まずは『コイスルオトメ』という曲の背景について少し説明させていただきます。 この曲は、いきものがかりがメジャーデビューする前のインディーズ時代に作られました。 その名のとおり、乙女の恋心が綴られていますが、作詞したのは水野良樹さんです。 今でこそ水野さんが女性目線で作詞するのは当たり前ですが、当時はそれが嫌で嫌で仕方なかったらしく、ある種やさぐれて書いたそうです。 しかし、この曲を披露した際、観客の女子高生に「なんで私の気持ちが分かるんですか？」と共感してもらえたことが大きな自信になったといいます。 結果として売上は振るいませんでしたが、この曲はいきものがかりにとって大きな転機となりました。 前置きが長くなりましたが、歌詞の内容としては、先述のとおり女子目線で恋心が赤裸々に語られています。 登場人物は「あたし(乙女)」と「あなた(彼)」。 彼のことを"白馬の王子様"と形容するように、乙女の想いは純真無垢で盲目的なものです。 しかし、彼は"恥ずかしがり屋"なのでなかなか本心を見せてくれません。 そんな彼に対してあの手この手で想いを伝えたい乙女の一途さが前面に押し出されています。 また、"あなたにはあたしだけ"という歌詞が複数回出てくるように、乙女のちょっと自分本位なところも上辺を飾っていない感じがして余計に共感を呼ぶのかもしれません。 ラブソングにありがちな「恋とは何か」「二人の恋の行方や如何に」のような描写は一切省き、乙女の（他人にはあまり言わないような）思いの丈をありのままに綴ったことがこの曲最大の魅力と言えると思います。