも、オランダ語に訳してみることで、英語の構造をすんなりと受け入れることができたでしょう。そこで、次の英文を見てみましょう。 ① He has two sons, who are doctors. ② Mr. White, whose wife teaches math, is a scientist. 諭吉なら、次のように オランダ語に訳した方が理解が早かったことでしょう。 ① Hij heeft twee zonen, die arts zijn. ② Meneer White, wiens vrouw wiskunde doceert, is een wetenschapper. そのまま、オランダ語にすんなり訳せて、何ら問題もありません。 しかし、明治になると オランダ語は急激に下火になり、代わって 英語が最初の外国語として学ばれるようになりました。そうすると、諭吉の手法は使えませんから、日本語に訳すしかありません。 ①の文は、“He has two sons. And they are doctors.”というように、関係詞を使わず、2文に分けると 訳しやすいですね。 ① “彼は2人の息子を持っています。そして彼らは医者です。” でも、問題は②です。①の場合は 先行詞が補語だったので、「そして~は」と支障なく訳せました。ところが、②の文は 先行詞が主語になっており、関係節が入れ子構造になっております。そこで、とある英語塾の元講師が自身のサイト(http://makki-english.moo.jp/5relativepronoun5.html )で 画期的(?)な訳し方を披露しています。②の文のように 関係詞の先行詞が主語でも、①の文のような関係詞が補語や目的語の時と同じように、「そして~は」という訳し方を貫き、その為には 日本語の破壊も躊躇しないというものです。 ② “ホワイトさん、そして彼の奥さんは数学を教えていますが、科学者です。” 私は この訳し方を見て 衝撃を受けました。こういう場合は “奥さんが数学を教えているホワイトさんは 科学者です。” というように、継続用法でも 限定用法のように訳すか、もっと自然に “ホワイトさんは 奥さんが数学を教えていますが、科学者です。” と訳すのが普通だと感じるんですが、みなさんは どう思いますか? また、もっといい訳し方があれば 教えてください。
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